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2021.03.02更新

山口毅大弁護士については、こちらから。

 

 2021年3月1日,厚生労働省は,新型コロナウイルスの影響による,解雇・雇い止め(見込みを含む。)の人数が同年2月26日時点の累計で9万人を超えたことを明らかにしました。


 しかしながら,この人数は,全国の労働局やハローワークを通じて集計した数字ですので,実態は,もっと多いと考えられます。


 また,2度目の緊急事態宣言により,解雇・雇い止めの数が増加傾向にあります。


 このような状況下において,新型コロナウイルス感染症を理由とする解雇が全て適法,有効になるかといえば,そうではありません。
実際に,労働者が出勤したところ,熱があったので,新型コロナウイルス感染症の疑いがあるとして,帰宅するよう命じられ,しばらく自宅待機するように言われた挙げ句,熱があるのに出勤したとして解雇された事案,新型コロナウイルス感染症のために売り上げが減少したと述べて解雇した事案(実際には,多少の売り上げの減少があったものの,解雇が適法になる程の人員削減の必要性がなく,解雇回避努力義務を果たしていなかった事案),内定を取り消した等の事案(使用者が内定を出してないと強弁した事案,2020年3月下旬時点で新型コロナウイルス感染症による具体的な経営予測ができなかったとして内定を取り消した事案)において,解雇,内定取消が違法,無効として,職場復帰を果たし,あるいは,違法な解雇があったとして解決金を得た事案等があります。


 解雇は,よっぽどのことがない限り,違法,無効となります。新型コロナウイルス感染症を理由とする場合も同様です。


 新型コロナウイルス感染症関連の解雇でお困りのみなさまにおかれましては,お一人で悩まれることなく,ぜひ一度ご相談ください。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.02.24更新

1 離婚するときに決めるべきこと

(1)離婚にあたり,最初の壁は「離婚をするかどうか」です。お互いに離婚を望んでいる場合もあるでしょうし,片方は離婚を決意していても,もう片方の気持ちが追いつかない場合もあります。条件次第では離婚してもよいという気持ちはあるけれども,条件が折り合わない場合は合意できません。


(2) 次に問題となるのは「親権者」です。20歳未満(2022年4月1日からは18歳未満)のお子さんについては,父母のいずれかを親権者に指定しなければなりません。


(3) 上記(1)(2)については,離婚の前に必ず決めなければなりませんが,養育費,慰謝料,財産分与,面会交流,年金分割などについては,何も取決めをせずに離婚することも可能です。とはいえ,離婚してしまうと夫婦は他人となるわけですから,あらかじめ離婚前に決めごとをしておくのが望ましいでしょう。


2 離婚の方法
 「離婚届」を提出して離婚することを「協議離婚」といいます。3組に1組が離婚をする時代などと言われていますが,国内の大部分の離婚は協議離婚です。
 当事者間で協議が整わないとき,あるいは当事者が家庭裁判所調停での解決を望むときは,家庭裁判所に調停の申立てをすることができます。調停で離婚についての合意が成立したときは「調停離婚」(場合により「審判離婚」)となります。
 調停での合意ができなかったときは,離婚の成否について裁判で決着をつけることになります。判決で離婚が認められた場合は「裁判離婚」,裁判を進めるなかで当事者が合意し,裁判手続を利用して離婚を成立させることを「和解離婚」といいます。離婚の裁判は「調停前置主義」といわれ,調停での話合いを試みてからでないと提訴することができません。ただし,例外的に,相手方が行方不明の場合や,収監中であるなど,調停における話合いが不可能な場合には,調停を経ずに裁判に進むことができます。


3 協議離婚か調停離婚か
(1) 当事者間で話し合いが進められそうな場合
法律相談で解決水準を知る
 当事者間の話し合いで決めごとができそうな場合は,協議離婚でよいと思います。ただし,協議離婚の場合,法的に決められるのは,離婚するということと親権者をどちらに指定するかということだけになります。
 特に,養育費など,今後も支払いが続く場合には,公正証書を作成するなどして,万一,不払いがあった場合に速やかに財産の差押えができるよう,備えておいた方がよいでしょう。
 取決めをしたい内容について,弁護士がご相談に乗ることが可能です。調停や裁判の事例をもとに,どこまで請求ができるのか,どの水準で解決するのが妥当かなどアドバイスをいたします。 

 

(2) 弁護士を代理人に選任して,協議離婚を目指す場合
弁護士は中立な第三者ではない
 ご相談を受けるなかで,「第三者に入ってもらって話し合いをしたい」と言われることがあります。ただ,弁護士は中立な第三者とはなりえず,ご相談を受けた方の立場に立ってしか行動できません。双方の言い分を聞いて,弁護士がジャッジするということはできませんので,そこはご理解をいただいています。
 協議離婚で弁護士が前面に出てくるのは,ご相談を受けた方の「代理人」として,相手方と離婚の協議をする場合です。


話合いでの解決が可能そうか
 ただ,相手方が離婚を頑なに拒んでいる場合,あるいは双方が強く親権を主張している場合など,弁護士が話をしたところで到底合意が得られなそうなケースでは,この過程を省略し,最初から調停を申し立てる場合も少なくありません。つまり,これまでの相手方の言動から,協議離婚が可能かどうかを見極め,可能そうだったら代理人として交渉にあたるということになります。


どこまで条件にこだわるか
 離婚,親権では合意ができそうでも,金銭面等のその他の条件での合意が難しそうな場合は,ご相談者がその条件にどこまでこだわるかによります。こちらにも譲歩の余地があるのでしたら,弁護士を代理人として粘り強く交渉していくという道もありますが,交渉の余地が一切ない場合は,弁護士を立てたとしても協議離婚を目指すのは難しいということになるでしょう。


公正証書の作成が必要か
 その他の判断要素としては,公正証書の作成までもっていけるかどうかということもあります。公正証書の作成には,相手方の協力が不可欠です。不払いのときに強制執行を受けることを了承する書類ですから,相手方によっては,応じてもらえないこともあります。公正証書までの作成はしなくとも,現時点では合意書が作成できればそれでよしとするのであれば,交渉による協議離婚の道も見えてきますが,強制執行を可能とする法的な効力を持たせたい,けれども公正証書作成につき相手方の協力を得ることが難しそうな場合は,やはり調停の申立てを選択することになります。調停で合意ができれば,裁判所が作成する調停調書をもとに将来強制執行をすることが可能となります。
 公正証書を作成せずとも,相手方が最後まできちんと支払ってくれるだろうという信頼がある場合は,合意書の作成で終わらせてもよいと思います。また,そもそも将来にわたる支払いの約束がない場合(たとえば一括払いで既に支払いを受けた場合)は,あえて公正証書にする必要はないと言えます。
 合意書に反して支払いがなされなかった場合ですが,未払金を強制的に回収するには,まず民事裁判を起こし,そこで勝訴判決を得てから強制執行手続に進むことになります。

 

(3) 調停離婚に適した場合
相手方の同意がすぐには得られないと思われる場合
 離婚することに同意が得られず,あるいは親権での対立がある場合は,最初から調停を申し立てることになります。必ずしも調停で解決がはかられるとは限りませんが,時間をかけて話し合いをしていくことで,相手方との合意が形成できる場合もあります。調停では,「第三者」である調停委員が,交互に双方の話を聞いてくれますので,その中で気持ちの整理をつけていただくことが期待できます。


相手方と話をすることが難しい場合
 調停の場では,原則として,個別に話を聞かれます。あなたがお話しした内容は,調停委員を通じて相手方に伝わり,相手方の考えは調停委員を通じて聞かされます。相手方の前では委縮して話をすることができない場合や,どちらかが一方的に話し続け口を挟む余地がない場合など,冷静かつ建設的な話し合いができない場合には,裁判所に間に入ってもらって,決めるべき内容に向かって話を整理してもらうことになります。


妥当な解決をはかりたい場合
 相手方が離婚や親権について一応は同意してる場合でも,養育費を極端に低く設定することや,お子さんにとって過負担となる面会交流を条件としてくるなど,一般的な水準からかけ離れた要求をされることがあります。逆の立場では,法外な養育費を請求されているというような場合もあります。

 調停離婚の場合には,裁判所が間に入って解決をはかることになりますので,一般水準とはかけ離れた要求を排除することが可能となります。


決めごとに法的効力を持たせたい場合
 相手方との話し合いが可能な場合は,協議離婚及び公正証書作成でもよいのですが,公正証書を作成するには通常2万円前後の費用がかかります。弁護士をつけなければ,調停の申立て費用は郵便切手代を含めても2000円程度ですから,大きなご負担なく,将来強制執行が可能となる書類を作成してもらうことが可能となります。

 

4 弁護士をつけるメリット
交渉で協議離婚を目指す場合
 概ね着地点は見えているにもかかわらず,当事者同士だとどうしても感情的になって決めるべきことが決められない場合があります。そのような場合,弁護士を入れることによって,淡々と決めるべきことを決めていくことができます。
 また,法律の専門家が提案することで,こちらの提案の妥当性,正当性について信用してもらいやすくなるという効果もあります。
 こちらが弁護士をつけることで相手方にも弁護士がつく場合があり,専門家同士で妥当かつ迅速な解決をはかることが可能となります。


調停での解決を目指す場合
 調停ではその場その場で判断を求められることが多くあります。内容によっては次回までに検討してきますとして回答を留保することもできますが,当事者にはその判断が難しいことがあります。一人で調停に臨むと,裁判所の意図を汲みきれずに,表面上の言葉で一喜一憂し,思うように調停が進められなかったという話をよく伺います。弁護士をつけておらず,当事者一人で調停をしていると,紛争解決を優先するあまり,調停委員から不利な結論を押し付けられることがあります。もちろんこれは調停委員の良し悪しによるのですが,必要以上にあなたの権利が削られないように防御するのが弁護士です。
 弁護士は,現在,裁判所がどのような方向性を目指して話を進めようとしようとしてるのか,言外にある意図を汲んでこちらの対応を組み立てます。こちらが検討すべき点,やっておかなければならない点を的確に把握し,しっかり対策をして,調停に臨みましょう。
 また,財産分与については計算が複雑になる場合も多く,専門家の助言があるに越したことはありません。その他,対立点が多く, 論点が多岐にわたる場合や,たくさんの条件を決めなければならない場合,弁護士は豊富な事例をもとに,あなたの立場を最大限まもりながら,着地点を見つけます。


 既に調停が始まってしまっている方,調停の申立てを考えている方,相手方から調停を申し立てられそうになっている方,ぜひ一度ご相談に見えてください。あなたの現在の状況に応じたアドバイスをさせていただきます。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.02.20更新

お金を払ってもらえなくて困ったことはありませんか
(債権回収入門)
~2021年2月時効に関する記載を修正~


弁護士 星野文紀


第1 債権回収とは

 「債権回収」とは、債権者が債務者から金銭支払いを受けること。それを受けるための活動をいいます。
取引先が、商品やサービスの代金を支払ってくれない場合や、工事を行ったにもかかわらず発注者や元請会社が「工事に問題がある。」「支払うお金がない」などと言って代金を一部しか支払ってくれない場合、貸したお金を返してくれない場合などが典型例です。
 権利があることに争いがないのに、お金を払ってもらうことができないとき全般を含みます。
 権利があるかどうかに争いがあるときはその確定の作業(例えば、裁判を起こして判決をもらう等)の作業が別に必要になります。
 では、債権回収の方法を見ていきましょう。少し、難しいですが、実務的に役立つ情報を書きましたので、参考にしてください。
 ただし、わからないことがありましたら、早めに相談に来られることをお勧めします。

 

第2 債権回収のために普段からしておくべきこと
 
 1 一般的には
  (1) 債権回収の極意は信用できない人とは取引をしないことです。そのためには相手をよく知ることが大事です。
  個人なら・・・経歴、世間の評判、資産、人柄、交友関係
  会社なら・・・経営者、会社概要(関連会社、業務内容、取引実績、取引先、決算書(推移)、会社資産、借入等、従業員の様子(活気、年齢構成、余裕)
などをよく観察することが大事です。大事な取引相手とは、雑談をするなどしてコミュニケーションを取るようにしましょう。そうすることで、取引後も、変化に注意できます。


 (2) 取引をする時は契約書を作るのが基本です。作った書類等を保管・整理しておくことも必要です。


 (3) 回収のための情報も得ておくことも大事です。


 普段の情報収集がいざというとき役に立ちます。
具体的には、
  ・相手にとっての自分の位置づけ
  ・主要取引先(社名・所在地・どんな会社か)
  ・各取引先との取引の量
  ・各取引先との決済方法(手段・締日・支払日)
  ・各取引先との関係性
  ・メインバンク、資金調達手段
  ・相手方の実権は誰が持っているのか
  ・相手の取引における強みはなんだろう
  ・決算書類
  などの情報があれば後々役立ちます。


(4) 債権請求の対価を履行した証拠を確保しておく。
    反対債務の履行義務がある場合は反対債務の履行を証明しないと支払いを受けることができない場合があります、反対債務を履行したという根拠を確保しておきます
・(例)物の販売なら、物を債務者が受け取ったという受領書


 2 建築請負代金債権の場合
  基本的には、一般の場合と変わりありませんが、若干の特殊性があります。


(1) 契約書を作ってもらえない場合
  契約書が作れない場合が多いです。
  その場合は見積を細かく発行し、日付入りの受領書・受領印をもらう等の工夫をしましょう。
  請負額を作業員数で決めているような場合は、人工単価だけでも、合意書、承諾書を作り、現場監督にでも署名捺印してもらう。


(2) 債権請求の対価を履行した証拠を確保しておく。
 請負完了の場合は元請あるいは注文者に立ち会ってもらい引渡証明をもらうといいでしょう。各仕事毎に完了証明がもらえればベターです。
 人工出しの場合=出面の証明(元請けの現場監督の証明書等)をもらうのがいいでしょう。


(3) できるだけ短い期間で、その期間内の代金回収を行うのが被害を少なくするコツですので、支払いの頻度はできるだけ短くしましょう。

 

第3 危ないと思ったら
危ないと思ったら、次のことを検討しましょう。この辺りから、弁護士に相談することをお勧めします。

(1) 取引を減らす。(損害を減らす)


(2) 契約を見直す。(支払猶予などの機会をとらえて)
  契約条項の見直し、違約金条項、解除、公正証書にする
  「減額請求」などがあった場合、意義を留保して相手方申し出の金員を受け取る。


(3) 担保を取る。
  保証人を付ける(個人保障)。抵当権。譲渡担保。仮登記担保。売渡担保(買戻特約)

 

第4 いよいよ債権回収
 いよいよ実際の債権回収です。よく作戦を考えて迅速に行動しましょう。


(1) 未払いの原因を考える
債権回収はまず、債務者の置かれている状況を知ることから。
払えないのか、払いたくないのか


(2) 計画をよく練ってから迅速に行動を
  相手のお金の流れをつかむことが大事です。
  計画のポイントは
  ・費用
 ・時間
 ・確実性
  です。
  どの方法が適切かわからない場合は弁護士に相談するのがよいでしょう。

 

第5 回収のための手順(複数を組み合わせる)
 次の手段をつかって回収します。詳細はご相談ください。


1 交渉
 内容証明、電話、FAX、夜討ち朝駆け
  安易な交渉は、危険。さまざまな、手段を検討したうえで交渉する。
  交渉するなら迅速に。長々と交渉しない。
  払う気にさせることが目的(やさしく、厳しく、スマートに)
  合意がとれたら必ず書面にする。
    約束を守らせる工夫も(違約金条項、公正証書、即決和解)
  すぐに払えないなら、分割や、担保を検討する。


2 仮差押・仮処分

  押さえるものを特定できるか、担保金を用意できるか


3 訴訟・強制執行


4 支払督促
  争いのないときに債務名義を取る。


5 担保執行
  質権、抵当権、根抵当、留置権、先取特権、譲渡担保、仮登記担保、所有権留保、代理受領、振込指定

6 その他回収方法

  商品引き揚げ、債権譲渡、相殺、手形、小切手

7 元請会社が倒産した場合
(1) 元請会社からの回収
    破産、再生、 届出債権につき平等分配 但し、担保
    任意整理 交渉
    取締役の責任追及


(2)注文者からの回収
    注文者がまだ支払っていない場合


(3)上述各手段で併用できるものは併用する

 

第6 時効に注意
(1) 時効
    民法改正(令和2年4月1日施行)により、業種別の短期消滅時効は廃止となりました。
    令和2年4月1日以降に発生した債権の消滅時効期間は、改正民法の規定により「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間」となります(改正民法166条)


(2) 迅速に請求(催告)  
    時効の中断
   準消費貸借を使うことも考えて。

第7 最後に
 事例によって適した方法は変わりますし、どの方法がとれるのかの判断が難しい場合も多いです。早めの相談が良い結果を生む場合が多いのは確かですので、気になったら、すぐに実際に弁護士に相談することをお勧めします。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.01.22更新

西村隆雄弁護士については、こちらをご覧下さい。

 民法の内、相続、遺言法については、1980年以来大きな見直しはされてきませんでした。
 しかしこの間、社会の高齢化が進展し、相続開始時における配偶者の年齢も高齢化しているため、その保護の必要性が高まっていたことなどから、大改正が行われ、一昨年7月から施行されるところとなっています。
 そこでこの内、よくご質問のある点について、ご説明したいと思います。

 

Q 長期間婚姻している夫婦間の贈与について、配偶者に有利な改正が行われたのですか。
A これまでは、夫婦間で贈与をしたとしても、原則として遺産の先渡しを受けたものとして扱われるため、贈与がなかった場合と同じ額の遺産しか受け取れませんでした。
  しかし、婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産の贈与が行われた場合、配偶者の長年の貢献に報い、老後の保障の趣旨で贈与が行われていることを重視して、この贈与分は除外して、残りの遺産について遺産分割をすることとして、配偶者を有利に扱うこととなりました。

 

Q 配偶者の居住権を保護する改正がなされたというのは、どういう点でしょうか。
A 配偶者が、相続開始時に亡くなった方名義の建物に居住していた場合は、従来もその方との間に使用貸借契約が成立していたと推定されて、一定の保護がはかられてはいました。
  しかし第三者に居住建物が遺贈されてしまったり、亡くなった方が居住を認めないと意思表示をしていた場合などは、居住が保護されませんでした。
  今回の改正では、こうした場合でも、常に最低6カ月は配偶者の居住権が保障されることになりました。

 

Q 配偶者の居住権を長期的に保護するための改正も行われたと聞きましたが。
A これまでは配偶者が引き続きその建物に居住したい場合は、その建物を相続により取得するしか道はありませんでした。したがって住む場所は確保できても、他の預金などの財産は受け取れなくなってしまう事態となっていました。
  今回の改正で、遺産分割の選択肢として、あるいは遺言において、配偶者に配偶者居住権を取得させることができるようになりました。
  すなわちたとえば、配偶者と子供が相続する場合、配偶者は配偶者居住権と預金の一部を、子供は配偶者居住権という負担のついた建物所有権と預金の一部をそれぞれ取得するということが可能になったのです。居住の期間は終身とすることも一定期間とすることも可能で、その負担に見合った財産評価がされて、分割が行われることになります。


Q 相続人以外の者(例えば亡き長男の妻)の貢献を考慮するための制度が導入されたと聞きましたが、どういうことでしょうか。
A 例えば、亡き長男の妻が義父の介護に献身的に尽くした場合であっても、これまでは義父の相続人(長女、次男)は、介護を全く行っていなくても相続財産を取得することができたのに対して、亡き長男の妻は相続財産の分配にあずかれないという不合理が指摘されていました。
  そこで今回、相続開始後、長男の妻は、相続人(長女、次男)に対して、介護の貢献度に応じて金銭請求することができるようになりました。

 

Q 死亡後は預金が凍結されて、生活費や葬儀費用の支払いにも充てられないと聞いていたのですが、いかがですか。
A 従来は争いがある限り、遺産分割が終了するまで、一部の相続人が単独で預金をおろすことはできませんでした。
  それが、仮払いの必要性ありと認められる場合には、家庭裁判所の判断で仮払いが認められるようになるとともに、預金のうち一定額(預金額×1/3×払い戻しを行う相続人の法定相続分)については、裁判所の判断を経ずして、金融機関の窓口で支払いが受けられるようになりました。

 

Q 遺言書の保管について、新たな制度ができたと聞いたのですが。
A これまで遺言する方が自分で書いた遺言(自筆証書遺言)は、自宅(仏壇、金庫等)に保管されることが多く、遺言諸が紛失したり、相続人によって廃棄、隠匿、改ざんされるなど、問題が生ずることがありました。
  そこで今回、法務局に保管の申請ができることになり、死亡後は相続人が写しの交付、閲覧請求ができる保管制度が創設されました。

 

Q 自分で書く遺言(自筆証書遺言)の方式が緩和されたというのはどういうことですか。
A これまでは遺言書の全文をすべて自分で書かなければなりませんでした。すなわち財産目録の、不動産や預金の内容まで、すべて手書きが要求されていたのです。
  しかしこれは今の時代にそぐわないとして、パソコンで財産目録を作成したり、預金通帳のコピーを添付することも可能となりました。但しパソコン打ち出しやコピーについては、その1枚1枚に署名捺印が必要ですので気を付けましょう。

 

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.02.06更新

A 採用の手続きはまちまちで、具体的に、いつの時点で労働契約が成立するかは、個別事案毎に具体的な検討が必要になりますが、一般には、採用内定通知が出された時点で労働契約が成立したと認められるケースが多いと思われます。

  採用内定取消は、労働契約の一方的な解約(解雇)ですから、「採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できない」事実が後に判明し、しかも、それにより採用内定を取り消すことが「客観的に合理的と認められ社会通念上相当と是認できる場合(最判昭54.7.20、大日本印刷事件)」に限られます。具体的には、労働者が学校を卒業できなかった場合等が考えられます。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.01.30更新

A 会社との間で試用期間の合意がある場合でも、労働契約自体は、入社時から、期間の定めのない労働契約として成立しています。試用期間中に、労働者の勤務状態により、能力・適格性が判定され、雇用を継続することが適当でないと判断されると、解雇または本採用拒否という方法で、解約権が行使されることになります(解約権留保付労働契約説)が、この解約権行使は、無制限に認められるものではなく、解雇権濫用法理(労働契約法16条)同様、「客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当」な場合という非常に厳格な要件を満たした場合にのみ認められるものです。

  使用期間中に解雇・本採用拒否をされた場合にも、諦めず、まずは会社に対して、解雇・本採用拒否の理由を、書類等で確認してください。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.01.16更新

A 退職金の請求が認められるためには、就業規則、労働協約、労働契約などの法的根拠が必要ですので、まずは、会社に退職金規程があるか確認してください。もし、退職金規程がない場合でも、慣行や労働者との個別の合意、会社と従業員代表との合意などにより、支給金額の算定が可能な程度に明確に定まっていれば、退職金請求権があるといえます。退職金が支払われない場合は、根拠となる就業規則等を示して請求しましょう。

  懲戒解雇の場合には、退職金が不支給・減額となる場合もありますが、懲戒解雇の場合にも、退職金規程等に、不支給・減額の規程を明確に規定していなければ会社が勝手に不支給・減額にすることはできませんので、退職金規程を確認してください。

  なお、退職金請求権の時効は5年間ですので、注意しましょう。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2020.01.09更新

A 労働条件は、労働者と使用者の合意に基づき決定され(労働契約法8条)、賃金等の労働条件の変更も、労働者と使用者の合意に基づいて行われるのが原則です(労働契約法3条1項)。したがって、労働者の同意のない賃下げは無効ですし、会社から一方的に給料を下げると言われても労働者は応じる必要はありません。ただし、拒否した場合に、不利益を被る可能性もありますので、労働者は、賃金切り下げの理由について、使用者に説明を求め、対応を検討されるのがいいでしょう(説明義務については労働契約法4条1項)。
なお、例外的に労働者との合意がなくても、就業規則の変更によって不利益変更が可能な場合があります。ただし、就業規則の変更は、労働者の受ける不利益の程度、変更の必要性、交渉の経緯等からして合理的であり、かつ、変更後の就業規則が労働者に周知されている場合に限り有効となります(労働契約法10条)。

  社員を新規採用する余裕があるのに、会社の業績が悪いとの理由で就業規則の変更をすることは、合理的とは解釈できませんので、仮に会社が就業規則の変更による給料の引き下げをしてきた場合にも、認められない可能性が高いといえます。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2019.09.06更新

A 解雇は一般的に、客観的に合理的な理由、社会通念上の相当性が必要とされますが(労働契約法16条)、有期契約社員の期間途中の解雇の場合には、更に「やむを得ない事由がある場合」でなければ認められません(労働契約法17条1項)。期間の定めのない契約における解雇に比べても、有期契約社員の期間途中の解雇は厳格に判断されるといえます。したがって、ご質問の解雇についても、「やむを得ない事由」がなければ無効となります。


 また、期間満了時に更新拒絶(雇い止め)がされた場合には、更新拒絶の有効性は、雇用の臨時性・常用性、更新の回数、雇用の通算期間、契約期間管理の状況、雇用継続の期待を持たせる言動・制度の有無、労働者の継続雇用に対する期待の相当性等の基準によって判断されます(労働契約法19条)。会社の同僚の方は、30回も更新がされてきたことに鑑みれば、雇止めは無効になる可能性が高いと思われます。

 

  なお、有期契約社員は、同一の使用者との間で、5年を超えて契約を更新した場合には、無期労働契約への転換を申し込むことができ、この場合には、使用者はこの申し込みを承諾したものとみなされます(無期転換ルール、労働契約法18条)。したがって、同僚の方は、今回の更新拒絶が無効とされた場合には、次の契約期間中に無期労働契約への転換を申し込むことができます(会社はこれを嫌がって、同僚の方の更新を拒絶したのかもしれません)。

 

  ただし、無期転換ルールが適用されるのは2013年4月1日以降に締結・更新された有期労働契約からですので、これ以前から反復更新されてきた有期労働契約については、2013年4月1日以降改めて5年を超えることが必要となりますので注意してください。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2019.08.23更新

A 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「派遣法」といいます。)には,「労働者派遣の役務の提供を受ける者が次の各号のいずれかに該当する行為を行った場合には,その時点において,当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る労働者に対し,その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなす。」(40条の6第1項),「第四十条の二第一項の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。」(40条の6第1項3号),「派遣先は,当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について,派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。」(40条の2第1項),「前項の派遣可能期間は,三年とする。」(40条の2第2項)との規定があります。

 

  派遣先のメーカーは,派遣可能期間を超えて派遣元事業主から労働者派遣の役務の提供を受けているので,当該労働者派遣に係る労働者に対し,その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなされます。その労働契約の申込みに対し,派遣労働者が承諾の意思表示をすることによって,派遣先との間に労働契約が成立し,メーカーに正社員にしてもらうことができます。

投稿者: 川崎合同法律事務所

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