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2021.03.25更新

中瀬奈都子弁護士については、こちらから。

 離婚したい!となったときに、一番に頭に浮かぶのはお金の問題ではないでしょうか。
別居期間中の生活費、養育費、財産分与、年金分割、不貞行為やDVなどの慰謝料・・・後悔することがないよう、相手方としっかり話し合い、納得のいく合意を形成する必要があります。

 ここでは、特にご相談の多い、別居期間中の生活費について取り上げます。

■「婚姻費用」という言葉をご存じですか?
 婚姻費用とは、婚姻している夫婦と未成熟子をあわせた家族が、生活をいとなむうえで必要な生活費用のことです。具体的には、日常の生活費、医療費、教育費、保険料などのことです。
 民法は、婚姻した夫婦には、扶養義務(民法752条)と婚姻費用の分担義務(民法760条)があると定めています。
 婚姻費用は、多くは、別居をしたときに問題となります。
 別居をしていても、離婚するまでは夫婦ですから、一方配偶者(義務者)が、他方配偶者(権利者)の婚姻費用を分担する義務があるのです。つまり、離婚するまで、収入が多い側が少ない側の生活費を分担することになります。
 現実には、夫と比べて収入の少ない妻が、未成熟子をひきとって育てているケースが圧倒的に多いです。その場合、妻と比べて収入の多い夫は、妻の生活費と子どもの生活費(つまり養育費)を分担する義務があります。なお、離婚をすれば妻の生活費を分担する義務はなくなるので、子の養育費だけが問題になります。


【ポイント】
・別居しても、収入の多い方の配偶者は、少ない方の配偶者の生活費を分担しなければならない。
・離婚するまでは「婚姻費用」(収入が少ない方の配偶者+子の生活費)の問題、離婚してからは「養育費」の問題(※収入が少ない方が未成熟子を育てている場合)

 

■「婚姻費用」の金額はどう決めるの?
 婚姻費用の金額をいくらにするかは、夫婦で自由に決められます。
 しかし、夫婦間で話し合いがつかない場合には、家庭裁判所の手続きを利用することになり、その場合、婚姻費用は、裁判官が共同研究して作成した「養育費・婚姻費用算定表」をもとにして、計算することになります。
 そのため、夫婦間で話し合う際にも、合意が形成できず、裁判所の手続きにうつることを想定して、算定表をもとにすることが実際多いです。 

 

●「養育費・婚姻費用算定表」が2019年12月23日に改定されました!
 2019年12月23日に新しい「養育費・婚姻費用算定表」が公表されました。
 最新の統計資料に基づいて更新されたもので、従前の「算定表」よりも、一般的には増額されています!
 ★新しい「算定表」はこちら!

 

●新しい「算定表」を見てみましょう
 「算定表」の見方は、まず子どもの人数と年齢に合った表を選び、義務者(支払う側の配偶者)の年収欄と権利者(支払われる側の配偶者)の年収欄が交差する点を確認します。そこに書いてある金額が、標準的な婚姻費用の額です。
 なお、年収については、給与所得者の場合、源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)を見ることになります。

例:会社員の夫 年収400万円  パートの妻 年収 75万円 
  子ども 6歳 別居後、妻が育てている場合
→まず、表11を見ます。

 縦軸(義務者の年収/万円と記載されている軸)の左側の数字で「400」のところから右方向に線をのばします。横軸(権利者の年収/万円と記載されている軸)の下側の数字で「75」のところから上に線をのばします。この二つの線が交差する、「6~8万円」が、義務者が負担すべき婚姻費用の標準的な月額を示しています。

 

●「算定表」で解決できないケースも
 「算定表」は、婚姻費用や養育費の簡易迅速な算定と保障を目指して作成されたもので、これによって、標準的なケースでの婚姻費用や養育費については、一目で基準額がわかるようになりました。標準的なケースとは、夫婦が別居し、夫婦の一方が子どもを育てており、子どもが学齢期であれば、公立学校に通っているというものです。
 実際にはこの標準的ケースから外れる場合が多く見られます。たとえば、子どもが私立学校に通っている場合、別居後、権利者が住み続けている家のローンを義務者が支払い続けている場合などです。
 その場合、「算定表」のベースとなっている「標準算定方式」にたちかえって、計算することになります。どのような事情が計算上、考慮されるのか、どのように考慮に入れるかは、過去の審判例等をふまえる必要があります。
 例えば、私がこれまで扱った事件の中では、お子さんの保育園の費用や私立中学校の学費が、「算定表」上考慮されている公立学校の費用を大きく上回るケースが多々ありました。加算が認められるにはどのような事情・資料が必要か、どのように分担額を計算するかなど助言をし、いずれも、調停成立に至っています。
 その他、家を出て行った夫が妻子の住んでいる住宅のローンを支払い続けているケースなども「算定表」に単純に当てはめただけでは算定できません。
 ご自身のケースでは婚姻費用がどのように計算されるのか、是非、弁護士にご相談ください。

 

【ポイント】
・裁判所の手続きでは、裁判官が共同研究して作成した「養育費・婚姻費用算定表」をもとに、婚姻費用の金額が計算される。
・ただし、「算定表」は、「標準的なケース」を想定しているものなので、それぞれのご家庭の事情をふまえた金額の計算については、弁護士にぜひご相談を!

 

■婚姻費用分担の手続き


●調停・審判とは
 夫婦間の話し合いで決まらなければ、「調停」を申し立て、「調停」が不成立だった場合には審判という流れになります。
 「調停」とは、裁判官一人と民間人から選ばれた調停委員二人以上で構成される「調停委員会」が、当事者双方から事情を尋ねたり、意見を聴いたりして、双方が納得の上で問題を解決できるように、助言やあっせんを図る手続です。
 婚姻費用分担調停では、「調停委員会」が、夫婦の資産、収入、支出などの事情を、当事者双方から聴いたり、資料を提出してもらうなどして事情を把握して、算定表をもとに、解決案を提示したり、必要な助言をし、合意を目指し話合いが進められます。
 「調停」は、あくまで、合意を目指す手続きですので、不成立になる可能性があります。不成立になった場合には、手続は「審判」に移ります。
 「審判」は、裁判官が、当事者から提出された書類等種々の資料に基づいて判断を決定する手続で、婚姻費用分担審判の場合、双方の収入の資料などをもとに、裁判官が分担額を決定します。
 なお、調停や審判で決まった場合、調停成立の場合は調停調書が、審判の場合は、作成されます。この調停調書や審判書は、相手が支払いを怠った場合に、給与や預金口座を差し押さえるなどの強制執行を行うことができる効力を持っています。

【手続きの流れ】
調停申し立て-(おおむね1ヶ月)

→ 第1回調停期日→(1ヶ月後)→第2回調停期日‥(以下、約1ヶ月毎に1回調停期日が行われる。)

→調停成立=調停調書作成
→調停不成立  ―(自動的に移行)→審判手続→審判=審判書作成    

               

●重要なのは、申し立てのタイミング
 ここで、一番重要なのは、調停の申し立てを行うタイミングです。
 実務上、原則として、権利者が義務者に対して、婚姻費用を請求した時点から、婚姻費用の支払い義務があるとされています。そして、この「請求した時点」というのは、基本的には、婚姻費用分担調停または審判を申し立てた時点を指すとされています。
 つまり、別居を開始して、1,2ヶ月話し合いを続けていたけれど、結局折り合わず、調停を申し立てたような場合、別居開始時点にさかのぼって支払わせることができないのです。
 
  別居開始-(話し合い)―調停申し立て―――――離婚or別居解消
    ↑           ↑婚姻費用支払い義務↑ 
    ここまでさかのぼれないので注意!

 もちろん、調停で、別居開始時点までさかのぼって支払うという合意ができれば別です。しかし、実際にはそのような合意が形成できるケースはそう多くはありません。
 調停となれば、裁判所に行くなどの手間がかかりますし、期日が約1ヶ月に1度の頻度であるため、一定期間かかってしまう一方、話し合いであれば、短期間に解決する可能性はあります。しかし、他方で、話し合いに漫然と時間をついやし、その期間の婚姻費用が結局支払われないというリスクもあるのです。
 また、義務者である相手方が離婚を渋っている場合には、早く婚姻費用分担の調停申し立てをすることが得策になります。義務者にとっては、離婚に応じない期間が長くなるほど、その負担額が大きくなっていくからです。
 このように、いつ調停申立てを行うか、その前に話し合いを行うかなど、相手方の性格や状況に応じて、戦略を立てる必要があります。


【ポイント】
・婚姻費用の支払い義務が発生するのは、基本的には調停(審判)申立て時点から

 

 川崎合同法律事務所では、年間150人を超える方々から、離婚・男女トラブル・子どもに関するご相談をいただいております。たくさんの事例を経験しているからこそ、依頼者のみなさまそれぞれのご事情に応じた解決策を立てることができます。     

 女性弁護士が多数在籍していることも当事務所の大きな特徴です。
 ご家庭の問題で悩みを抱えたときには、ぜひお気軽にご相談にいらしてください。

 次回は、「養育費」について取り上げたいと思います。
弁護士 中瀬奈都子

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.03.15更新

渡辺登代美弁護士については、こちらをご覧下さい。

 

 家を貸していて、「家賃を払ってもらえないので、出ていって欲しい。」というような場合、どうしたら良いのでしょうか。

 

1 1か月の滞納で出ていってもらうのは難しいです
 賃貸借契約書には、「貸主は、借主が賃料その他の債務の支払いを1か月以上怠ったとき、何らの催告なしに契約を解除することができる。」というような契約解除条項が入っているのが一般的です。
 しかし、賃貸借契約のような継続的契約は、貸主・借主相互の信頼関係のうえに成立っているといえますので、この信頼関係を破壊するに至ったと認められるような事情がなければ、なかなか賃貸借契約の解除は許容されません。病気や怪我など、突然賃料が払えなくなることはままあるのに対し、借主にとって住む場所を失うことは重大なことがらだからです。契約書に1か月と書いてあったとしても、通常、1か月賃料を滞納しただけで契約を解除して出ていってもらうことは難しいです。
 裁判をやっている感覚では、最低でも滞納3か月、6か月あればまあ大丈夫かな、という感じです。

 

2 裁判で判決を得た後、強制執行しなければならない場合もあります
 その後、裁判を起こして建物明渡の判決をもらい、それでも出てもらえない場合は、強制執行をします。裁判所の執行官が現地に赴き、まず、「いついつまでに明渡しなさい。」という警告と貼紙をします。その日は、とりあえず、それで終了です。
 次に、もう一度、執行官が定められた明渡期日に現地に行き、まだ明渡されていない場合、建物内の物を運び出し、業者に保管させる措置がとられます。1か月程度保管した後、売却処分されるのが通常です。
 強制執行費用や、未払賃料は、借主に請求することができますが、月々の賃料を支払えなくなっているような状態の人ですから、回収するのは困難です。そこで大事なのが、保証人です。近ごろは、保証会社が保証するケースも増えています。

 

3 明渡の完了まで1年、費用は100万円くらいかかることがあります
 賃料の不払いが発生してから、明渡の強制執行が完了するまでには、1年くらいかかってしまうことも多いです。執行費用を借主や保証人に請求することはできますが、明渡の裁判を依頼するときの弁護士費用や借主が置いていった動産の保管費用は貸主が負担することになります。多くの動産を放置したまま借主が逐電してしまった場合など、弁護士費用と保管費用で合計100万円くらいかかってしまうこともありますが、自力救済が認められていない日本の法制度下では、借主の持ち物を勝手に処分してしまうことはできないため、健全な賃貸業を継続するためには、致し方ないことだと思います。

 

4 逆に賃料が払えなくなった場合は、話合いの余地があります
 逆に、賃料が払えなくなってしまった場合でも、「明日すぐに、荷物をまとめて出ていけ。」と言われることはなく、家主との話し合いによって若干の猶予を得ることは可能です。上記したような建物明渡の裁判をし、強制執行をする費用や時間を考えれば、貸主が譲歩する余地も充分あると考えられるからです。

 いずれにしても、弁護士に相談してみて下さい。法律的な解決方法が見出せるはずです。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.03.10更新

 最近、お一人暮らしやご夫婦二人暮らしの依頼者の方と雑談等をしていると、「将来のことが不安なんだよ」と言われることが多くなってきました。どういうことか詳しくお伺いすると、例えば、将来、ご自身が認知症になったら、または、亡くなったら、病院や施設との契約、遺品の整理、葬儀や納骨など、一体誰がやるんだろう、と心配になるということです。高齢化や家族関係の変化が進む中、このようなご心配をなさる方は増えていると思います。

 そんな皆様に対して、我々の事務所では一体何ができるか。ここでは、「見守り財産管理」+「任意後見契約」+「遺言・死後事務委任契約書の作成と執行」をご提案したいと思います。

 

1 見守り財産管理
 安心できる老後を送っていただくために、弁護士が、皆様に定期的なご連絡をし、必要な場合には面会で相談を行い、弁護士が代理して各種契約や支払等をする契約があります。どなたでも、高齢になってくると、消費者被害に遭ってしまったり、高齢者施設入所の資金捻出の為に不動産の処分が必要になったり等、法的なアドバイスが欲しい場合も増えてきます。入院することになっても、緊急連絡先となったり、安心して病院や施設との契約や支払いを任せられる親族がいないという場合もあります。このような場合に、見守り財産管理をご依頼頂ければ、電話やメールなどで日頃からつながっていて、困ったときに気軽に頼れる、みなさんの生活や人生観を良くわかっている弁護士がいる、という安心をお持ちいただけると思います。

 

2 任意後見契約
 高齢化に伴い、認知能力・判断能力が低下してくる場合もあります。見守り財産管理は、あくまで最終的な判断はご依頼本人ですので、認知能力や判断能力があまりに低下してしまうと、見守り財産管理だけでは対応しきれないリスクがあります。このような場合の保険として、任意後見契約を締結することが考えられます。
 認知能力が低下した後に親族等が申立を行う成年後見契約もありますが、そもそも、申立を任せられる親族がいない場合もありますし、成年後見契約では、後見人になる専門家は裁判所が独自に選任するため、ご自身が信頼する弁護士に後見人を任せることができません。
 予め、任意後見契約を締結しておけば、認知能力が低下した時に、ご自身が選んだ弁護士を任意後見人として、裁判所の監督の下、ご依頼者の預金を払い戻したり自宅を売却したりして費用を確保し、ご依頼者が予め希望した高齢者施設に入所するための手続きをしたり、要介護認定を申請して介護契約を利用したり等することが可能になります。

 

3 遺言・死後事務委任契約書の作成と執行
 仮にご依頼者が亡くなってしまった場合には、遺言や死後事務委任契約に従って、依頼を受けた弁護士が、皆様のご希望に添った手続きを執り行っていくことになりますが、その前提として、遺言や死後事務委任契約書の作成が必要になります。
 遺言に記載するのは、主に遺産の取り扱いについてです。遺言を作成すれば、殆ど知らない遠い親戚に遺産を渡すのではなく、ご自身がお世話になったご友人や施設、団体等に遺産を渡し(寄付し)、感謝の気持ちを表すことも可能です。なお、遺言はご自身でその内容を書いて頂いただけでももちろん法的な効力はありますが、我々弁護士を遺言執行者として選任して頂ければ、せっかく作った遺言が誰にも気づかれないまま、実現されない等の心配が無くなります。
 一方、遺言に記載するのは主に遺産の取り扱いについてである為、例えば、ご自身の葬儀やお墓、遺品の整理はどうするか、ご自身のPCやスマートフォンに入っている個人的なデータやSNS等のIDの処理はどうするか、飼っていたペットをどこに引き取って貰うか等、詳細な希望を記載することはできません。そこで、このようなことについては、死後事務委任契約をされることをおすすめします。
 遺言と死後事務委任が矛盾しては困りますので、遺言と死後事務委任契約は同じ弁護士が作成するのが望ましいと考えられます。

 

4 最後に
  ここでご紹介した以外にも、成年後見制度や家族信託契約など、我々弁護士にもできることがあります。終活は、皆様お一人お一人千差万別で、同じようには語れません。皆様とたくさん話をして、じっくり皆様に合った方法を考えたいと思います。「これが心配。。」ということがございましたら、一緒に悩み考えますので、遠慮無く我々に声をかけて下さい。
なお、川崎合同法律事務所では、「老後安心プラン」のパンフレットを作成しました。チャート図などで、皆様に必要なプランを選択できるしくみもご用意しておりますので、ぜひ、ご覧下さい.

⇒ パンフレットは、こちらをクリックして下さい。(PDF)

 なお、事務所にも備え付けてありますので、パンフレットをご覧になりたい方はお気軽にお声がけください。

老後安心パンフ画像

 

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.03.02更新

第1 家業を相続する場合は遺言書を必ずつくりましょう


 事業を家族で行っている場合、事業は家族の大事な財産です。子供に引き継がせたい人も多いのではないでしょうか。
 もしあなたが会社の社長やオーナーで、子が将来その事業を継ぐ(事業承継・事業相続)予定をしているなら、あなたが元気なうちに、遺言書を書くことを強くおすすめします。


1 遺言がないと事業が続けられなくなる可能性が
 相続は、亡くなった人(被相続人)の死亡とともに発生し、被相続人の財産が相続人(被相続人の配偶者や子)に引き継がれます。
 相続財産は、遺言書が無ければ基本的に法定相続分での分割になります。そして、事業に関係する財産的権利も相続財産になります。
 相続人が複数いる場合、事業に関係する財産的権利は、相続人間で分割承継される可能性があるということです。そうなると会社の経営権はバラバラになり、事業の経営に関する意思決定で揉めたり、一時的に会社のキャッシュが流出したり、将来に渡って事業から得られる収益を按分しないといけなったりします。結局、会社の運営は滞り、最悪経営が続けられない原因となるのです。せっかく遺した財産が家族間の争いという最悪の結果になるのです。


2 遺言書があれば、スムーズに事業が続けられる
 しかし、遺言書があれば、特定の相続人に事業に関係する財産的権利を集中することが可能になり、事業を引き継ぐことが可能になります。事業を引き継がない相続人にもあらかじめ配慮をすることによって家族間の争いも防げます。事業を相続させたいなら、遺言を書くことを強くお勧めします。
 以下、遺言による事業承継について個人事業の場合と会社法人の場合に分けてポイントを説明してみます。


第2 遺言で、上手に事業を引き継ぐ方法
1 個人事業の場合
 個人事業を父親から子へ引き継ぐ場合を例に考えます。
 父親が個人事業で事業を営んでいる場合、法人格がないので、事業に関するすべての権利義務は、自然人である父親に帰属しています。事業主は父親個人であり、土地建物といった不動産や、機械設備等の動産、契約上の権利義務等に至るまで全て父親のものです。
 これら財産的権利は、通常、相続財産になりますので、遺言書のない相続が開始すると、相続は法定相続分によって処理され,子はすべて同じく第一順位の法定相続人になり、その相続分は全て同じになります。したがって、遺言がなければ、事業用の財産が遺産分割でバラバラになり、最悪、事業が続けられなくなる可能性があるのです。
 そこで、遺言書が必要になります。遺言書で跡を継ぐ人に事業用資産を集中させれば、遺言執行により跡を継ぐ人が事業用資産を承継することができます。
 経営者が元気なうちに事業用資産を後継者に相続させる遺言書を作成するべきです。


2 株式会社(有限会社)の場合
 会社の場合、事業に関する権利義務は、基本的に会社に属します。したがって、会社の株式をだれが承継するのかが問題となります。逆に株式さえ承継してしまえば、それで事業承継はできます。遺言書がなければ株式がバラバラになり、事業が承継出来なくなる可能性があります。
 したがって、経営者が元気なうちに必要な株式を後継者に相続させる遺言書を作成するべきです。

 

第3 遺留分の対策重要

 これまで述べてきたように、遺言書により事業承継は可能です。しかしまだ、遺留分という大きな問題が残っています。
遺留分とは、遺言書により、相続出来なかった(減らされた)相続人(兄弟姉妹以外)を保護するために認められる、最低限の割合であり、その割合分の相続財産は渡さなければいけません。
 遺留分割合は直系尊属だけの場合、「遺留分算定の基礎となる財産」の3分の1。 それ以外の場合は、財産の2分の1となります。例えば、推定相続人が、妻と子二人の場合、法定相続分は、妻2分の1、子2人は4分の1ずつですから、遺留分は、妻が4分の1、子2人は8分の1ずつということになります。
 したがって、仮に後継者に全財産を引き継ぐ場合、他の相続人から遺留分減殺請求がなされると、その割合の財産が持って行かれてしまうことになり、何らかの対策をしておかないと結局、事業が続けられないこともありえます。
 以下に、遺留分対策の方法を書いておきます、紙面の都合上箇条書きにとどめます。いずれの方法を採るのかは個別の判断になりますので、弁護士にご相談ください。


① 生前から調整しておく
② 遺言書の付言事項で説得する
③ 代償分割に用いる資金として生命保険を活用する
④ 事業用財産を早めに贈与する
⑤ 相続発生前に遺留分放棄の事前許可の審判を得る
⑥ 事業承継の際の遺留分に関する民法特例を使う
⑦ 生命保険を使って遺留分算定の対象財産を減らす
⑧ 生前に事業用財産を売買により譲渡する
⑨ 相続人以外に生前贈与を使う
⑩ 種類株式を発行する

 

 具体的な、遺言内容や、遺留分対策は個別の事例によって異なりますのでお気軽に弁護士までご相談下さい。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.03.02更新

第1 家業を相続する場合は遺言書を必ずつくりましょう


 事業を家族で行っている場合、事業は家族の大事な財産です。子供に引き継がせたい人も多いのではないでしょうか。
 もしあなたが会社の社長やオーナーで、子が将来その事業を継ぐ(事業承継・事業相続)予定をしているなら、あなたが元気なうちに、遺言書を書くことを強くおすすめします。


1 遺言がないと事業が続けられなくなる可能性が
 相続は、亡くなった人(被相続人)の死亡とともに発生し、被相続人の財産が相続人(被相続人の配偶者や子)に引き継がれます。
 相続財産は、遺言書が無ければ基本的に法定相続分での分割になります。そして、事業に関係する財産的権利も相続財産になります。
 相続人が複数いる場合、事業に関係する財産的権利は、相続人間で分割承継される可能性があるということです。そうなると会社の経営権はバラバラになり、事業の経営に関する意思決定で揉めたり、一時的に会社のキャッシュが流出したり、将来に渡って事業から得られる収益を按分しないといけなったりします。結局、会社の運営は滞り、最悪経営が続けられない原因となるのです。せっかく遺した財産が家族間の争いという最悪の結果になるのです。


2 遺言書があれば、スムーズに事業が続けられる
 しかし、遺言書があれば、特定の相続人に事業に関係する財産的権利を集中することが可能になり、事業を引き継ぐことが可能になります。事業を引き継がない相続人にもあらかじめ配慮をすることによって家族間の争いも防げます。事業を相続させたいなら、遺言を書くことを強くお勧めします。
 以下、遺言による事業承継について個人事業の場合と会社法人の場合に分けてポイントを説明してみます。


第2 遺言で、上手に事業を引き継ぐ方法
1 個人事業の場合
 個人事業を父親から子へ引き継ぐ場合を例に考えます。
 父親が個人事業で事業を営んでいる場合、法人格がないので、事業に関するすべての権利義務は、自然人である父親に帰属しています。事業主は父親個人であり、土地建物といった不動産や、機械設備等の動産、契約上の権利義務等に至るまで全て父親のものです。
 これら財産的権利は、通常、相続財産になりますので、遺言書のない相続が開始すると、相続は法定相続分によって処理され,子はすべて同じく第一順位の法定相続人になり、その相続分は全て同じになります。したがって、遺言がなければ、事業用の財産が遺産分割でバラバラになり、最悪、事業が続けられなくなる可能性があるのです。
 そこで、遺言書が必要になります。遺言書で跡を継ぐ人に事業用資産を集中させれば、遺言執行により跡を継ぐ人が事業用資産を承継することができます。
 経営者が元気なうちに事業用資産を後継者に相続させる遺言書を作成するべきです。


2 株式会社(有限会社)の場合
 会社の場合、事業に関する権利義務は、基本的に会社に属します。したがって、会社の株式をだれが承継するのかが問題となります。逆に株式さえ承継してしまえば、それで事業承継はできます。遺言書がなければ株式がバラバラになり、事業が承継出来なくなる可能性があります。
 したがって、経営者が元気なうちに必要な株式を後継者に相続させる遺言書を作成するべきです。

 

第3 遺留分の対策重要

 これまで述べてきたように、遺言書により事業承継は可能です。しかしまだ、遺留分という大きな問題が残っています。
遺留分とは、遺言書により、相続出来なかった(減らされた)相続人(兄弟姉妹以外)を保護するために認められる、最低限の割合であり、その割合分の相続財産は渡さなければいけません。
 遺留分割合は直系尊属だけの場合、「遺留分算定の基礎となる財産」の3分の1。 それ以外の場合は、財産の2分の1となります。例えば、推定相続人が、妻と子二人の場合、法定相続分は、妻2分の1、子2人は4分の1ずつですから、遺留分は、妻が4分の1、子2人は8分の1ずつということになります。
 したがって、仮に後継者に全財産を引き継ぐ場合、他の相続人から遺留分減殺請求がなされると、その割合の財産が持って行かれてしまうことになり、何らかの対策をしておかないと結局、事業が続けられないこともありえます。
 以下に、遺留分対策の方法を書いておきます、紙面の都合上箇条書きにとどめます。いずれの方法を採るのかは個別の判断になりますので、弁護士にご相談ください。


① 生前から調整しておく
② 遺言書の付言事項で説得する
③ 代償分割に用いる資金として生命保険を活用する
④ 事業用財産を早めに贈与する
⑤ 相続発生前に遺留分放棄の事前許可の審判を得る
⑥ 事業承継の際の遺留分に関する民法特例を使う
⑦ 生命保険を使って遺留分算定の対象財産を減らす
⑧ 生前に事業用財産を売買により譲渡する
⑨ 相続人以外に生前贈与を使う
⑩ 種類株式を発行する

 

 具体的な、遺言内容や、遺留分対策は個別の事例によって異なりますのでお気軽に弁護士までご相談下さい。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.03.02更新

山口毅大弁護士については、こちらから。

 

 2021年3月1日,厚生労働省は,新型コロナウイルスの影響による,解雇・雇い止め(見込みを含む。)の人数が同年2月26日時点の累計で9万人を超えたことを明らかにしました。


 しかしながら,この人数は,全国の労働局やハローワークを通じて集計した数字ですので,実態は,もっと多いと考えられます。


 また,2度目の緊急事態宣言により,解雇・雇い止めの数が増加傾向にあります。


 このような状況下において,新型コロナウイルス感染症を理由とする解雇が全て適法,有効になるかといえば,そうではありません。
実際に,労働者が出勤したところ,熱があったので,新型コロナウイルス感染症の疑いがあるとして,帰宅するよう命じられ,しばらく自宅待機するように言われた挙げ句,熱があるのに出勤したとして解雇された事案,新型コロナウイルス感染症のために売り上げが減少したと述べて解雇した事案(実際には,多少の売り上げの減少があったものの,解雇が適法になる程の人員削減の必要性がなく,解雇回避努力義務を果たしていなかった事案),内定を取り消した等の事案(使用者が内定を出してないと強弁した事案,2020年3月下旬時点で新型コロナウイルス感染症による具体的な経営予測ができなかったとして内定を取り消した事案)において,解雇,内定取消が違法,無効として,職場復帰を果たし,あるいは,違法な解雇があったとして解決金を得た事案等があります。


 解雇は,よっぽどのことがない限り,違法,無効となります。新型コロナウイルス感染症を理由とする場合も同様です。


 新型コロナウイルス感染症関連の解雇でお困りのみなさまにおかれましては,お一人で悩まれることなく,ぜひ一度ご相談ください。

投稿者: 川崎合同法律事務所

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