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2021.01.25更新

 親から辛い目にあわされてやっとの思いで家から逃げてきた。代わりに親と話してほしいけど、お金がないから弁護士なんて頼めないよね?

 そんなことはありません。

 「子どもに対する法律援助」という制度があります。
(※以下結論をいち早く知りたい方は「☆」の付いた太字の部分だけでも読んでみてください。)

 

1 「子どもに対する法律援助」とは


 日本弁護士連合会という日本の全ての弁護士が登録している組織が、人権救済のために、弁護士から徴収した会費を主な財源とし、法テラスによる民事法律扶助制度や国選弁護制度等でカバーされていない方を対象として弁護士費用等を援助する法律援助事業を行っています。日弁連は、総合法律支援法に基づき、この事業を2007年10月1日から法テラスに委託して実施しています(日弁連委託援助業務)。
 この事業の中に「子どもに対する法律援助」があります。
 なお、日弁連は「子どもに対する法律援助」以外にも様々な法律援助事業を委託しています。こちらをご参照ください。
https://www.nichibenren.or.jp/activity/justice/houterasu/hourituenjyojigyou.html

 

☆ 要は、子どもが自分で弁護士をつけるための費用を出してもらえる制度があるということです。

 

2 「子どもに対する法律援助」でできること


 援助の対象となる活動は以下のとおりです。


⑴ 行政手続代理等

・ 行政機関(特に児童相談所)、児童養護施設等の施設との交渉の代理
・ シェルターその他の施設等への入所へ向けた支援、入所中の支援、施設等から自立的生活への移行へ向けた支援
・ 虐待等を行う親との交渉に関する代理、親との関係調整活動
・ 児童虐待事件に関する刑事告訴手続の代理、刑事手続で証人として出廷する子どもの援助
・ 学校等において体罰、いじめ等の人権侵害を受けているが、保護者が解決しようとしない事件についての交渉代理
・ 少年法第6条の2第1項の調査に関する付添人活動

 

⑵ 訴訟代理等(⑶以外)

・虐待する養親との離縁訴訟、扶養を求める調停や審判手続等の法的手続の代理(親権者の協力が得られないため、民事法律扶助の申込みができない場合)及びこれに関わる法的手続の代理


⑶ 子どもの手続代理人

・ 家事調停手続、家事審判手続、ハーグ条約実施法に基づく子の返還申立事件の手続及び即時抗告の手続(ただし、除外事項あり)における手続代理又は当事者参加申出、利害関係参加申出、利害関係参加許可申立て及びハーグ条約実施法に基づく子の返還申立事件の手続への参加申出の手続代理並びにそれらの支援


⑷ 以上に関わる法律相談

 

☆ これらの中でもとりわけ、親との交渉や裁判手続のために弁護士をつけられるのがこの制度の良い所です。

 

3 「子どもに対する法律援助」を利用するために


利用するためには以下の3つの要件を満たす必要があります。


① 虐待や体罰、いじめ等により人権救済を必要としている子ども(20歳未満)等の対象者に該当すること(※貧困、遺棄、無関心、敵対その他の理由により、その子どもの親等各申立権のある親族から協力を得られない場合に限られます)。


② 資力要件(例えば手取り月収が単身者で20万1,000円以下であることなど)。


③ 事件について弁護士に依頼する必要性・相当性があること。

 

☆ 以上の要件はありますが、親などから辛い目にあわされている子はこの要件を満たす場合が多いです。利用に当たっては弁護士を通じての申込みが必要となりますので、お気軽にご相談ください。

 原則として「子どもに対する法律援助」利用にかかる相談は、法テラスを利用して無料にて承ることができます。

 

4 よくある質問


Q1:本当に無料なの?


A1:原則として無料で、援助を受けた報酬、費用について、申込者の負担はありません(法テラスから担当弁護士に支払われます)。ただし、現実に利益が得られた場合などについて例外もあります。(詳細は次の法テラスウェブサイト参照。https://www.houterasu.or.jp/higaishashien/seido/kodomo_houritsuenjo/index.html

 

Q2:弁護士をつけるのに親の同意はいらないの?


A2:子どもに対する法律援助の利用に当たって、親などの法定代理人の同意を得る必要はありません。
 弁護士に事件を依頼する委任契約などの「契約」は、通常、民法5条1項本文及び同2項に基づいて、親権者の同意がない限り、取り消すことができます。しかし、親などの法定代理人を相手に交渉などを行う場合に、親などの法定代理人が、弁護士と子どもとの間の委任契約を取り消せるとしてしまうと、子どもは弁護士をつけられず、子どもに対する法律援助の意義がなくなってしまいます。そこで、子どもに対する法律援助では、子どもの金銭的な負担をなくすことによって、民法5条但し書き(「ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。」)に基づき、委任契約の取消しを防いでいます。子どもは負担なく単に法律サービスを受けるだけという扱いです。

 

5 最後に


☆ 川崎合同法律事務所では、子どもが 「自分のことは自分で決める」ことを応援します。困っている場合はすぐにご相談ください。
 辛い立場に置かれた子どもを支援されている方も、子どもに対する法律援助の利用含めて、その子のために何ができるか一緒に考えて行けたらと思いますので、お気軽にご相談ください。
 原則として「子どもに対する法律援助」利用にかかる相談は、法テラスを利用して無料にて承ることができます。

 

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.01.25更新

小林展大弁護士については、こちらをご覧下さい。

 

第1 知る権利


 憲法21条1項は,「集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。」と規定していて,これは表現の自由を保障したものです。表現の自由は,個人が言論活動によって自己の人格を形成・発展させる自己実現の価値,言論活動によって国民が政治的意思決定過程に関与するという自己統治の価値があるので,極めて重要な基本的人権とされています。
 表現の自由は,思想・情報等の伝達の自由ですが,一方では思想・情報等の受け手を前提としているから,高度に情報化され,大多数の国民が情報の受け手に固定化されている現代社会においては,情報の受け手側から表現の自由を構成すべく,知る権利が保障されているのです。

 

第2 情報公開請求


1 知る権利を具体化するものとして,情報公開制度があります。

 国の行政機関に対する請求は,行政機関情報公開法,独立行政法人に対する請求は独立行政法人情報公開法,地方自治体に対する請求は地方自治体の情報公開条例に基づいて請求することになります。
 なお,裁判所については,行政機関情報公開法の適用はありませんが,司法行政文書開示申出という制度があります。


2 情報公開請求をするにあたり,請求書の書式をホームページ等に掲載している地方自治体,行政機関もありますので,案内にしたがって,請求書の必要事項を記入することとなります。
 請求する情報,文書の名称等の欄には,どのような文書の開示を受けたいかを書くことになります(場合によって,問合せがあったり,補正を求められたりすることもあります。)。
 請求書に必要事項を記入したら,手数料分の印紙を貼付して郵送すれば手続ができます(FAX送信を受け付けているところもあります。)。
3 請求後は,一定の期間内に請求者に開示・部分開示・不開示の決定がなされます(決定が延長されることもあります。)。
  開示の実施の方法は,閲覧,写しの交付等の方法があります(コピー代等の費用負担を求められます。)。


4 開示・部分開示・不開示決定につき,不服がある場合には,一定期間内に不服申立をすることができます。

  ⑴ 審査請求という不服申立をする場合には,審査請求書という書面を提出して,不開示処分の取消しを求めたり,対象文書の追加特定を求めたりします。
    行政機関,地方自治体からは,弁明書,理由説明書等の書面が提出されることがあり,それに対して,請求者は反論書,意見書等の書面を提出することがあります。
    そして,情報公開・個人情報保護審査会,行政不服審査会に諮問され,その後,情報公開・個人情報保護審査会,行政不服審査会が答申を取りまとめて提出すると,これを受けて諮問庁が裁決することとなります。


  ⑵ 不服申立として訴訟をする場合には,不開示処分等の取消しの訴え等を提起することとなります。そして,裁判所で審理がなされます。

 

第3 マイナンバー違憲訴訟と情報公開請求


 マイナンバー違憲訴訟が進行するにつれて,次々とマイナンバーが漏え いする事故が発生しています。
 マイナンバーを取扱う業務については,委託元の許諾を得なければ再委託してはならないこととなっています(番号法10条1項)。しかし,委託元の許諾を得ずにマイナンバーを取扱う業務を再委託して,マイナンバーが大量漏えいするという事故が続発したことから,マイナンバー違憲訴訟弁護団は,知る権利を行使して,その事故が発生した地方自治体,行政機関に対し,情報公開請求及び審査請求をして,口頭意見陳述も行って攻勢をかけています。
 マイナンバー違憲訴訟は,このようにして情報公開請求を駆使して,知る権利運動を展開しているのです。


以 上

 

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.12.09更新

2020年11月28日,大気汚染公害調停のニュース(特集)がYouTubeにアップされました。

これまでの経緯,被害の現状などわかりやすく特集されています。

ニュース(特集)動画はこちら↓↓

https://bit.ly/3lbj2RL

大気汚染公害は,いまなお続いており,公害患者の方々は,ぜん息等で苦しんでいるだけでなく,医療費負担等で大変苦しんでいます。


川崎を含め,全国の大気汚染公害患者約100名は,現在公害調停の手続で国及び自動車メーカーらに対し,医療費救済制度の創設を
求めています。


当事務所の篠原義仁弁護士(団長),西村隆雄弁護士(副団長),川口彩子弁護士,山口毅大弁護士が公害調停弁護団に加わっております。

医療費救済制度創設のためにも,ぜひニュース(特集)動画をご視聴頂いて,いいね,シェア,高評価,チャンネル登録等してください。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.10.29更新

 山口毅大弁護士の紹介は、こちらをご覧下さい。

 

 新型コロナウイルス感染症を理由に解雇される等の相談が数多く寄せられております。

 実際に,2020年10月27日の厚生労働省の発表によれば,新型コロナウイルス感染拡大に関連する解雇や雇止めが2020年10月23日時点で,見込みを含み,6万8140人となっております。
 会社から新型コロナウイルス感染症を理由に解雇すると言われた労働者の方々の中には,「なにかがおかしい」と様々な違和感を感じながらも「新型コロナウイルス感染症だから仕方がない」と思っている方もおられます。
 ですが,「新型コロナウイルス感染症だから」解雇するという理由によっては,違法,無効になります。
 この間,新型コロナウイルス感染症関連の解雇事件を多く担当してきている実感としては,従業員が新型コロナウイルス感染症防止に反する行動を行ったことを理由に解雇した,あるいは,会社の経営が悪化した等の理由を述べて解雇していても,その客観的に具体的な根拠がないため,客観的に合理的がない理由がなく,社会通念上相当を欠く場合,

 

整理解雇の四要件(①人員削減の必要性,②解雇回避努力義務,③人選の合理性,④手続の相当性)

 

を満たさない場合が多いです。
 実際に,交渉,労働審判手続等で解雇の撤回による復職が認められたケース,解決金を支払ってもらって会社都合による合意退職をしたケースがあります。
 交渉や法的手段を採ることで泣き寝入りを防ぐことができ,労働者の権利を実現できる場合もあります。


 お一人で悩まれることなく,ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.10.14更新

2019年台風19号による水害から一年。一周年にあたる本年10月12日、「台風19号多摩川水害を考える川崎の会」主催で、「台風19号多摩川水害 被害の回復求め集団訴訟を呼び掛けるキックオフ集会」を、200名近い参加で開催しました。

 

1 100年前に川崎で起きた「アミガサ事件」の教訓
集会では、最初に、中原区在住の落語家、寝床屋道楽師匠が、100年前の多摩川の水害にまつある「アミガサ事件」の落語を披露しました。古来より、多摩川は暴れ川といわれており、川崎の住民は水害に苦しんできました。他方で、住民たちは命や生活を守るため、声を上げて、水害を防ぐ対策を行政に対し求め、実施させてきた歴史があります。大正時代には、御幸村(現在の中原区平間)の住民が、多摩川の水害に耐えかねて、200名以上が編み笠をかぶって蜂起、横浜の神奈川県庁へ押し寄せ対策を直訴した事件がありました。結果、神奈川県知事を動かしてて堤防「有吉堤」(当時の有吉忠一知事から命名)をつくらさせました。この100年前の話は、水害をなくすためには「市民が声を上げ、行動をしなければならない」という、今にも通じる貴重な教訓になるものです。

2 多摩川は安全か 
次に、国土交通省職員OBの中山幸男さんから、現在の多摩川の治水対策の現状について、報告がありました。近年、地球温暖化の影響によって豪雨が顕著に増加傾向にあるなかですが、多摩川の洪水対策は、計画より大幅に遅れ、深刻な洪水とは背中合わせの状態にあります。仮に、多摩川が決壊した場合には、川崎市の注南部地区全域の浸水被害が想定されており、川崎で住み、働く私たちにとって、多摩川の万全の治水対策なくて平穏な生活はありません。中山さんは、国の多摩川の治水対策を前進させるためにも、今回の裁判を通じて、市民が水害対策を求める声を上げ続けることが大切だと訴えました。

3 政策形成訴訟を通じて求める全体救済と再発防止
当事務所の西村隆雄弁護士は、台風19号多摩川水害訴訟弁護団長として、川崎市の責任が明らかであり、裁判を通じて、川崎市に責任を認めさせ謝罪させるとともに、被災者の生活再建と、再発防止を求めていく重要性を訴えました。特に、西村弁護士は、本件が、裁判の原告のみならず、被災者全員の救済と再発防止策を行政に求める政策訴訟と位置付けました。西村弁護士が関わった川崎公害訴訟、東京大気訴訟、さらには現在最高裁で争っている建設アスベスト訴訟等の歩みに学び、裁判と運動の両輪で短期での決着を図り、川崎市を動かして、全体救済と再発防止の政策の実施を求めていく必要性を訴えました。
最後に、集会を主催した「台風19号多摩川水害を考える川崎の会」からは訴えがありました。最大の被災地上丸子山王町の被災者である川崎晶子さんからは、原告になることを呼びかけました。また、同じく被災地の宮内地区で被災を免れた長谷川淳さんからは、原告になれない方も、裁判の支援と再発防止の運動を広めるため、支援の会への参加を訴えました。

4 水害なく安心してくらせる川崎にするために
原告申込者は集会時点で、約50名に達しました。しかし、2600世帯以上の被災者のなかでは、まだまだ少数です。提訴へ向けて、被災者が誰一人泣き寝入りしないためにも、原告団をさらに大きくしていかなければなりません。
 当事務所からは、西村隆雄弁護士をはじめ、多くの弁護士が弁護団に加わっています。この裁判に勝利し、被災者を救済するとともに、多摩川の水害と隣り合わせの川崎が安心して暮らせる街とするための政策を前進させるため、闘い抜く決意です。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.10.06更新

中瀬奈都子弁護士については、こちらをご覧下さい。

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(勝訴の旗を掲げる弁護士・原告)

 

 2020年9月30日、渡辺、川岸、中瀬が弁護団に参加している「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(以下、「生業訴訟」)の控訴審判決が仙台高裁で言い渡されました。表記のとおり、国と東電に勝ち、賠償対象域の拡大や賠償水準の上積みを認める勝訴判決でした。

nariwai2 (3人で記念撮影しました。※マスクは撮影時のみ外しました)

 

 生業訴訟は、2011(平成23)年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所事故の被害者である福島県及び隣接県の住民ら約3600名が、事故を引き起こした国と東京電力を被告として、その責任を追及するとともに、事故当時の居住地の地域環境(空間線量)を事故前の水準に戻すこと(原状回復)及び損害賠償を求めることを目的として提起した裁判です。

 

1.国と東電の責任について
 仙台高裁判決では、一審・福島地裁判決に続き、今回の原発事故についての東京電力及び国の法的責任を明確に認めました。
 まず、本件事故の予見可能性に関しては、いわゆる「長期評価」について、「相当程度に客観的かつ合理的根拠を有する科学的知見であったことは動かし難い」「遅くとも平成14年末頃までには、10mを超える津波が到来する可能性について認識し得た」として、予見可能性を明確に認めました。
 また、結果回避可能性についても、重要機器室やタービン建屋の水密化等の対策により本件事故の発生を防ぎ得る可能性があったとして結果回避可能性を肯定し、国と東電の過失責任を認めました。
 さらに、「『長期評価』の見解等の重大事故の危険性を示唆する新たな知見に接した際の東電の行動は、当該知見をただちに防災対策に生かそうと動いたり、当該知見に科学的・合理的根拠がどの程度存在するかを可及的速やかに確認したりせず、新たな防災対策を極力回避しあるいは先延ばしにしたいとの思惑のみが目立つものであったといわざるを得ず、東電の義務違反の程度は、決して軽微といえない程度であったというべきである」とし、東電の重大な過失を断罪しています。国の責任についても、「不誠実ともいえる東電の報告を唯々諾々と受け入れることとなったものであり、規制当局に期待される役割を果たさなかった」として、強く断罪しました。
 仙台高裁判決が、国と東京電力の責任を明確に認めたことは、事故の再発防止や被害者の全面的な救済のみならず、被災地の復興にとっても大きな意義があります。高等裁判所においてかかる司法判断が下されたことを受け、国及び東京電力は、自ら本件事故についての過失責任を認め、これを前提とした各種の施策を実行するべきです。

 

2.被害・損害について
 仙台高裁判決は、上記のとおり認定した国と東電の過失を慰謝料の算定にあたって考慮すべき重要な要素としました。
  さらには、国の責任割合について、東電と比較して低いとした一審判決を取り消し、国と東電が同等の責任を負うと判断しました。
  その上で、①避難指示等の対象区域に居住していた原告については、一審判決が事実上否定した「ふるさと喪失損害」を認め、賠償額を大幅に上積みしました。また、②避難指示等の対象区域外に居住していた原告については、一審判決よりも広い範囲について損害賠償を認めました。
 各地域の基本的な認容額は以下のとおりです(中間指針や東電の自主賠償の金額を差し引いた金額です。但し弁護士費用を除く。)。

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※1 子ども:賠償対象期間内に満18歳以下の期間があった者.

        妊婦:賠償対象期間内に妊娠していた期間があった者。

※2 福島市、二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村、郡山市、須賀川市、田村市、鏡石町、天栄村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町、相馬市、新地町、いわき市)のうち避難等対象区域を除く区域。
※3 白河市、西郷村、泉崎村、中島村、矢吹町、棚倉町、矢祭町、塙町、鮫川村

 

 原告らが居住していた全ての地域について救済の対象せず、また金額についても求めていた水準に達していない部分があり不十分な点は残りますが、原告ら被害者に対する権利侵害を認め、中間指針や東電の自主賠償の金額・対象地域から、賠償の対象地域を拡大し(中間指針等で賠償対象とされていなかった県南・丸森地域の成人、会津地域・栃木県那須町の妊婦・子どもについて被害認定)、全体として賠償水準の上積みを認めたは、原告らのみにとどまらず広く被害者の救済を図るという意味において、前進です。

 

 さらに、一審判決が「居住地の汚染が社会通念上受忍すべき限度を超えた平穏生活権侵害となるか否か」とした点について、本件には「妥当しない」とした点も評価できます。仙台高裁判決は、「本訴において一審原告らが受けたと主張する被害は、福島第一原発の正常な稼働によって生じたものではなく、前示のとおり一審被告東電の義務違反及び一審被告国の違法な規制権限不行使の結果として福島第一原発が本件事故を起こしたことによるものであって、社会にとって公共性ないし公益上の必要性がある施設等の正常な運用・供用等による侵害行為が生じているという場合ではないから、上記判断枠組みは本訴において妥当するものであるとはいえない。したがって、原判決の用いた上記判断枠組みが相当でないとの一審原告らの論旨は理由があるというべきである。」と判示しています。

 

 原告団・弁護団は、国及び東京電力に対し、法的責任を断罪する司法判断が再び示されたことを真摯に受け止めた上で、
 ①上告を断念すること
 ②二度と原発事故の惨禍を繰り返すことのないよう、事故惹起についての責任を自ら認め謝罪すること
 ③中間指針等に基づく賠償を見直し、強制避難、区域外(自主的)避難、滞在者など全ての被害者に対して、被害の実態に応じた十分な賠償を行うこと
 ④被害者の生活・生業の再建、地域環境の回復及び健康被害予防等の施策を速やかに具体化し実施すること
 ⑤事後の賠償では回復することができない被害が生じる原発を即時稼働停止し、廃炉とすること
を強く求めています。

 

 仙台高裁判決は、全国でたたかわれている裁判の中でも国を相手にした裁判として、初めて高等裁判所の判断が出されたことから、大きな注目を受け、NHK持論公論( https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/436789.html)で取り扱っていただくなど、マスコミ各社に大きく報道していただきました。

 

 最後になりましたが、仙台高裁に対し公正判決を求める署名は、「146,774筆」を提出することができました。当事務所にも署名を多数お寄せいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

今回の仙台高裁の判決は、みなさんのご支援の賜物です。これからも、原発をなくし、被害の完全救済を求めて取り組んで参りますので、引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。

※過去の記事はこちら ☛ https://www.kawagou.org/blog/2017/10/post-31-528350.html

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.10.06更新

ご相談受付電話番号:050-3580-8346 

 2020年10⽉・11⽉ 毎週土曜日12時~16時、弁護士による労働問題無料電話相談を実施しています。
(10/10、10/17、10/24、10/31、11/7、11/14、11/21、11/28)

 新型コロナウイルス感染拡大による雇用危機が深刻化し、コロナ関連の解雇や雇い止めは、見込みも含め6万人に迫る勢いです。法律の専門家に対する相談需要も高まっている事から、無料の電話相談を実施する事にいたしました。

 労働問題に精通した川崎合同法律事務所の弁護士が、ご相談に応じます。

*相談時間は、お一人様30分までとさせて頂きます。

*一回線のみのご用意のため、つながりにくい事も予想されます。通話中でつながらない場合は、お手数ですが、時間をあけて、再度おかけ直し下さいますようお願いいたします。

 案内のPDFはこちらから

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投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.09.16更新

西村隆雄弁護士については、こちらをご覧下さい。

 8月28日の神奈川2陣東京高裁判決、9月4日東京2陣東京地裁判決と、連続で大きな勝利をおさめた建設アスベスト訴訟。
これで国には14連勝、建材メーカーにも5高裁含む8勝、さらに懸案であった一人親方をめぐる国の責任でも7連勝と、大きな前進を勝ちとることができました。
 しかし1陣訴訟の提訴から12年が経過する中で、原告、被災者の既に7割以上の方が命を奪われる状況となっており、一刻も早い解決が望まれるところとなっています。
 こうした中、原告とこれを支援する組合では、国と建材メーカーの負担で、全ての被災者に、裁判を起こすことなく簡易迅速に損害の補償を実現する補償基金制度の創設を求めて運動してきました。これに対して国は、いたずらに控訴、上告をくり返し、仮に最高裁で敗訴したらその判決に従って、いちいち被災者にあらたに裁判を提訴してもらって、その上で和解して補償を行う司法解決方式を標榜してきました。
 しかし、これまでに建設関係のアスベスト被災者は7000人を超えており、発病までの潜伏期間が30~40年と長いことから、今後もさらに被災者は増え続け、2万人以上にものぼると予想されています。こんな大変な数の被災者に、いちいち裁判を起こさないと救済しないなどというのはとんでもない話です。また一方の建材メーカーは和解などもってのほか、裁判で争い続けるとみられ、国民の血税で国が負担をしながら直接の加害者の建材メーカーは負担を免れる、そんないびつな解決が許されるはずもありません。
 今すでに5つの事件が最高裁に上がっていますが、いよいよその先陣を切って、私たちが代理人をつとめる神奈川1陣訴訟について、来たる10月22日に最高裁で弁論が開かれることとなり、早ければ年内、遅くとも来年初めには、最高裁判決が下される見通しとなっています。
 これを最大のチャンスとして、何としても補償基金制度を創設し、事件の全面解決を図っていくため、私たち弁護団としても全力を尽くす決意でのぞんでいるところです。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.09.10更新

1 かわさき市民オンブズマンの第23回定期総会が、2019年5月18日に開催された。その総会において、角田英昭(自治体問題研究所)さんをお招きして「指定管理者制度」について講演をして頂き、その運用実態と問題点について議論を深めた。
  神奈川における具体的事例として、津久井やまゆり園や川崎市市民ミュージアム、そしてツタヤ図書館の事例が取り上げられ、質疑が行われ、その討議結果をうけて、かわさき市民オンブズマンとしても、指定管理者制度について検討を深めることを確認した。
 そして、その後の幹事会で、関係者からの意見聴取を踏まえ、前記市民ミュージアム問題の検討に入ることとした。


2 市民ミュージアムは、博物館機能、美術館機能と映像機能を併せもつ総合文化施設として1988年11月に開館した。
 その財産管理は、数度の組織改編を経たのち、2003年の地方自治法の改正で指定管理者制度の導入が定められたのをうけて、川崎市においても2017年度から指定管理者制度を導入するため2016年2月川崎市市民ミュージアム条例を改正し、2017年7月にアクティオ・東急コミュニティ共同事業体を指定管理者に選定した(同年10月市議会の議決)。
 川崎市と前記共同事業体との間で締結された基本協定書では、収蔵品の保管、管理につき、善管注意義務が規定され、その上で、収蔵品が川崎市の所有に係る場合は重過失が、収蔵品が第三者の所有に係る場合(寄託)は軽過失を要件として損害賠償義務が課されるところとなった。


3 かわさき市民オンブズマンは、市民ミュージアムの収蔵品の管理状況は、指定管理者への移行後にあっては、「川崎市市民ミュージアムにおける資料等に関する要綱」で定められている管理台帳が不整備で、その上、ハザードマップで想定浸水深が「5~10m」とされている湿地帯(等々力緑地)の建物の地下に収蔵されていることに着目し、その問題点をえぐり出すため、2019年6月21日に情報公開請求を行った。
 そして、7月17日に公開された資料によれば、オンブズマンが予想したとおり管理台帳は不十分で、収蔵状況も地下収蔵が中心で防水壁等の設置もなく、災害対策上問題があると判明した。
 そこで、オンブズマンは、2019年9月2日に川崎市へ改善要求のための申入を行い、10月11日にその回答を得た。
 その回答につき、オンブズマンとして検討に着手しようとしたときに、台風19号が襲来し、収蔵品の浸水被害が発生した。
 台風19号は、10月8日時点で狩野川台風並みかそれを上回る大型台風であることが、国民に周知され、その危険回避のため、十二分な台風対策をとるよう注意報が発せられた。
 その台風19号は、10月12日19時前に伊豆半島に上陸し、関東地方を通過して、翌13日未明に東北地方の東海上に通り抜けた。
 この降雨により、市民ミュージアムの地下1階には推定16,000㎥の水が流入し、地下フロアにある第1から第9までの収蔵室 は、床上1.95m~2.55mの浸水を蒙り、地下収蔵の約22.9万点の収蔵品が水没した。
 市民ミュージアムの収蔵品は、約26万点で、そのうち約22.9万点が被害を受けるところとなった。
 一方、1階から3階の展示室等にあった収蔵品は、被害を免れた。


4 オンブズマンは、地下収蔵の収蔵品の被害について、川崎市長において、川崎市の関係職員と指定管理者である前記共同事業体に、収蔵品被害に係る損害賠償請求を行うよう求めて、2020年6月19日に住民監査請求を行った。

 責任追及の論点は、3点に要約できる。


(1)収蔵品管理上「ハザードマップの確認」が義務づけられているなかで、ハザードマップで想定浸水深が最大10mとされている低湿地で、防水壁の設置等予防対策を講じることなしに地下収蔵したことの誤り


(2)台風襲来時における応急的対策として地下の収蔵品を地上階に移し替えることは当然の手立てであるところ、全くその垂直移動の措置をとらなかったことの誤り
 ちなみに、市民ミュージアムには、館長、副館長、学芸員を含め常勤職員は31名いて、そして、会館内には超大型エレベーター2台、超大型台車2台、中型台車6台が常備されている。従って、職員を早期から現場配置し、エレベーター等の機材を利用して、収蔵品を地下から上層階へ移動することは、人的にも機材的にも、時間的にも十二分に可能であった。しかし、川崎市と指定管理者は、一切、移動の措置をとらなかった。


(3)管理に係る「大雨・強風等に係る自衛消防対策」のうち、「日常の大雨・強風対策、被害の未然の防止対策」として、「土のう・排水ポンプの定期点検」が義務づけられているところ、会館では、地上部に土のう(三段積みが必要)を積み上げるためには、660俵の土のうが必要なところ、何と15俵しか常備されておらず、その結果、地上部に三段積みで土のうを積み上げることができず、水害被害を発生させた、という誤り


5 以上の事実は、指定管理者として善管注意義務に反し、かつ、その責任は重過失に該るものとなっている。

  川崎市も、当然、川崎市の財産を管理すべき責任があるところ、市民文化局所管の市民ミュージアムにつき、市民文化局長は、その行政財産を管理する責任を有し、具体的な管理責任は、市民文化振興文化施設担当課長が担っているのであり、そして、川崎市長は、地方自治法149条6号に基づき、市の財産を管理する権限を本来的に有しているものであり、これら川崎市長及び関係職員も、この責任を怠ったものというほかない。
 オンブズマンは、前述したとおり監査請求を行ったが、川崎市監査委員は、2020年8月17日、川崎市長及び関係職員に係る部分は棄却し、指定管理者に係る部分は不適法として却下した。
 そこで、同年9月2日、住民訴訟を提起した。
 今回の裁判は、全国各地で行政主体が丸投げに近い形で、各種公共施設に指定管理者制度の導入を行っているなかで、指定管理者制度のもつ問題点を解明し、この制度自体の有り様をも問うものとして、提訴されたものである。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.09.02更新

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