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2020.02.05更新

藤田弁護士の紹介は、こちらからご覧下さい。

1  収蔵庫への浸水
  昨年報告した「川崎市市民ミュージアム副館長雇止め事件」の川崎市市民ミュージアムの全収蔵庫が、台風19号の大雨により浸水した。市民ミュージアムの搬入口は、4メートル以上も水が溜まり、収蔵庫内まで2メートルもの浸水となったのである。 この結果、26万点の収蔵品の多くが補修不能となったか、補修不能になると思われる。収蔵品は、①川崎市が巨額の税金を投入し購入したもの、制作者や遺族、管理者から川崎市が②寄贈を受けたもの、あるいは③寄託されているものである。
  収蔵品には、① 文化勲章受章者の安田靫彦の「草薙の剣」(8千万)、ロートレック等、1890年代以降の欧州のポスター925点(4億9千万)、企業のポスター600点余り(1260万)、② 寄贈された「法隆寺観音像の下絵」や「大観先生」の試作等150点。江戸期の肉筆画帳や諷刺漫画家、清水崑等の原画、貴重な雑誌。藤原鎌足の筆など著名な書跡(国宝級)。膨大な数の昔の民具や生活道具等2度と収集できない民俗資料等。③ 寄託されている岡本太郎の母、岡本かの子の直筆原稿、父、一平の肉筆画等。写真界の芥川賞と言われる朝日新聞社主催の木村伊兵衛賞の受賞作品の写真全部(寄託)。ソビエト時代のドキュメンタリー映画(エイゼンシュタインの「メキシコ万歳」も)、日本映画美術監督協会の創立者の一人、黒澤明監督の美術を担当した久保一雄のスケッチ、映画セットの原画等、市民ミュージアムにしかない貴重なものが多数含まれている。


2  浸水・水没の責任
  川崎市は、指定管理者(代表アクティオ株式会社)に収蔵品管理ばかりではなく施設管理も任せている。市民ミュージアムが浸水区域にあることは中原区のハザードマップが事務室に掲示されていたのでアクテイオは当然知っていた。台風19号は河川の氾濫が相次いだ1958年の狩野川台風に匹敵する可能性があると気象庁は10月11日に厳重な警戒を呼びかけ、台風接近後は川崎市が避難指示まで出していた。
   ところが、アクティオも川崎市も、貴重な収蔵品を浸水から守るためにほとんど有効な行動を何もしていない。大雨が降る前に、地下収蔵庫の収蔵品を2階以上に運び上げる作業あるいは別の場所へ退避させる作業を何故行わなかったのか。道路沿いに土嚢とベニア板をブルーシートで覆って、堤防をつくり、その上に土嚢を積み上げていくことを、なぜ行わなかったのか。それ以前に、アクテイオは、これまでの市民ミュージアムの経験、東日本大震災等の経験に学び、いかに減災できるか水害対策を考えていたのか。
    そもそも、アクティオは大規模な博物館の運営経験がなく、本社の管理職は収蔵庫を見ることすらしなかった。アクティオの関心は、イベントと外部の企画による展示の数を増やし集客数を増やすことにしかなかった。つまりは、市民ミュージアムの収蔵品等には興味はなかったのであり、収蔵品の活用、維持管理、水害等に対する減災にも興味がなかった。だからこそ、学芸員らの給与を7割も減額し、大半の学芸員が辞めてゆくことを是とし、それに抗する副館長を「雇い止め」にしたのである。
    このようなアクティオを指定管理者として、収蔵品管理、施設管理を丸投げしてきた川崎市の責任も重大である。


3  川崎市市民ミュージアム副館長雇止め事件と「水害」の関わり
    昨年の報告で、本訴訟の意義は、第1には「雇い止め法理」(労契法19条)を適用し違法無効な雇い止めを許さないことを求める点にあるが、第2には、利益至上主義により、市民の財産であり貴重な文化資源である市民ミュージアムの担う博物館機能を危機に陥れた被告のごとき企業を指定管理者に選任した元凶である指定管理者制度の見直しを本件訴訟を通じて訴えることにある旨を述べた。
  今回の「浸水」は、第2の意義を最悪の形で浮き彫りにしたのである。


4 訴訟の展開
   被告は、「本件雇用契約には更新の期待権は生じる余地がない」「(雇い止めにした理由は、)勤怠、就業規則違反」と主張してはいたが、被告が主張立証責任を負う原告に対する雇止めが本件雇用契約書所定の「雇用期間の更新可否の判断基準」(ⅰ雇用期間満了時の業務量、ⅱ 勤務成績、態度、ⅲ 能力、ⅳ 会社の経営状況、ⅴ従事している業務の進捗状況、ⅵ その他が記載されている。)のいずれに該当するのか具体的事実を主張すらしようとしなかった。しかし、裁判官から、そのまま主張しなくていいのかと強く言われて、様々な「事実=遅刻、通勤に規則違反の自動車を利用等々」を主張し始めた。
    これに対し、原告はことごとく事実をもって反論し大半の被告の主張は論破されている、いずれにせよ双方の主張はほぼ出そろった。あと2期日ほどで尋問手続に入ろうかという段階に来ている。
    アクティオによる違法な雇い止めが断罪されることで原告が救済されるとともに、今回の収蔵品被害により美術館、博物館史上空前の被害をもたらしたアクティオと川崎市、指定管理者制度が見直されるまで奮闘する決意である。              

以上

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.02.01更新

畑弁護士の紹介は、こちらをご覧下さい。

 

1 本件の概要
 公認会計士の資格を持ち、経理を任されていた原告が電気自動車開発を行うベンチャー企業株式会社FOMM(フォム)に不当解雇されたことから、同社に対し、地位確認等請求を行っている。


2 FOMMについて
 FOMMは2018年のジュネーブモーターショーやバンコク国際モーターショーにて新型EV「ONE」を公開した。新型EV「ONE」は小型で、100万円以下の低価格設定で、水害時にも稼働できるという特性をもち、モータリゼーションが進みつつある東南アジアの新興国をターゲットとして開発されている。FOMMの開発した新たな小型EVの生産は、2017年の11月にFOMMとの資本業務提携を発表したエレクトロニクス大手「船井電機」が担当し、同じくFOMMとの提携関係にあり株主でもある「ヤマダ電機」を通じて販売される予定となっている。また、FOMMの株主には四国電力も名を連ねており、同社に対する市場の関心も高い。


3 解雇に至る経緯
 原告は2018年6月1日からFOMMで働き始め、経理を含めた諸業務を行っており、具体的には上述のモーターショー出展の際の出金など、多額の金の動いた形跡をつぶさに検討し、適正な経理が行われるよう経理体制の改善を図っていた。
原告は他社と同年6月17日を終期とする労働契約を締結していた(同社において兼業は許されていた)ことから、種々の手続きを簡便にするために、同年6月1日から17日までの業務委託契約書、同月18日を始期とする内定契約書をFOMMと交わしていた。もっとも、原告の就業実態を踏まえると、原告は同月1日からFOMMとの間で労働契約を締結していたものと見るべきである
原告が業務を行いFOMMの経理環境の改善を図る中、同月14日、執行役員のK氏に急遽呼び出され、内定取消し(解雇)を告げられた。その理由として、原告が、FOMM従業員を泣かせた、FOMMには経理ができる人間がいない旨の発言をした、経営メンバーが裏金を使っている旨の発言をした、他の従業員に対するハラスメントを行った、執行役員として入社した旨第三者に役職を偽ったなどの14の事由が挙げられていた。しかし、これらはありもしないでっち上げの事実である。


4 訴訟
 2018年9月28日に同社に対し、地位確認等請求訴訟を提起した(横浜地方裁判所川崎支部・古閑裁判官)。
 なお、組合と共に法廷内外で活動を続けてきたところ、FOMMは証拠で組合の株主等への要請書等を提出し、組合活動を控えるように要請するなど組合敵視の姿勢を見せていた。
 争点は、①6/1~17の間の契約関係及び②解雇権濫用または不当な内定取消に当たるかであり、以下のように判断され、原告は敗訴した。
(1)6/1~17の間の契約関係(労働契約か業務委託か)
ア 原告の主張
 労働基準法研究会報告を踏まえ、CFOからの指揮命令、「経理担当部長」としての名刺、時間的場所的拘束等の就労実態を主張し、6/1から労働者であった旨主張。なお、ANAP社との契約は実質的に終了しており、同社からは副業が許可されていた旨も主張。

イ 被告の主張及び裁判所の認定
 業務委託契約書が存在することを重視し、実態には触れずに、6/1~17は業務委託、18~は労働契約(内定契約)と整理。
ウ 問題点
 就労実態を何ら考慮せずに契約書の専ら文言のみで判断している。そして、業務委託であるとの整理内容が次の争点とも大きく関わる。

(2)解雇権濫用または不当な内定取消に当たるか
ア 原告の主張
 被告の主張する14の解雇(内定取消)事由は全てでっちあげである。当該事由を証する従業員の報告書(報告者の氏名についてはマスキングされたものも散見された)は反対尋問を経ないものであるから、作成者の尋問を求める。解雇手続についても、被告の主張する原告の問題行動については何ら注意がなされておらず、告知聴聞の機会を与えないでされており不適正である。また、解雇理由は後付けがなされており、手続を軽視するのは当該問題行動が存在しないからに他ならない。
イ 被告の主張及び裁判所の認定
尋問は不要(裁判所は報告書を取りまとめた人事部の担当者のみ尋問を許可)。被告主張及び証拠を全て採用。数々の問題行動が存在するから内定取消は相当。
ウ 問題点
  事実認定の不当性(争いのない事実の誤解、反対尋問を却下した上での書証の採用・重視、「経験則」という名の偏見、偏見ありきの補充尋問、反対事実をほぼ考慮していない等)、及び評価の不当性(「経験則」という名の偏見でもって、問題行動を行った原告が部長職にふさわしくないとして緩やかに内定取消の相当性を認める。) 


5 控訴提起
 地裁判決のように反対尋問を経ない報告書の信用性を認め、それをもとに内定取消しを許してしまえば、会社側は気に食わない労働者について、「問題行動」を行ったとして、作成者不明の報告書を作ることによって自由に解雇(または内定取り消し)を行えてしまうことになってしまい、労働者軽視も甚だしい。
 控訴審においては、古閑裁判官の偏見及び労働法制に関する無知を指摘しており、逆転勝訴をつかみ取りたい。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.01.31更新

 西村弁護士の紹介は、こちらをご覧下さい。

1 この間の前進

 この間、昨年11月に、福岡高裁1陣判決が下された。

 同判決では国の責任に関して、防塵マスクの着用、警告表示・掲示、特別教育の義務付け懈怠の違法を認めた。そして懸案の一人親方の責任について、安衛法の保護対象はあくまで「労働者」であるが、国が適切に規制権限を行使していれば、被害の発生を防ぐことができたと評価しうるのであれば、一人親方の関係でも国賠法上の違法を認める余地があるとしたうえで、①曝露の危険性は一人親方を含む労働者全体に及ぶこと、②規制によって享受する利益は労働者と一人親方で変わるところはないこと、③一人親方と労働者の就労実態の同一性から、一人親方に対して賠償責任を負わないと解するのは、正義公平の観点から妥当でないと断じた。

 一方建材メーカーらの責任に関しても、1975年時点での予見可能性、警告表示義務違反を認めたうえで、マーケットシェアが20パーセントを超える場合にはその建材が被災者に到達したと認めることができるとして、被告企業4社の賠償責任を認めた。

 国の責任に関しては、なんと地裁、高裁合わせて11連勝となり、一人親方の責任についても、東京高裁、大阪高裁京都ルート、同大阪ルートに続いて4連勝、また建材メーカーの責任についても、神奈川東京高裁判決、大阪高裁ダブル判決に続いて高裁段階で4勝目の判決となった。

 一方1月30日、神奈川2陣訴訟が結審を迎えた。

 建材メーカーの責任をめぐっては、民法719条1項後段の類推適用による共同不法行為の成立に関し、この間各地で出された高裁判決を踏まえ、メーカーの加害行為の到達については相当程度以上の可能性で足りること、その立証についてはマーケットシェアを活用すべきことを明らかにした。

 最大の焦点である一人親方の責任について、岩手県立大の柴田先生の証人尋問をかちとり、一人親方の就労実態につき、労働者との対比で歴史的かつ実証的に解明して、一人親方勝訴に向け、大きく道を開くところとなった。

 判決言い渡しは、8月28日午後3時と指定された。

 

2 国の対応

 こうした中で、原告を先頭に、一貫して、基金制度の創設による全面解決を求める運動が取り組まれてきた。

 これに対して被告の建材メーカーらは、ほぼすべての企業が交渉に応じ、主要企業のうち11社が、国から制度提案があった場合、前向きに検討することを表明している。

 しかし一方の国は、大阪高裁4民、3民での結審に際しての和解打診、和解勧告を拒否したのをはじめとして、その後もいたずらに控訴、上告を重ねるばかりで、解決に向かう兆しは一向に見られない。

 これは国が司法解決方式を念頭に置いているためであるとみられる。すなわち、国は、仮に来るべき最高裁判決で敗訴しても、当該訴訟で判決に従って支払いを行うのは当然として、2陣以降、さらにはその余の被災者についても、制度を創設して行政対応で救済するのではなく、いちいち提訴をさせ、訴訟上の和解に従って支払いを行う方式を念頭に置いていると考えられる(泉南アスベスト方式)。しかし泉南型被害との決定的違いは、本件建設アスベスト被害はまさに現在進行形の被害で、今なお新た被害者が続々と生まれており、今後の被害者は2万人とも3万人とも言われている。

 これだけの被害者を前に, いちいち訴訟を提起しないと救済を受けられないというのは,救済にとって重大なハードルとなること疑いない。この点、NHKの報道番組『時論公論』でも, 「司法は本来、双方に争いがあるときに紛争の解決を目指すもので, 行政が迅速に救済を行うのが望ましい。司法は行政の補助機関ではありません。」としているとおりである。

 さらに本件被害に対する直接的な加害者である建材メーカーについては、最高裁の判断が出てもこの基準に従ってその余の被災者についても和解解決することは予想できず、結局、建材メーカーの負担を欠いたまま、国のみがその負担部分について国民の血税から被害救済を行うことになる司法解決方式は、あまりに不合理であり、到底国民の理解を得られるものではない。

 

3 今後のたたかい

 現在最高裁には神奈川1陣訴訟をはじめ5件の各地1陣訴訟が係属しており、遅くとも今年中には判決が見込まれている。最高裁に向けては、メーカー責任、一人親方責任に関する学者意見書を提出するのをはじめ、公正判決要請署名を積み上げての要請行動が取り組まれている。

 そしてこの3月には、全国一斉に3陣提訴を行って、被害の広がりをさらにアピールしていくことが予定されている。

 こうした中で、4月17日の東京地裁東京2陣判決とこれに続く8月28日の神奈川2陣東京高裁判決を大きなチャンスとして全面解決を迫り、来るべき年内の最高裁判決に際しては、なんとしてもこれを契機に補償基金制度の創設による全面解決をはかるべく運動、取り組みを飛躍的に強化していくことが求められている。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.01.23更新

川岸弁護士の紹介は、こちらからご覧下さい。 

1 事案の概要
 本件は、労働契約法18条「無期転換ルール」逃れに対する裁判である。原告は、日本通運川崎支店で派遣社員の事務職を経て、2013年より、日本通運株式会社に、1年契約更新の有期労働契約で直接雇用された。その後、契約更新は4回されましたが、無期転換申込権が発生する通算契約期間5年のわずか1日前、2018年6月末日をもって、期間満了による雇止めされた。これに対し、雇い止め無効を主張し、横浜地方裁判所川崎支部に提訴した。
 無期転換ルールは、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、労働者の雇用の安定を図ることを目的として、立法されたものであるが、本件雇止めは、無期転換ルールの法の趣旨を真正面から否定し無期転換を阻止することに目的がある。


2 雇止め法理の形成・発展に逆行する不更新条項
 本件雇用契約書には、派遣を経て最初の直接雇用契約当初から「当社における最初の雇用契約開始日から通算して5年を超えて更新することはない」という、いわゆる不更新条項が挿入されていた。そもそも、労契法19条において制度化された雇止め法理は、有期労働契約は合意された期間の満了によって当然に終了するという契約法理に対して、解雇権濫用法理という重要な労働法理を尊重して法定更新制度を設けたものである。つまり、合意原則よりは雇用関係の存続保護という要請を重視して、形成された法制度であり、それについて不更新条項による潜脱を認めることは、雇い止め法理の形成・発展に逆行することになる。
 本件訴訟の3つの争点①そもそも更新上限規定が労働契約法18条を逸脱し公序良俗に反して無効②更新上限規定への同意が自由な意思に基づくものではなく無効、以上の論点を前提に、③本件件雇い止めが、雇い止めの無効について定めた労働契約法19条に反して無効であるかである。
 特に、争点①については、国会答弁で示されてきた労働契約法18条の立法趣旨を法解釈に斟酌すれば、使用者が、有期雇用契約に5年以内の更新上限を付して利用することについて、公序良俗違反といえる場合には、更新上限は違法無効と解釈される。意見書をお願いした立正大学准教授高橋賢治先生は、労働契約法は、5年以内の有期労働契約の利用はいずれの場合も許されるという趣旨で濫用防止規定があえて設けなかったのではなく、「解釈は後の判例により論理的に決せざるを得なくなる」と指摘している。


3 契約書の形式的文言を突破する必要
 2018年以降、全国で、本件と同様の無期転換逃れを争う裁判が提訴・係争され、今後、各地の裁判所の判断により、労働契約法18条に関する、新たな労働法理が創出されていくなか、本件裁判の帰趨も、日通のみならず広く非正規労働者の将来も左右する結果となる。非正規労働事件の運動展開は困難があるが、全川崎地域労働組合及び国民救援会神奈川支部を中心に支援共闘会議が結成され、署名5000筆を裁判所に提出するなど、運動を広げている。
 本件のように、当初より不更新条項が契約書に記載されていた内容でも、立場の弱い労働者は契約締結せざるを得ない労働者は潜在的に多数存在する。契約書の形式的契約文言の壁を事実と道理に基づく主張で突破してきた歴史が、有期契約の労働者を救済する判例法理形成の歴史である。これにならい、労働契約法18条の趣旨に適った新たな判例法理を作り出すため、全力を尽くす決意である。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.01.22更新

川岸弁護士の紹介は、こちらをご覧下さい。


 本件は、2018年4月、日立製作所の課長職であった原告に対する面談による退職強要、それを拒否した原告に対する退職強要終了後のパワハラ行為、及び査定差別に対し損害賠償をもとめ横浜地方裁判所に提訴した事件であり、本年3月24日に判決日を迎える。


1 電気リストラと日立製作所における退職強要・査定差別
 日本の電機産業は、輸出競争力を低下させ,事業の撤退や縮小海外資本への売却が目立つようになった。また、残った事業分野においても、今後の成長は不確かとなっている。このような中で、2008年のリーマンショック以降、2017年3月1日までに、公表されただけでも36万378人が人員整理の対象となった。しかも、これらの人員削減は、実態は労働者への押しつけであるものの、希望退職という形式を取って行われるため、社会問題化しにくく、殆どの国民の知らないところで大量のリストラが敢行されている。
 赤字や倒産の危機を理由にリストラをしていた企業が、経営危機を脱して、黒字に反転した後も、リストラを継続し続けているというのが実態である。これは、日本の大手電機メーカーが、多角的に事業展開する企業複合体(コングロマリット)から、事業の選択と集中により、少数の事業に注力するという方針に変化し、少なくない事業から、次々に撤退していることに伴って生じているものである。
 日立製作所は、高い利益目標をかかげ、それを達成するために「常時リストラ」「黒字リストラ」とでもいうべき政策を強引に進めている。日立製作所の原告に対する退職強要も、全社的な組織的意思決定に基づいて行われた脱法的なリストラである。原告が電機情報ユニオン労働組合に加入して抗議したことにより、日立製作所は、原告に対する退職強要面談は終了させたものの、その後も、原告に対して業務遂行に対する注意を、晒し者状態で行うなどパワハラ行為を行ったり、さらには、一時金査定において低評価を行い続けて、原告に転職を決意させようとし続けている。


2 違法な退職強要
 本件退職面談は、面談の機会に、圧倒的な労使の力関係の下で、労働者の権利を否定し、労働者保護法体系に明らかに反する不合理な考え方を一方的に押しつけて、原告に退職を迫ったパワハラ行為が行われている。すなわち、侮辱的言辞・仕事の取り上げ・名誉感情の不当な侵害、退職表明を行うまで継続される絶望的な繰り返しの面談等、様々なパワハラ的手法を重畳的に用いた退職(転職)の強要が行われた。


3 退職強要としての査定差別
 日立の人事評価制度であるGPM面談及びキャリア面談の名もの下行われた退職面談を境に、同じ原告に対する評価が、明らかに大きく下がっている。
 GPM評価制度は、成果目標と行動目標から構成され、いずれも、上司と共に予め設定した目標に対する達成具合の主観的評価で賃金・一時金査定が行われるものである。それは、自己評価を前提としているとはいえ、最終的・実質的には、上司の主観的評価に依拠するものとなっている。そして、客観的検証が困難な、抽象的評価のため、上司の恣意的評価の余地が大とならざるをえない。原告自身は、一貫して、同様に仕事をしているのであり、本件面談における退職強要を拒否した以外には、本件面談の前後で、他に大きく評価が下がる合理的理由がない。
 そして、本件面談における退職強要の拒否は、日立製作所会社を含む電機産業が業界ぐるみで行っている電機リストラに対する抵抗を意味することになる。したがって、日立製作所会社にとってはあってはならない事態であり、だからこそ、原告が、本件面談による退職強要に必死に抵抗し、屈しなかった時点を境として、判りやすく、本件査定が極端に下げられている。したがって、本件減額査定は、不当な退職強要の中止を訴えて、会社に残ることになった原告に対し、形を変えた「退職強要」が行われていというべきである。


4 変容する日本型雇用に対する抵抗
 日立製作所出身の日本経団連中西宏明会長は、「終身雇用は制度的疲労している」等度々発言し、2020年の経団連春闘方針でも、既存の日本型雇用の見直しを示している。この経団連の示す方針の意味するところが、企業を雇用責任から免れさせ、無法図なリストラを許容し、労働者の権利を侵害する方向であることは、本件においてすでに日立製作所が行っていることからも明らかではないか。
 判決を機に、社会に対して電気リストラの実態を明るみにし、雇用の破壊に対する歯止めとしたい。 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.01.16更新

篠原弁護士について、こちらをご覧下さい。

1 2019年2月18日、前日に公害調停申請人団の結団式を文京区民センターで開催し、全国公害患者の全連合会と東京、神奈川(川崎、横浜)、千葉、埼玉、名古屋、大阪のぜん息患者90人が、環境省と自動車メーカー7社(トヨタ、日産外)を相手方として、総務省の下に設置されている公害等調停委員会に公害調停の申立を行った(その後、第2次の申立が行われ、現在、申請人団は104名)。
    申立の趣旨は、①国は、大気汚染公害医療費救済制度を創設すること ②自動車メーカー7社は、前記制度につき相応の財政負担をすること、ということで医療費救済の制度創設を本来的要求とし、これに加えて ③国と自動車メーカー7社は申請人らに対し、各100万円を支払え、というものである。すなわち、せめて医療費救済を、ということで、要求をしぼった形で申請を行った。


2 従前の制度としては、固定発生原(工場排煙)中心の大気汚染(SO2、NO2、SPM外)を念頭において、1970年2月1日から医療費救済の特別措置法が施行され(当時、環境省は存在せず厚生省管轄)、1973年9月には、1972年7月24日の四日市ぜん息判決を基礎に公害健康被害補償法が成立し、74年9月1日から、医療費救済はもとより、生活補償や健康回復事業を含め被害者を全面的に救済することを目的として同法が施行された。
    同法の財源は、固定発生源が8割、国(自動車重量税から拠出)が2割で、当時は工場排煙を中心として制度設計がなされたため、自動車排ガス(移動発生源)をも視野に入れた制度とはならず、 自動車メーカー及びその関連企業(石油関連会社外)からの財源拠出はなかった。
    まさに、固定発生源中心の大気汚染に対応しての救済制度の発足となった。


3 その後、オイルショック等の発生で、前記救済制度は経団連や加害企業からたびたび制度の縮小や廃止の策動にさらされてきたが、患者会の圧倒的運動の展開の下で、これを阻止し、制度を維持、発展させてきた。
    しかし、加害企業の財源拠出が年額1000億を超える頃から、経団連・加害企業からの攻撃は激しさを増し、他方、東京、川崎、大阪等々の革新時自体の下での大気汚染物資の総量規制の実施、公害被害者の要求に押されての加害企業の公害対策の前進の結果、SO2汚染については、環境基準を達成する状況となるに至った(しかし、NO2、SPM汚染は、未だ深刻な状況であった)。
   加害企業は、SO2汚染のみの改善に焦点をあて、政府、環境省に対し、公害補償法の骨抜きを図るため、全国41に及び大気汚染系の公害病認定地域の指定地域解除の画策(既認定患者の救済は存続させるが、新規認定患者の認定を行わないという画策)を進めるに至った。
     その結果、政府は中曽根内閣の下で臨調行革路線の一環として、補償法についてこれを改悪して指定地域を解除することとし(97年9月国会)、1988年3月1日から補償法に基づく新規認定患者の認定打切りを強行した(当時の認定患者は、約10万人で毎年、9600人が新たに認定申請)。


4 SO2汚染の一定の改善はみられたものの、NO2、SPM汚染の改善がないなかで、新規発生の患者は長期にわたって未救済のまま放置された。
   しかし、この指定地域解除が誤りであったことは環境庁自らの施策の展開ですぐに明らかとなった。
   88年12月21日、環境庁は「環境白書」を公表した。マスコミは一斉に「大気汚染、10年前に逆戻り」とし、NOX、SPMは一向に改善のきざしを見せていないことを報道した。環境庁は、87年の「環境白書」でも、依然、大気汚染が進行していると認めたが、その要因は、「気象現象の変化」にあると強弁した。しかし、87年、88年と2年つづいた大気汚染の悪化を前に環境庁も,自動車公害対策等で抜本的な公害対策を考慮せざるをえないとした。
   すなわち、環境庁は88年3月に「大気汚染改善論」を振りかざして指定地域を解除したのにもかかわらず、88年10月には、大気汚染の悪化という深刻な事態に直面して、すなわち、87年度の三大都市地域のNO2 環境基準未達成局が91%と過去最悪を記録したことに関連して、従来、固定発生源を対象として東京、神奈川、大阪の三大都市地域で実施していたNOX の総量規制対策に、移動発生源の自動車を加える方針を確認した。
  補償法の財源との関係で固定発生源を念頭におき、そして、SO2 汚染の改善に着目して指定地域の解除に踏み切った環境庁が、移動発生源をも総量規制の対象にして大気汚染の軽減化と被害の防止に踏み出すことになったのである。
   そうだとすると、補償法の制度の枠組みは維持した上で移動発生源、すなわち自動車メーカー等にも財源の拠出を求め、PPPの原則に基づいて、88年以降の新規患者等についてもその救済が図られるべきことは当然のことである。


5 公害調停で、被害者が求める医療費救済制度は、環境省がこの歴史的誤りを猛省して、88年以降の大気汚染の実態とこれに起因して毎年数千人規模で発生している新規患者等について、せめて医療費救済制度を創設せよと求めるものである。
 指定地域解除後、90年代から2000年代にかけて、NO2 、SPMそしてPM2.5に係る深刻な大気汚染は継続し、必然的に気管支ぜん息をはじめとする新規患者は発生しつづけた。
  指定地域解除後に斗われた自動車排ガスに係る道路公害裁判は、
     95年7月5日    西淀川二次~四次判決
                   国・公団の道路公害の責任を認める
     98年8月5日    川崎二次~四次判決
                   国・公団の道路公害の責任を断罪し、大気汚染と被害の発生が「現在進行形」であることを認める。
     00年1月31日   尼崎判決

             国・公団の責任を認め、大気汚染被害が「現在進行形」で自動車排ガスの排出は直ちに差止めるべき深刻な 事態となっていると断罪し、差止認容の判決       

  00年11月27日  名古屋南部判決
                     尼崎判決と同様に差止認容。

という内容の判決を勝ちとった。
   一連の判決、とりわけ、尼崎・名古屋の2つつづけての差止認容判決は、国と自動車排ガスの責任主体、自動車メーカーに速やかな公害防止対策と緊急な被害救済を要求した。それは、補償法水準の救済制度の創設を要求した。同時に「公害は終った」と喧伝する政・官・財に対する、司法を土俵としての痛烈な継続的反撃となった。
 いずれにしても、裁判制度に基づく反撃は、国として、道路公害=自動車公害に対応する新たな被害者救済制度の創設を行うこと、そのためにも自動車メーカー等に財源拠出を含めた関与を強く要求するものとなっている。
  他方、02年10月29日の東京の1次判決とその後の和解の成立によって、少なくとも医療費救済制度に係る国と自動車メーカーの責任関与の枠組みは、すでに示されるところとなっている。

 

6 今回の、公害調停は、以上の経緯をふまえて申立てられた。
   以来、すでに公害調停は4回開催された。相手方となった国の対応は、一見誠実な態度を示しつつも、救済制度の必要性と重要性につき、きちんとこれを理解し、制度設計に向けて真摯に向き合うという体制に至っていない。国としてもっと積極的にイニシアティブを取り、制度の早期達成をめざすという姿勢に欠けている。
  申請人団としては、国への働きかけを強める必要がある。
  他方、自動車メーカーに至っては、もっと後向きの姿勢に終始している。自動車メーカーは ① 立法に関わる要求は、公害調停の土俵外  ② 制度内容につき国からの働きかけがなく不明。したがって、調停の土俵に乗れない ③ 財源は、国の外、自動車メーカー、石油業界、運輸、物販業界と(申請人は)言いながら、自動車メーカーのみを被申請人とするのは論外 ④ 東京大気訴訟で自動車メーカーは勝訴している(責任なし)。そのなかで高裁和解には一定の財源を拠出し、協力している、と主張し、さらには法的責任の枠組みは置いておくとして、医療費救済で「社会的責任」を果せと言われても、自動車メーカーは低公害車の開発で社会的責任は果している、として開き直りの対応を示し、公害調停は早期に打ち切り、調停不調にしろと、公調委に迫っている。


7 公調委は、被申請人、とりわけ、自動車メーカーの強硬な開き直り姿勢のなかで、申請人側からみて、若干、自動車メーカーに迎合的という姿勢を示しつづけていたが、第4回調停(11月27日)において、調停を早期に打ち切れという自動車メーカーの「言い分」を拒絶し、年明け以降の調停期日では大気汚染とぜん息等の発病・増悪の因果関係、いわゆる一般的因果関係につき、申請人側のプレゼンテーションをうけるとして、調停内容に一歩踏み出すことを宣明した。
   申請人としては、これにつづき、公調委がまだ乗り気を示していない責任論(国との関係では、規制権限不行使論、自動車メーカーの関係では、不法行為に係る過失論)について、申請人主張の認否、反論を迫り、一気に調停手続を軌道に乗せたいと考えている。

 また、公調委として大気汚染の現場、申請人の生活の場を直接見分する必要があるとして、東京(2ヵ所)、名古屋、大阪の「現場検証」申請につき、早期に採用すべきであると迫っている。
    いずれにしても、調停手続き自体、裁判と異なり、そう長期にわたるものではなく、本年度がまさにそのヤマ場、正念場となっている。

(2020.1.15記)

   

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.01.09更新

当事務所の川岸卓哉弁護士も呼びかけ人である台風19号 多摩川水害を考える川崎の会が、台風19号による多摩川流域の被害について、学習会を開催します。

川崎市内における台風19号水害の原因と責任を明らかにし、被災者の生活再建を目指し、水害の不安に脅かさることなく安心して暮らせるまちにするために、一緒に学びませんか。

学習会

日時 : 2020年1月15日(水)19時より
場所 : 川崎市総合自治会館ホール(1階)
川崎市中原区小杉町3-1 (JR南武線・東急東横線武蔵小杉駅 徒歩7分)

第 1 部 講演 小森次郎 さ ん( 帝京平成大学 准教授)

小森先生は溝の口にお住いで、日頃から温暖化による環境変化や災害の調査・研究をされています。
このたびの台風19号被害でも、市内の実態調査を行っており、直近の日本学術会議公開シンポジウム「令和元年台風第19号に関する緊急報告会」(2019/12/24)においても報告をされたばかりです。今回、台風19号による川崎市内の」被害について、科学的、客観的な視点からお話いただきます。

第2部 意見交流と今後の対策について
    他の専門分野からの助言・報告
    各地域での被害状況と意見交流
    「多摩川水害を考える川崎の会」としての今後の活動について

水害の原因究明・賠償・再発防止の新たな「請願署名」にもご協力をお願いします。

請願

ご連絡・お問合せ先
Mail:suigai.no@gmail.com
〒210-8544 川崎市川崎区砂子1-10-2
ソシオ砂子ビル7階 川崎合同法律事務所内
TEL 044 211 0121

投稿者: 川崎合同法律事務所

2019.12.12更新

本年12月5日、当事務所の川岸卓哉弁護士も設立準備メンバーである、台風19号多摩川水害を考える川崎有志の会(仮称)が、福田紀彦川崎市長宛てに、台風19号による浸水原因の検証委員会設置等を求める要望書を提出しました。

申し入れ

前日に開催された有志の会の学習会では、多数の被災地域の市民の方が参加するなか、元国土交通省職員の坂内亮さんともに、「川崎市の樋門ゲート操作の法的問題点」をテーマに当事務所の川岸卓哉弁護士より講義を行い、川崎市の樋門ゲート操作の違法性について、説明しました。翌日の川崎市長への申し入れでは、学習会に参加された方から集めた署名200筆以上とともに、提出をしたものです。

学習会

1 要望事項

①台風19号による浸水被害の原因について検証委員会を設置して検証すること。検証委員会は、川崎市と利害関係のない河川、法律等の専門家のほか、市民(被災者地域の代表等)によって構成すること
②川崎市の責任を認め被災者の生活再建のため完全賠償をすること
③二度と水害が起こらないよう速やかに再発防止策を示し実行すること

2 要望理由

2019年10月日本列島を襲った台風19号は、川崎市民にも大きな被害をもたらしました。とりわけ、川崎市の管理する多摩川の5か所の排水樋管(山王、宮内、諏訪、二子、宇奈根)のゲートが閉じられなかったため逆流した泥水は、広範な地域を襲い、甚大な被害を引き起こしました。
川崎市当局は、各排水樋管のゲートを閉鎖しなかったのは、操作手順書に従った「総合判断」であり、問題なかったと説明します。しかし、当時、台風の関東地方接近上陸によって、多摩川の水位の上昇と逆流の発生は容易に予見できた状況で、現に、逆流の発生を確認していました。それにもかかわらず、逆流防止を目的として設置されたゲートを閉じなかった川崎市当局の判断はあまりに不合理です。
川崎市当局は、2020年3月までには、被害原因の検証結果を報告するとしていますが、不合理な説明を繰り返す当局の自己検証によっては、自らの責任を認める検証結果は期待できません。川崎市と利害関係のない第三者の河川専門家、法律専門家のほか、市民(被災者の代表等)によって構成された、被災原因の検証委員会を設置し、責任を検証することが不可欠です。
被災者には、生活再建のため、自己負担で多額の支出を余儀なくされているものも多く、現在の補償では不十分です。川崎市は、自らの責任を前提とした、完全な賠償を行うべきです。
地球温暖化の影響で水害が激甚化するなか、再び同規模またはそれ以上の水害は起こりえます。被災地域の住民は、来夏以降も浸水被害に脅かされるのではないかと、不安を抱えながら暮らしています。川崎市には、今回の原因の検証結果を待たずに、速やかに、短期~中長期的な再発防止策を示し、予算化し、今できることから着手し、二度と水害が起こらないよう対策を講じる責務があります。
被災地域の想いを真摯に受け止め、被災者の生活を再建し、川崎市を水害に脅かされずに安心して暮らせる街とするため、以上の要望事項の速やかな実施を求めます。

3 有志の会の呼びかけとスケジュール

① : 「台風19号による浸水原因の検証委員会設置等を求める要望書」に署名しましょう。
② : 前項の要望書の署名をご近所やお知り合いの方に広げましょう。
③: 安心して暮らせるまちづくりを、市民自身の手で進めていきましょう。
  そのために、この「会」の運営にあなたも参加してください。
  知っているようで知らなかった防災の知識を、一緒に学びましょう。
●当面のスケジュールをお知らせします。
◇次回準備会◇
 12月19日(木) 19時より21時まで / 川崎市総合自治会館 第1会議室 にて
 「会」の正式な運営体制を発足させたいと思います。代表者や「会」の名称を決めて、署名の
 目標やスケジュールを話し合います。
◇第2回学習会◇
 2020年1月15日(水) 19時より21時まで / 川崎市総合自治会館 ホール にて
 来年夏以降の再発防止策は、市民の切実な願いです。これにどう応えるかは、大切な課題で
 あり、専門的知見を持った講師を迎え、短期・長期の有効な防止策を市民サイドで共に考え、
 行政に提案しましょう。
◇弁護士相談会◇(無料)
12月14日(土) 午前/9:00~12:00 会館とどろき
        午後/13:30~16:30 山王会館洋室
        夜間/18:00~21:00 てくのかわさき技連研修室(1F・工作室奥)
       *この度の被災に関わる問題での、賠償・補償など、法律相談を受け付けます。

 市は、今回の水害の検証結果や災害防止策を「2020年3月までに出す」と発表しています。
この3月までに、私たちの取り組みをどれだけ広げられるかが大切です。   

署名 

台風19号多摩川水害を考える川崎有志の会準備会 署名送付先
〒210-8544 川崎市川崎区砂子1-10-2ソシオ砂子ビル7階 川崎合同法律事務所内
TEL 044-211-0121 FAX 044-211-0123

4 申し入れの報道 

NHK神奈川 NEWS WEB (動画あり)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yokohama/20191205/1050008348.html

TVKニュース
http://www.tvk-yokohama.com/tvknews/news0.php

共同通信
https://this.kiji.is/575228965775787105?c=39546741839462401

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20191205/k00/00m/040/207000c

ニッカンスポーツ
https://www.nikkansports.com/general/news/201912050000476.html

NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191205/k10012203421000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_034

    

投稿者: 川崎合同法律事務所

2019.12.10更新

nissann

1 日産非正規切り事件とは
 2009年2月、日産のカルロス・ゴーンCEOが、リーマンショックによる「経営不況」を理由に約2万5000人の人員削減を発表。国内約8000人もの非正規労働者(派遣労働者・契約社員等)を契約解除・雇止めにしました。その中に本事件の申立人5人(日産自動車に派遣されていたデザイナーA氏、B氏,期間工C氏、日産車体の期間工D氏、E氏)もいたのです。
 5人は同種の正社員と全く同じかそれ以上の仕事をしていましたが、契約の形式が正社員ではないというだけの理由で物のように切り捨てられたのです。しかも、「経営不況」とは名ばかりで日産は同年5月には一部増産に転じた程です。正社員ならば絶対に解雇できない場合でした。「非正規労働者」とは、「正社員」ならば法律上解雇することができない場合にも会社の勝手な都合で解雇できるように契約形式だけを擬装したものに過ぎなかったのです。5人はそれぞれ日産自動車と日産車体へ地位確認を求め提訴しました。しかし、裁判所は日産が労働者派遣法等に違反している事実をいくつも認めたにも拘わらず5人の訴えを退けました。


2 県労委が日産をA氏B氏の「使用者」と認める画期的命令!
  訴訟と並行して、5名の加入するJMITU(日本金属製造情報通信労働組合)は、日産自動車及び日産車体に本件解決を求めて団体交渉(「団交」)を申入ました。しかし、日産自動車は、A氏、B氏は派遣社員であり自社と雇用関係にないから自らは「使用者」(労組法7条)に該当しないとして団交を拒否しました。また、C氏については団交には応じましたが「裁判で解決済」と繰り返すだけの形式団交に終始しました。日産車体のD氏、E氏に対する対応も同じでした。そこで、JMITUは、日産自動車・日産車体を相手に、両社の行為が不当労働行為に該当するとして、誠実に団交に応じよとの命令を求めて、神奈川県労働委員会(県労委)に救済を申立てました。
  2018年1月、県労委は,「日産自動車は派遣元によるA、Bの採用及び雇用の終了につき、事実上、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定していた」「日産自動車は、A、Bの復職を巡る労使紛争を解決できる地位と権限がある、組合との団交によって紛争を自主的に解決すべき当事者性も有する」として日産自動車は労組法7条2号の「使用者」に当たると判断し、団交に応じるよう命令しました。また、Cについては「組合の要求」は裁判とは異なるものでしたが、「裁判と同様であると決めつけて誠実な対応行わず」「実は組合の要求など一切まともに検討していない」として不誠実な団交であったことを認め誠実に団交せよと命令しました。


3  和解=全面解決
  県労委命令に続き中央労働委員会の審議は1年以上続きましたが、和解勧告を受けて協議し、2019年8月19日、JMITU神奈川地本と日産自動車・日産車体との間で和解が成立し、10年以上にわたって続いた日産非正規切り事件が全面解決しました。


4 リーマンショック後の非正規切り闘争の意義
  リーマンショック後、全国で数十件の非正規切り争議が闘われてきたが、本日産非正規切り争議の全面解決によってほぼ全事件が収束した。
  私は、いすゞ、資生堂・アンフィニ、ラデイアホールデイングス、日産・日産車体等、この10年間非正規切りに対する派遣先・注文先あるいは有期契約先大企業の雇用者責任を追及し続けてきました。今、10年の闘いを振り返って、大きな成果があったと考えています。先ず、リーマンショック以前には非正規労働者で権利闘争に立ち上がる人はほとんどいませんでした。何故なら、非正規労働者には闘いに立ち上がるための労働組合活動の経験もなければ最低限の蓄えもなかったからです。しかし、それが、リーマンショック後、全国でわき起こった派遣村や非正規切りに対する怒りの世論の後押しを受け初めて労働組合に入り、生活を維持しながら闘う術を確立し闘うことができたのです。そして、資生堂・アンフィニ事件を始め相当額の解決金や謝罪より大企業に明確に雇用者責任をとらせる大きな勝利的解決を導き、非正規労働者を物として扱ってきた大企業にと対し(正社員は「人事部」が扱い、派遣社員は「購買部」が扱う等)何をしても許される物ではなく非正規労働者も人なのだということを示したことが大きな意義があったと思います。
    次に、この闘いにより、労働組合、学者、文化人、国民の中に非正規問題を持ち込み、それぞれの立場から様々な方法で事件を支援し、運動が広範に広がったことが重要でした。それは世論を変え、不当に雇用者責任を免れようとする大企業の策動に一定の規制をかけることにつながりました。相当数の大企業が非正規の正規化に着手しました。
    また、立法闘争に立法事実を与え続ける根拠となり、労働者派遣法や労働者契約法に非正規に対する不当な差別的取扱を止めさせる、まだ全く不十分ですが雇用者責任を一定程度果たさせる法改正につながりましました。
   最後を飾った日産争議において、前述の通り、県労委命令により派遣先である日産自 動車が団交の「使用者」であることが認められ、その命令が覆されなかったことも重要 です。今後、派遣労働者が派遣先と団交し闘う基礎となり得るものです。
    まさに、10年の闘いは大きな成果を上げてきたのです。


    しかし、なお、大企業との傀儡である政府は非正規労働者の増大を画策し、その権利を制限し、雇用責任を一層逃れる策動を続けています。今、「無期雇用転換」逃れの雇い止めや、労働者の請負化の推進など枚挙に暇がありません。安倍「働き方改革」もその指向性は明白です。  私は、引き続き望めば誰もが正社員として働ける社会、裏返せば、労働者を使用して利益を上げる者は雇用者責任を果たす社会実現のために闘ってゆく決意です。
   

 

投稿者: 川崎合同法律事務所

2019.12.06更新

  当事務所の弁護士 西村隆雄の写真展が開催されます。是非、お運び頂ければ幸いです。

 

日時:2019年12月9日(月)~23日(月) (火・水休み)

10:30~16:00(初日12:00~、最終日~14:00)

会場:カフェギャラリーBOJO(八王子市南大沢2-220-5)

http://www.e-tamaya.biz/bj/

 

nishimura

投稿者: 川崎合同法律事務所

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