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2021.07.12更新

 星野文紀弁護士については、こちらをご覧ください。

 

 賃貸のマンション・アパートに住んでいる人は多いですが、不動産賃貸は、普通の人は頻繁にする契約でないためトラブルや不安になることもあります。しかし、基本的な知識があると不安は大きく軽減されます。そこで、知っておきたい基礎知識をご紹介します。


土地を借りて自分の家を持っている人はこちら(借地トラブルのケーススタディはこちらをご覧下さい。)

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目次
第1 基礎的法律知識 
1 賃貸借のはじめに 
(1) 準備するお金は家賃の6ヶ月分が目安 
(2) 保証人は必要? 
2 契約更新 
3 賃貸借の終わり 
(1) 賃貸物件を明け渡す場合の手続き 
(2) 大家さんから明け渡しを求める場合 
(3) 契約の解除 
4 契約の終了後の精算 
(1) 敷金のもつ意味
(2) 敷金から差し引けるお金(原状回復義務) 
5 賃料が高すぎる、安すぎる。そんなときは 
(1) 傾向 
第2 弁護士に相談するメリット 

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第1 基礎的法律知識


1 賃貸借のはじめに


(1) 準備するお金は家賃の6ヶ月分が目安
 賃貸住宅の入居の際に必要なお金は様々ですが、首都圏では、礼金が2ヶ月、敷金が2ヶ月、仲介手数料が1ヶ月、前家賃1ヶ月が賃貸借契約の時に必要なことが多いです。しかし、その他にも火災保険料や損害保険料、家賃保証の費用がかかる場合もありますので、余裕をもった予算が必要です。


ア  礼金とは?
 賃貸住宅に入居するとき、大家に対して支払うお金です。礼金は、賃貸住宅から退去しても戻ってきません。礼金の額は物件によって異なりますが、およそ家賃の1~2ヶ月が相場です。近年は礼金ゼロの物件も増えています。礼金を支払うのは、賃貸借契約を締結するときです。


イ  敷金とは?
 将来、大家に損害を与えた時のために、入居時に大家に預けるお金が敷金です。敷金はあくまでも預けておく金銭ですから、原則的に退去するときに戻ってきます。ただし、家賃を滞納している場合や、入居者の負担で部屋を補修する必要がある場合には、その金額が敷金から差し引かれることになります。首都圏では、敷金の額はおよそ家賃の2~3ヶ月です。一部地域では家主に預け入れた敷金(保証金)の一部を退去時に償却する「敷引」と呼ばれる制度を採用している場合もあり、この場合は敷金の一部が礼金のような取扱いになります。


ウ  仲介手数料とは?
 仲介手数料は、家主と入居者との仲立ちをしている不動産会社に支払う報酬です。法律で最大でも家賃1ヶ月分に消費税を加えた1.1倍以内と決められています。実際には、1.1ヶ月分を請求されるケースが多いようです。近年は、仲介手数料は原則0.5ヶ月分という裁判の判断も出ています。0.5ヶ月という場合も増えると思われます。また、不動産会社から直接に賃貸物件を借りる場合は必要ありませんので仲介手数料ゼロとなります。


エ  前家賃とは?
 前家賃とは入居を開始する月の家賃を契約時に払うことです。建物賃貸借契約は、翌月分の家賃を先に払う契約になっている場合が多いので、契約の時点で入居開始月の家賃を前もって支払います。なお、月の途中から入居する場合は、前家賃として、その月の日割り家賃と翌月分の家賃を、一緒に支払うことが多いようです。


(2) 保証人は必要?
 賃貸借契約締結の場合、保証人が求められることが多いです。近年は保証会社による保証が求められることが多くなっています。破産等していると保証会社の審査が通らないこともあるので、心配な方は契約の条件等に注意してください。


2 契約更新


 賃貸借契約は2年ごとに更新することになっている場合が多いです。家主と借主が、合意によって、契約を更新する場合は、更新契約書を作成します。

ギモン 仲介手数料を払わなければいけない?
 更新の際に、仲介手数料を要求する業者がいますが、家主の立場で建物を管理している業者が、借主に対して、更新の際の仲介手数料を要求することは許されません。


ギモン 大家さんから更新を拒絶されたら出て行かなけれいけない?

 貸主が拒絶しても借主は原則的に更新することができます。これを法定更新といいます。法定更新とは、一定の要件を満たす場合に、従前の契約と同一条件で契約を更新したものとみなされる制度です。不安な場合は、弁護士に相談してください。
 なお、更新契約書を作成しなくとも、契約は更新できます。

 

*注意* 定期借家契約に注意してください
 賃貸借契約の内、「更新がなく、期間の満了により終了する」ことの約束を含むものを定期借家契約といいます。定期借家契約には、書面にしなければいけない、契約書とは別に、あらかじめ書面を交付して説明しなければならないなど、法律上の要件がありますが、有効な場合は更新が認められず、期限が来たら賃貸物件をいやでも明け渡さなくてはいけない場合が出てきます。したがって、契約更新時に定期借家契約にならないように注意してください。
わからない場合は、弁護士に相談してください。

 

ギモン 更新料は払わなければいけない?
 契約に、更新料の支払が規定されていなければ、借主に更新料の支払義務はありません。もっとも、最近の借家契約では、更新料支払約定の規定が存在することが多くなっています。
 仮に更新料の支払約定があるのにもかかわらず借主が支払わない場合には、賃借人の債務不履行として、契約解除の理由になる場合があります。
 詳しくは弁護士にご相談下さい。

 

3 賃貸借の終わり

(1) 賃貸物件を明け渡す場合の手続き


① 退去の通知
 退去することを決めたらまず、退去の通知が必要です。入居時に取りかわした契約書に目を通し、退去通知の「時期」と「方法」について確認してください。法律上は6ヶ月前までに通知するようにされていますが、一般的に退去通知は退去の1ヶ月前までに通知すれば大丈夫な場合が多いのですが、1ヶ月以上前に通知しなければならないケースもありますので注意してください。通知が遅れると、明け渡し後も契約が終わってないとして家賃を請求される場合があります。
 通知の方法も、電話のみでいいのか書面の提出が必要なのかを確認しましょう。


② 引越し日の連絡
 引越し日が決まったら、不動産会社への連絡を忘れずにしましょう。この時、退去の立会いの日時を決めることが多いようです。


③ 引越し
 引越しまでに水道・電気・ガス・電話・インターネットの終了手続き(もしくは転居手続き)は終えておきましょう。


④ 退去の立会い
 部屋を明け渡す前に、管理会社や貸し主と室内のキズや汚れ等のチェックを行うことが多いです。


⑤ 鍵の返却
 鍵の原本と、合い鍵をもらっている場合は不動産会社に忘れずに返却します。合い鍵を返却しないと、防犯上鍵交換費用を求められることがあります。


⑥ 敷金精算
 敷金から契約書で定められている各種費用が差し引かれ、残金が返還されます。


(2) 大家さんから明け渡しを求める場合

 家主側からの解約には「正当事由」の存在が必要です。
 期間満了に伴う契約の解除には、上記の①6ヶ月前の解約通知と、②「正当事由」の存在が必要です。なお、法定更新によって期間の定めのない契約になっている場合でも同様です。


 「正当事由」の有無は、以下のことを考慮して判断されます。


①賃貸人、賃借人の双方が土地、建物を必要とする事情
②借地、借家に関する従前の経過(賃貸料滞納の有無、用法違反の有無など)
③建物の利用状況、現況(老朽化)
④財産上の給付の申出(立退き料など)


 むずかしい判断になるので、弁護士に相談されることをお勧めます。


(3) 契約の解除
 借主が家賃を払わなかったり、部屋を故意に傷つけたりして債務不履行(賃料の未払等の重要な契約違反)があった場合、家主側から契約を解除する場合があります。
 ただし、賃貸借契約は継続して存在する契約であって、当事者間の信頼関係により維持されていますので、1回程度の些細な賃料の不払いが直ちに契約解除が認められる訳ではありません。
 不払い回数だけでなく、不払い額、不払いに対する当事者の態度等を勘案して、当事者間の信頼関係が崩れるに至ったかどうかにより、解除の可否が判断されます。
契約が解除出来るかどうかも難しい判断になりますのでこれも弁護士に相談されることをお勧めします。


4 契約の終了後の精算
(1) 敷金のもつ意味
 敷金は、賃借人が賃料を滞納したり、賃借人が不注意等によって賃借物に対して損傷・破損を与えた場合等の損害を担保するために、賃借人から賃貸人に対して預け入れるものです。


(2) 敷金から差し引けるお金(原状回復義務)
 原状回復義務とその範囲(居住用建物を中心として)については、大まかにいうと、「経年劣化に伴う通常(自然)損耗」については原状回復の義務はありません。
 また、借主の退去後の「ハウス・クリーニング」「鍵の取り替え」など、新たに賃貸をするための必要経費は、原則、家主の負担となります。
 なお、退去時の原状回復の費用負担の振り分けについて、国土交通省が、下記のようなガイドラインを発表しています。

原則として賃貸人が負担:
賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても、発生すると考えられるもの(例:家具の設置による跡、電気焼け、日照や雨漏りなどで発生した床の変色等)


原則として賃借人が負担:
賃借人の住まい方、使い方次第で発生したり、しなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの)(例:引越し作業で生じた傷、不注意による床の変色、壁等の釘穴、ねじ穴等)

参考)国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)


*注意* 原状回復に関する退去の際のトラブルを予防するために
 入居時の状況を、写真撮影しておきましょう。特に、中古建物に入居する際は、原状を把握しておくために有用です。

 

5 賃料が高すぎる、安すぎる。そんなときは
 賃料増減額請求で不当に高かったり、安かったりする場合は、裁判所を利用して賃料を変えることが可能です。


(1) 傾向
 従前は賃料増額請求がほとんどでしたが、バブル崩壊後は、減額請求が増加しました。
また、建物の築年数が重なっていくので、借主としては原則的には、「せめて、現状維持を」と主張しておくのが賢明でしょう。また、建物の維持管理、修繕要求とも関連して、増額請求に対処しましょう。


(2) 紛争の解決手段
 また、法改正によって、賃料の増減額に関して、紛争が生じた場合には、いきなり裁判で争うのではなく、まず簡易裁判所で調停を申立てることが必要となりました。
(自主交渉→調停→裁判という流れとなります。)


*注意* 貸主から、賃料(家賃)の値上げ請求をされたら?
 適正な増額請求かどうかを見定めて交渉をする必要があります。
 もし、これまでの賃料を提供して、家賃が受け取りを拒否した場合、賃料の未払という債務不履行にならないよう、法務局に供託をしておきましょう。


第2 弁護士に相談するメリット


 賃貸借は、ある程度の知識がないと、不利な結果になることがあります。弁護士に相談する事で、どうしたらいいという不安な状況から抜け出せると思います。
 契約の内容によっては取り返しのつかないことになる場合もあり、契約時や問題が起きた時など、こまめに弁護士の助言をもらっておくことが、トラブルの防止のために大事です。
 住まいの問題は、精神的にも負担になることが多いので、早めに弁護士に相談することで気持ち的にも楽になることが多いです。

 

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.05.07更新

 婚姻費用については、こちらをご覧ください。

 離婚したい!となったときに、一番に頭に浮かぶのはお金の問題ではないでしょうか。
 別居期間中の生活費、養育費、財産分与、年金分割、不貞行為やDVなどの慰謝料・・・後悔することがないよう、相手方としっかり話し合い、納得のいく合意を形成する必要があります。
 今回は、養育費について取り上げます。

 

■「養育費」とは?

 

 未成熟の子どもが生活するために必要な費用(衣食住にかかる費用、教育費、医療費など)を「養育費」といいます。
 夫婦が離婚する際、未成年の子どもがいる場合、その子どもの親権者をどちらかに決めなければなりません。
 親権者にならなかった親も、子どもの親である以上は、扶養義務があり(民法877条1項)、離婚をしても養育費を分担する義務があります。
 その内容は、子どもが最低限の生活ができるための扶養義務ではなく、自分の生活を保持するのと同じ程度の生活を保持させる義務(生活保持義務)です。
 子どもは親に対して直接、扶養義務の履行として「養育費」を請求することができますが、通常は、子どもの親権者が他方に対して、「養育費」の支払いを求めます。

【ポイント】
・離婚をしても、親であることは代わらないので、親権者でない親も養育費を分担しなければならない。

 

■「養育費」はいくらもらえるものなの?金額のほかに決めるべきことは?


● それでは、離婚後、親権者になって子育てをするとして、相手方にどれくらい「養育費」を支払ってもらえるでしょうか。
 基本的には、「婚姻費用」を決める場合と同じです。
 いくらにするかは、夫婦で自由に決められます。
 まずは、夫婦間で話し合いをし、協議で決まらなければ、調停の手続の中で、金額や支払方法を話し合うことになります。通常は、離婚条件を決めるにあたって「養育費」についても話し合うため、離婚調停を申し立てて、その中で話し合うことが多いです(養育費を決めずに離婚をして、後で養育費分担の調停を申し立てることもできます)。
 もし、調停で話し合いをしても決着がつかないときは、離婚訴訟の中で(あるいは養育費分担の審判手続の中で)、裁判官に決めてもらうことになります。
 調停、審判、訴訟といった裁判所の手続きを利用する場合、「養育費」は、裁判官が共同研究して作成した「養育費・婚姻費用算定表」をもとにして、計算することになります。
 そのため、夫婦間で話し合う際にも、合意に至らず裁判所の手続きにうつることを想定して、「算定表」をもとに決めることが多いです。 

 

● 「養育費・婚姻費用算定表」が2019年12月23日に改定されました!
 2019年12月23日に新しい「養育費・婚姻費用算定表」が公表されました。
 最新の統計資料に基づいて更新されたもので、従前の「算定表」よりも、一般的には増額されています!
 ★新しい「算定表」はこちら!

 

● 新しい「算定表」を見てみましょう
 「算定表」の見方は、まず子どもの人数と年齢に合った表を選び、義務者(支払う側の配偶者)の年収欄と権利者(支払われる側の配偶者)の年収欄が交差する点を確認します。そこに書いてある金額が、標準的な「養育費」の額です。
なお、年収については、給与所得者の場合、源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)を見ることになります。

例:会社員の夫 年収400万円  パートの妻 年収 75万円 
  子ども 6歳 離婚後、妻が親権者として子育てする場合


→ まず、表1を見ます。


 縦軸(義務者の年収/万円と記載されている軸)の左側の数字で「400」のところから右方向に線をのばします。横軸(権利者の年収/万円と記載されている軸)の下側の数字で「75」のところから上に線をのばします。この二つの線が交差する、「4~6万円」が、義務者が負担すべき婚姻費用の標準的な月額を示しています。

 

● いつまで支払ってもらうか(成人まで、と諦めないで)
 「婚姻費用」と違って、「養育費」の場合、支払いの終期を決める必要があります(「婚姻費用」はその概念からおのずと、終期は「別居又は婚姻関係を解消する時」と決まります)。
 養育費分担義務の対象である子どもとは、未成熟子、つまり、自己の資産または労力で生活できる能力のない者をいうとされています。
 一般的には、成人して働く能力があれば未成熟子とは言えませんが、心身の障害によって働けない場合は成年に達していても未成熟子と言えますし、夫婦の収入や学歴、社会的地位から子どもが大学に進学してしかるべき場合は大学生も未成熟子と言えます。
 夫婦双方が大学を卒業しており、離婚時の子どもの年齢からして進路がある程度明確になっているケースの場合、大学に進学することを前提に終期を決めるケースが多いです。
 その場合、「子どもが大学を卒業するまで」という決め方ですと、浪人や留年等によって卒業する年がのび、終期をめぐる争いが生じかねません(また、不特定な文言にすると、強制執行する際に問題になり、強制執行できないということもありえます)。そのため、「22歳に達した後に到来する3月末日まで」などと明確に決めておくことをおすすめします。
 子どもの心身の状況や就学状況はまちまちです。その子に応じた終期を決めることをおすすめします。終期をどう決めるかや、後に争いにならない文言の定め方は、お子さんのことだからこそ、とても重要です。是非、弁護士にご相談ください。
【ポイント】
・養育費の支払終期は、必ず成人までというわけではない。
・子どもの心身の状況や就学状況、親の学歴等によって、成人時を超えた終期を決めることも可能。
・後に争いにならないような文言にしておくことも重要。弁護士にご相談を!

 

■養育費を支払ってもらえない!とならないように出来ること

 

 法務省の検討会議が、2020年にまとめた報告書では、母子世帯が離婚した父親から養育費を受け取っている割合は、なんと24%とされており、養育費の不払い解消策は、法制審でも論点になっているほどです。
 では、せっかく決めた養育費を支払ってもらえない!なんてことにならないように、対処することはできないでしょうか。
 調停や裁判といった裁判手続で決まった場合には、裁判所が作った調停調書や和解調書、判決書をもって、強制執行することができます。つまり、支払義務者の預貯金や給料などを差し押さえて、そこから直接回収するということができます。
 では、裁判所の手続を使わず、話し合いで決めた場合はどうでしょう。
 単なる「合意書」では、不払いが生じたときに直ちに強制執行することはできません(裁判手続を経る必要があります)。そこで、合意内容を、強制執行認諾文言を入れた「公正証書」にすることをおすすめします。
 公正証書は公証役場の公証人が作成する公的な契約書です。最大のメリットは、「強制執行認諾文言」を入れておけば、調停調書や和解調書、判決書と同じく、直ちに給与の差押え等の強制執行ができるという点です。
 公正証書を作成する際には、公証人に対し、作成費用を支払うことになります。公証人手数料は公正証書に載せる条件(養育費、財産分与、慰謝料など)の金額によって計算される仕組みになっています。概ね数万円程度の費用にとどまりますので、安心のために作成することをおすすめします。
 公正証書を作る際に、きちんと、強制執行が可能な文言にしておくこともお忘れなく。文案の作成と公証人とのやりとりを弁護士にご依頼いただくことも可能です。

【ポイント】
・協議で養育費を決めた場合は、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しておく。
・公正証書の案の作成は、ぜひ弁護士にご依頼を!

 

 川崎合同法律事務所では、年間150人を超える方々から、離婚・男女トラブル・子どもに関するご相談をいただいております。たくさんの事例を経験しているからこそ、依頼者のみなさまそれぞれのご事情に応じた解決策を立てることができます。     
 女性弁護士が多数在籍していることも当事務所の大きな特徴です。
 ご家庭の問題で悩みを抱えたときには、ぜひお気軽にご相談にいらしてください。

弁護士 中瀬 奈都子

 

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.04.19更新

山口毅大弁護士については、こちらをご覧下さい。

 【目次】

1 ご家族が亡くなられた後にすべきことは?
2 まずすべきことは?遺言書の確認、相続人の確定、遺産(相続財産)の確定
3 遺言書の確認とは?
4 相続人の確定とは?
5 遺産(相続財産)の確定とは?
6 遺産(相続財産)の分け方~遺産分割協議とは?
7 遺産分割調停とは?
8 遺産分割審判とは?
9 共有物分割訴訟とは?
10 相続放棄の方法は?
11 相続税の申告期限は?
12 遺留分とは?
13 寄与分とは?
14 特別受益とは?
15 わからないことがあったら?

1 ご家族が亡くなられた後にすべきことは?
 ご家族が亡くなった後、遺産相続について、どのようにすればいいのかわからない方も多いと思います。
 きちんと対応しないと、あとで相続をめぐって、争いになってしまうこともあります
 そこで、今回は、遺産相続をテーマに、ご家族が亡くなった後にすべきことについて、説明します。


 やるべきことは,
  遺言書の確認
  相続人の確定
  遺産(相続財産)の調査・確定(遺留分,寄与分,特別受益等の確認も含む。)
  遺産分割協議


 場合によっては,
  遺産分割調停
  遺産分割審判
  共有物分割訴訟
  相続放棄
  相続税の申告
  遺留分侵害額請求(旧法:遺留分減殺請求)
などが挙げられます。


2 まず、すべきことは?遺言書の確認、相続人の確定、遺産(相続財産)の確定
 まず、はじめにやらなければならないことは、
  遺言書の確認
  相続人の確定
  遺産(相続財産)の確定
です。
 その上で、遺産(相続財産)をどう分けるか話し合って行く必要があります。

3 遺言書の確認とは?
 被相続人(亡くなられた方)が遺言書を作っていたか否かを確認する必要があります。

 遺言書には、いくつか種類がありますが、実際に作られている主な遺言書は、
  自筆証書遺言
  公正証書遺言
があります。
 自筆証書遺言は、被相続人(亡くなられた方)が自署にて作成した遺言です。公正証書遺言は、被相続人(亡くなられた方)が公証役場で公証人に作成してもらう遺言です。
 自筆証書遺言の場合、相続人に対し、遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続である検認を経なければなりません。具体的な手続は、遺言書の保管者または遺言者を発見した相続人が遺言者(亡くなられた方)の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てます。検認しないまま、遺言を執行したり、遺言書を開封した場合、5万円以下の過料に処せられる可能性や偽造、変造したと言われる可能性がありますので、注意しましょう。
 有効な遺言書が作成されていれば、遺言書に記載された内容に従って遺産(相続財産)を分割して、相続手続を進めていきますが、遺言書がない場合、あるいは、あっても形式等に不備があって、遺言が無効になってしまう場合は、相続人全員で遺産をどのように分けるかについて話し合うこと(遺産分割協議)が必要になってきます。
 なお、遺言書があっても、相続人全員が、遺言内容と異なる分割方法について同意すれば、遺言内容と異なる分割をすることができます。

4 相続人の確定とは?
 相続人の確定とは、相続人が誰であるかを確定することです。これをきちんとしておかないと、遺産分割協議書(簡単にいうと、遺産の分け方について決めた文書)を作ったあとに、遺産分割協議が無効になってしまう危険があるからです。
 相続人の確定の具体的な方法は、被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍を取り寄せることです。取り寄せた戸籍を見て、相続人が誰であるかを確定してきます。
 このように戸籍を調査するのは、相続人が知らない被相続人(亡くなられた方)の子どもがいる場合等があるからです。
 相続人の範囲は、


  第1順位 被相続人(亡くなられた方)の配偶者、子ども
  ※ 子どもが先に亡くなっている場合、その子ども(孫)(代襲相続)
  ※※ 子どもとその子ども(孫)も先に亡くなっている場合、ひ孫(再代襲相続)
  第2順位 被相続人(亡くなられた方)の父母
  ※ 父母が先に亡くなっている場合、その父母(祖父母)
  第3順位 被相続人(亡くなられた方)の兄弟姉妹
  ※ 兄弟姉妹が先に亡くなっている場合、その子ども(おい、めい)
  ※※ 昭和55年以後は、兄弟姉妹について再代襲相続はありません。
 です。


 相続関係図を作成しておくと、便利です。

5 遺産(相続財産)の確定とは?
 遺産(相続財産)の確定とは、被相続人(亡くなられた方)の残した財産を明らかにすることです。
 遺産(相続財産)に含まれる主な財産は、
  預貯金(従来は、当然承継されると考えられてきましたが、判例変更がありました。)
  現金
  不動産
      不動産賃借権(借地権等)
  有価証券(株式等)
  動産(貴金属類、自動車等)
  債務(借金など)
等です。
 なお、生命保険金は、民法上、遺産(相続財産)に含まれないので、注意が必要です。
 遺産(相続財産)目録を作成すると便利です。
 遺産(相続財産)がわからない場合、ある程度調査することで、分かる場合があります。たとえば、被相続人(亡くなられた方)の不動産については、市区町村の固定資産税課で「名寄帳」を入手すれば、その区域での被相続人(亡くなられた方)名義の不動産がわかります(東京23区の場合には、都税事務所になります。)。また、預貯金は、被相続人(亡くなられた方)が利用していた、あるいは利用していたと思われる金融機関に照会することで確認できます。
 他の相続人が勝手に被相続人(亡くなられた方)の預貯金等を引き出す可能性があって、あとで取り戻すことが難しいことが予想される場合には、予め金融機関に被相続人(亡くなられた方)が死亡したことを届け出ておくことで、勝手に引き出させないようにすることができます。
 遺産の評価は、実務上、現実に分割する時点(遺産分割時)となります。なお、寄与分、特別受益(寄与分、特別受益については、のちほど説明致します。)が問題となる場合には、みなし相続財産を算出する必要がありますので、その場合には、相続開始時の評価も必要になります。
 遺産の評価方法で、相続人のもらえる財産額が大きく変わってくることがありますので、遺産の評価方法について、疑問がある方は、弁護士にご相談ください。

6 遺産(相続財産)の分け方~遺産分割協議とは? 
 相続人と遺産(相続財産)の確定が終わったら、相続人の間で、遺産(相続財産)をどのように分けるか話し合う必要があります。これを遺産分割協議といいます。
 話し合いの結果、相続人間で合意ができた場合には、遺産分割協議が成立したということになります。
 遺産分割協議が成立した場合、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書は、相続人だけでも作成することができますが、不動産や預貯金等がある場合、遺産分割協議書の記載が不十分であると、名義変更や払い戻し等ができない場合があります。その場合、改めて、作成し直す必要があります。
 このような事態にならないように、遺産分割協議書作成にあたっては、弁護士にご相談されることをおすすめします。主に注意すべきポイントをいくつか示すと
 ①不動産の表示は、全部事項証明書に基づき正確に記載すること
 ②銀行預金口座は、口座のある支店名も明示すること
 ③相続人の住所は、印鑑登録証明書の記載に合わせ、同一の記載をすること
 ④相続人の真意と人違いでないことを明らかにするために、相続人全員が署名して登録済の印鑑(実印)で押印し、全員の印鑑登録証明書を添付すること
 等が挙げられます。

7 遺産分割調停とは?
 相続人間での話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。遺産分割調停は、裁判所を利用した話し合いで、調停官1名と調停委員2名で構成される調停委員会が、遺産分割の方法について、相続人の考えを確認しながら、争点を整理して、合意に向けた話し合いをしていきます。


 申し立てるにあたって、必要なものは、具体的には、
  ①遺産分割調停申立書
  ②被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍
  ③被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している者がいる場合、その子(及び代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍
  ④相続人全員の住民票または戸籍附票
  ⑤遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書及び固定資産評価証明書、預貯金通帳の写しまたは残高証明書、有価証券写し等)
  ⑥相続関係図
  ⑦その他裁判所から求められた資料
があります。


 申立人は、相続人で、申立先は、相手方の住所を管轄する家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所です。申立費用は、収入印紙1200円と予納郵便切手(各裁判所によって異なります。)です。
 遺産分割調停は、当事者だけでもできます。しかし、調停において、単にご自身が言いたいことを述べているだけでは、自らの希望を実現することは難しいでしょう。法律の知識を前提に、事実を論理的に主張する必要があります。
 ですので、仮に、相手方に弁護士が付いていなくても、弁護士にご依頼されることがおすすめです。

8 遺産分割審判とは?
 遺産分割調停での話し合いがまとまらず、調停が不成立に終わった場合、その事件は、遺産分割審判手続に自動的に移行します。審判手続中でも、話し合いがまとまれば、調停が成立しますが、話し合いがまとまらなかった場合、家庭裁判所によってどのように遺産分割をすべきか審判が出されます。
 遺産分割審判手続では、訴訟のように、それぞれの相続人が書面で、主張を行い、主張を裏付ける資料を提出することになります。
 その段階では、多くの場合、適切に法律上の主張をする必要があるので、弁護士にご依頼されることをおすすめします。

9 共有物分割訴訟とは? 
 遺産分割審判で、遺産である不動産について相続人全員の共有とする審判が下されることがあります。この場合、審判後に、共有物分割訴訟を経なければ、遺産である不動産は、相続人全員の共有のままになってしまいます。このような審判が下されると、遺産である不動産を分割するために、さらに時間と費用がかかる場合があります。
訴訟ですので、それぞれの相続人が書面で、主張を行い、主張を裏付ける資料を提出することになります。その段階では、多くの場合、適切に法律上の主張をする必要があるので、弁護士にご依頼されることをおすすめします。

10 相続放棄の方法は?
 遺産を調査した結果、債務(借金、未払い金等)しかないということもあるでしょう。債務の相続をしたくない場合、相続放棄を行う必要があります。相続放棄をすれば、はじめから相続人とならなかったとみなされます。
 もっとも、プラスの遺産もある場合には、相続放棄をしてしまうと、プラスの遺産も相続できなくなるので、注意が必要です 。
 具体的な相続放棄の方法は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述書を提出することでできます。この相続放棄の申述は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に行う必要があります。もっとも、被相続人(亡くなられた方)の遺産(相続財産)の調査のため、家庭裁判所に相続放棄期間の伸長を求めることができます。また、万が一、3か月が経過しても、遺産(相続財産)が全く存在しないと信じた場合には、相続財産の全部もしくは一部を認識した時または通常認識しうる時から期間を数えます。

11 相続税の申告期限は?
 相続税の申告期限は、相続開始後10か月です。もっとも、その間に、遺産分割協議がまとまらないことがあるでしょう。その場合には、未分割として相続税申告します。なお、事業収入がある場合、4か月以内に所得税の準確定申告をする必要があります。

12 遺留分とは?
 遺留分とは、兄弟姉妹及びその子以外の法定相続人に対して認められた、被相続人の意思によっても奪えない相続分のことです。父母等の直系尊属のみが相続人の場合には、1/3それ以外の場合には1/2となります。 
 遺留分を侵害された遺留分権利者は、遺留分侵害額に相当する金銭を請求できます(遺留分侵害額請求)。
※ 旧法:遺留分減殺請求。
 遺留分権利者が、自分のために相続が開始したことと遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った時から1年以内にしなければ、遺留分侵害額請求権は、時効によって消滅するので、注意が必要です。また、相続開始から10年経過すると、事情のいかんを問わず遺留分侵害額請求をすることができなくなるので、こちらも注意が必要です(除斥期間)。さらに,遺留分に関する権利行使によって生じた金銭債権については,通常の金銭債権と同様の消滅時効がかかります(債権法改正法施行前においては,10年,施行後においては,5年の消滅時効にかかります。)。
 遺言書がある場合、遺留分が侵害されていないか確認することが必要となります。

13 寄与分とは?
 共同相続人の中に被相続人の財産の維持・増加に特別に寄与した者がいる場合、この特別の寄与を考慮し、この者に対して特別に与えられる相続財産への持ち分のことを寄与分といいます。単なる精神的な支援だけでは、寄与分の対象になりません。典型例としては、被相続人の事業に関する事業に関する労務の提供、被相続人の事業に関する財産上の給付、被相続人の療養看護が挙げられます。
 法律で定められた義務の履行としての行為は、たとえ、「被相続人の財産の維持・増加」に貢献したとしても、それが当該義務により通常期待されている範囲内のものを超えるものでなければなりません。また、寄与行為に対する対価や補償を受けていないこと(無償性)、特別の寄与によって、被相続人の財産が維持されたり、増加されたりすること(因果関係)が必要となります。
 寄与分の額は寄与の時期・方法・程度、相続財産の額その他一切の事情を斟酌して決定されます。
 実際に、寄与分があるのかどうかについて確認する必要があります。

14 特別受益とは?
 遺贈のほか、婚姻や養子縁組のため、もしくは生計の資本として、被相続人から共同相続人に贈与された財貨のことを特別受益といいます。
 被相続人が相続開始時において有していた財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産と見なし、これを法定相続分率で割った相続分を算出し、この相続分から遺贈又は贈与の価額を控除した残額が具体的相続分となります。
 実際に、特別受益があるのかどうかについて確認する必要があります。

15 わからないことがあったら?
 これまでご説明してきたように、遺産相続は、専門的な知識が必要とされるので、当然、ご自身の事案に応じた適切な進め方や解決方法等がわからないことがあると思います。
 その場合、お一人で悩まれることなく、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

ご相談をご希望の方はこちらから、お問い合わせください。

 

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.04.08更新

川岸卓哉弁護士については、こちらから。 

 

  新型コロナウイルスの影響は、働く人の雇用分野にも影響が大きく、生活が脅かされています。しかし、どさくさに紛れて違法な解雇をしたとしか言いようがないような事件も散見されます。例えば、長年正社員として働いていた職場で、コロナの影響で会社の事業が縮小したため、整理解雇さたというご相談はよくうけます。


 しかし、労働契約法16条では,「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合,権利を濫用したものとして無効となる」と規定されています。そして、本件解雇は,通知人に何らの責任がない,経営上の理由による整理解雇であり,整理解雇の四要件(人員削減の必要性,解雇回避努力義務,人選の合理性,手続の妥当性)がなければ,違法,無効となります。

 

 解雇の理由について,コロナの影響による当期の売り上げの低下や、事業の縮小等が解雇理由として説明されても、その営業利益の推移に関する資料だけでは、貴社において人員削減の必要性がやむを得ないものであるとは認められません。会社が,雇用調整助成金の申請,貴社代表者及び通知人の賃金減額等を含めた人件費の削減、減額希望退職の募集等といった解雇回避努力義務を尽くしている必要があります。


 また,人選の合理性も、事業縮小する事業以外も当然業務担当が可能であるる場合には、通知人が解雇対象とされるのは不合理といえます。


 さらに,解雇に際して,十分な説明をせず,突然,解雇を通知するような場合にも問題です。


 以上のような事情であれば、解雇が整理解雇四要件を満たさず,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当といえないものであって,違法かつ無効であることがあります。


 コロナが理由で解雇されても、泣き寝入りせずにまずは一度弁護士にご相談ください。

 

 

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.04.01更新

A 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働を時間外労働と呼び,労働者に時間外労働をさせた場合には,会社は残業代を支払わなければなりません。労働基準法は,時間外労働25パーセント以上,休日労働35パーセント以上,深夜労働(午後10時から午前5時)25パーセント以上の割増率を定めています。また,時間外労働・休日労働が深夜に及んだ場合には,合計した割増率になります。
  ただし,残業代請求において,労働時間の主張立証責任は原則として労働者が負いますから,残業代算定の証拠(タイムカード,時刻記載のある業務日報,電子メールの送受信時刻,PCの立ち上げ時刻の記録、家族に帰宅を知らせるメールやライン、スイカの記録、ETCに記録等)の確保が必要となります。
これらの証拠を確保し,残業代を計算します。その上で,労働基準監督署に申告するか,裁判手続によって,残業代請求をすることになります。

 なお、会社から、残業の申告がされていなかった、残業命令を出していない、固定残業代を支払っている等の反論がある場合もありますが、多くの場合、残業代請求は認められますので、まずはご相談ください。

 ちなみに、残業代請求権は3年(2020年3月以前支払い分については2年)で時効消滅するため、毎月毎月1ヶ月分ずつ残業代が消滅していきますので,早めの対応が必要です。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.04.01更新

A 会社は,毎月1回以上,直接労働者に対し,一定の日を定めて賃金の全額を通貨で支払う義務があります(労働基準法24条1項)。この義務を履行しない会社は,刑事罰の対象になります(労働基準法120条1号)ので,まずは,労働基準監督署に違反申告の手続をしてください。会社に対する賃金債権は法律上先取特権として,保護されているので,何度催促しても支払われない場合等は,賃金請求の裁判を起こすことも可能です。

  また,会社の経営が苦しく,会社が倒産した場合等は,「賃金の支払いの確保等に関する法律」に基づき,立替払の制度がありますので,やはり労働基準監督署の相談してみてください。賃金債権は,3年(2020年3月以前支払い分については2年)で時効消滅しますので,注意しましょう(労働基準法115条)。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.03.25更新

中瀬奈都子弁護士については、こちらから。

 離婚したい!となったときに、一番に頭に浮かぶのはお金の問題ではないでしょうか。
別居期間中の生活費、養育費、財産分与、年金分割、不貞行為やDVなどの慰謝料・・・後悔することがないよう、相手方としっかり話し合い、納得のいく合意を形成する必要があります。

 ここでは、特にご相談の多い、別居期間中の生活費について取り上げます。

■「婚姻費用」という言葉をご存じですか?
 婚姻費用とは、婚姻している夫婦と未成熟子をあわせた家族が、生活をいとなむうえで必要な生活費用のことです。具体的には、日常の生活費、医療費、教育費、保険料などのことです。
 民法は、婚姻した夫婦には、扶養義務(民法752条)と婚姻費用の分担義務(民法760条)があると定めています。
 婚姻費用は、多くは、別居をしたときに問題となります。
 別居をしていても、離婚するまでは夫婦ですから、一方配偶者(義務者)が、他方配偶者(権利者)の婚姻費用を分担する義務があるのです。つまり、離婚するまで、収入が多い側が少ない側の生活費を分担することになります。
 現実には、夫と比べて収入の少ない妻が、未成熟子をひきとって育てているケースが圧倒的に多いです。その場合、妻と比べて収入の多い夫は、妻の生活費と子どもの生活費(つまり養育費)を分担する義務があります。なお、離婚をすれば妻の生活費を分担する義務はなくなるので、子の養育費だけが問題になります。


【ポイント】
・別居しても、収入の多い方の配偶者は、少ない方の配偶者の生活費を分担しなければならない。
・離婚するまでは「婚姻費用」(収入が少ない方の配偶者+子の生活費)の問題、離婚してからは「養育費」の問題(※収入が少ない方が未成熟子を育てている場合)

 

■「婚姻費用」の金額はどう決めるの?
 婚姻費用の金額をいくらにするかは、夫婦で自由に決められます。
 しかし、夫婦間で話し合いがつかない場合には、家庭裁判所の手続きを利用することになり、その場合、婚姻費用は、裁判官が共同研究して作成した「養育費・婚姻費用算定表」をもとにして、計算することになります。
 そのため、夫婦間で話し合う際にも、合意が形成できず、裁判所の手続きにうつることを想定して、算定表をもとにすることが実際多いです。 

 

●「養育費・婚姻費用算定表」が2019年12月23日に改定されました!
 2019年12月23日に新しい「養育費・婚姻費用算定表」が公表されました。
 最新の統計資料に基づいて更新されたもので、従前の「算定表」よりも、一般的には増額されています!
 ★新しい「算定表」はこちら!

 

●新しい「算定表」を見てみましょう
 「算定表」の見方は、まず子どもの人数と年齢に合った表を選び、義務者(支払う側の配偶者)の年収欄と権利者(支払われる側の配偶者)の年収欄が交差する点を確認します。そこに書いてある金額が、標準的な婚姻費用の額です。
 なお、年収については、給与所得者の場合、源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)を見ることになります。

例:会社員の夫 年収400万円  パートの妻 年収 75万円 
  子ども 6歳 別居後、妻が育てている場合
→まず、表11を見ます。

 縦軸(義務者の年収/万円と記載されている軸)の左側の数字で「400」のところから右方向に線をのばします。横軸(権利者の年収/万円と記載されている軸)の下側の数字で「75」のところから上に線をのばします。この二つの線が交差する、「6~8万円」が、義務者が負担すべき婚姻費用の標準的な月額を示しています。

 

●「算定表」で解決できないケースも
 「算定表」は、婚姻費用や養育費の簡易迅速な算定と保障を目指して作成されたもので、これによって、標準的なケースでの婚姻費用や養育費については、一目で基準額がわかるようになりました。標準的なケースとは、夫婦が別居し、夫婦の一方が子どもを育てており、子どもが学齢期であれば、公立学校に通っているというものです。
 実際にはこの標準的ケースから外れる場合が多く見られます。たとえば、子どもが私立学校に通っている場合、別居後、権利者が住み続けている家のローンを義務者が支払い続けている場合などです。
 その場合、「算定表」のベースとなっている「標準算定方式」にたちかえって、計算することになります。どのような事情が計算上、考慮されるのか、どのように考慮に入れるかは、過去の審判例等をふまえる必要があります。
 例えば、私がこれまで扱った事件の中では、お子さんの保育園の費用や私立中学校の学費が、「算定表」上考慮されている公立学校の費用を大きく上回るケースが多々ありました。加算が認められるにはどのような事情・資料が必要か、どのように分担額を計算するかなど助言をし、いずれも、調停成立に至っています。
 その他、家を出て行った夫が妻子の住んでいる住宅のローンを支払い続けているケースなども「算定表」に単純に当てはめただけでは算定できません。
 ご自身のケースでは婚姻費用がどのように計算されるのか、是非、弁護士にご相談ください。

 

【ポイント】
・裁判所の手続きでは、裁判官が共同研究して作成した「養育費・婚姻費用算定表」をもとに、婚姻費用の金額が計算される。
・ただし、「算定表」は、「標準的なケース」を想定しているものなので、それぞれのご家庭の事情をふまえた金額の計算については、弁護士にぜひご相談を!

 

■婚姻費用分担の手続き


●調停・審判とは
 夫婦間の話し合いで決まらなければ、「調停」を申し立て、「調停」が不成立だった場合には審判という流れになります。
 「調停」とは、裁判官一人と民間人から選ばれた調停委員二人以上で構成される「調停委員会」が、当事者双方から事情を尋ねたり、意見を聴いたりして、双方が納得の上で問題を解決できるように、助言やあっせんを図る手続です。
 婚姻費用分担調停では、「調停委員会」が、夫婦の資産、収入、支出などの事情を、当事者双方から聴いたり、資料を提出してもらうなどして事情を把握して、算定表をもとに、解決案を提示したり、必要な助言をし、合意を目指し話合いが進められます。
 「調停」は、あくまで、合意を目指す手続きですので、不成立になる可能性があります。不成立になった場合には、手続は「審判」に移ります。
 「審判」は、裁判官が、当事者から提出された書類等種々の資料に基づいて判断を決定する手続で、婚姻費用分担審判の場合、双方の収入の資料などをもとに、裁判官が分担額を決定します。
 なお、調停や審判で決まった場合、調停成立の場合は調停調書が、審判の場合は、作成されます。この調停調書や審判書は、相手が支払いを怠った場合に、給与や預金口座を差し押さえるなどの強制執行を行うことができる効力を持っています。

【手続きの流れ】
調停申し立て-(おおむね1ヶ月)

→ 第1回調停期日→(1ヶ月後)→第2回調停期日‥(以下、約1ヶ月毎に1回調停期日が行われる。)

→調停成立=調停調書作成
→調停不成立  ―(自動的に移行)→審判手続→審判=審判書作成    

               

●重要なのは、申し立てのタイミング
 ここで、一番重要なのは、調停の申し立てを行うタイミングです。
 実務上、原則として、権利者が義務者に対して、婚姻費用を請求した時点から、婚姻費用の支払い義務があるとされています。そして、この「請求した時点」というのは、基本的には、婚姻費用分担調停または審判を申し立てた時点を指すとされています。
 つまり、別居を開始して、1,2ヶ月話し合いを続けていたけれど、結局折り合わず、調停を申し立てたような場合、別居開始時点にさかのぼって支払わせることができないのです。
 
  別居開始-(話し合い)―調停申し立て―――――離婚or別居解消
    ↑           ↑婚姻費用支払い義務↑ 
    ここまでさかのぼれないので注意!

 もちろん、調停で、別居開始時点までさかのぼって支払うという合意ができれば別です。しかし、実際にはそのような合意が形成できるケースはそう多くはありません。
 調停となれば、裁判所に行くなどの手間がかかりますし、期日が約1ヶ月に1度の頻度であるため、一定期間かかってしまう一方、話し合いであれば、短期間に解決する可能性はあります。しかし、他方で、話し合いに漫然と時間をついやし、その期間の婚姻費用が結局支払われないというリスクもあるのです。
 また、義務者である相手方が離婚を渋っている場合には、早く婚姻費用分担の調停申し立てをすることが得策になります。義務者にとっては、離婚に応じない期間が長くなるほど、その負担額が大きくなっていくからです。
 このように、いつ調停申立てを行うか、その前に話し合いを行うかなど、相手方の性格や状況に応じて、戦略を立てる必要があります。


【ポイント】
・婚姻費用の支払い義務が発生するのは、基本的には調停(審判)申立て時点から

 

 川崎合同法律事務所では、年間150人を超える方々から、離婚・男女トラブル・子どもに関するご相談をいただいております。たくさんの事例を経験しているからこそ、依頼者のみなさまそれぞれのご事情に応じた解決策を立てることができます。     

 女性弁護士が多数在籍していることも当事務所の大きな特徴です。
 ご家庭の問題で悩みを抱えたときには、ぜひお気軽にご相談にいらしてください。

 「養育費」については、こちらをご覧下さい。


弁護士 中瀬奈都子

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.03.19更新

A 
 解雇が有効となるためには、客観的合理性と社会的相当性が必要であり、これらがない場合には、その権利を濫用したものとして無効となります(労働契約法16条)。
 解雇の中でも、特に、懲戒解雇が有効となるためには、これに加えて、以下の要件を満たす必要があります。


(1) 懲戒事由および懲戒の種類が就業規則に明定され、周知されていること、
(2) 規定の内容が合理的であること、
(3) 規定に該当する懲戒事由があること、
(4) その他の要件(罪刑法定主義類似の原則、平等取扱の原則、相当性の原則、適正手続)を備えていること


 あなたの受けた懲戒解雇の有効性については、これらの要件を全て満たすか検討する必要があります。例えば、取引先から受けた接待の金額が多額ではないなどの場合には、解雇処分は重すぎ、例えば、戒告や減給など、解雇処分よりも軽い処分が相当であるとして争える場合があります。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.03.19更新

A 労働契約法16条に、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定されているとおり、無制限に解雇はできません。能力欠如を理由とする解雇の有効性の判断はケースバイケースにならざるを得ませんが、能力欠如を理由に解雇が有効とされるのは、不良の程度が著しく、効力の向上の見込みがないと認められる場合に限られます。従って、会社は、いきなり解雇するのではなく、まずは教育訓練や配置転換等によりできる限り解雇を回避する措置を尽くすことが必要と考えられますので、このような努力を会社が果たしているか、まずは確認しましょう。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2021.03.19更新

A 会社があなたに対して退職しろと迫ったことは、退職勧奨・退職強要といいます。退職(合意解約)は、会社とあなたの合意があって成立するものなので、退職勧奨・退職強要に応じる義務は全くありません。脅迫や勘違い等によってやむなく退職届に署名してしまった場合には、合意解約が推認されてしまうのを防ぐため、できる限り速やかに、会社に対して、退職届を撤回する旨を通知しましょう。

投稿者: 川崎合同法律事務所

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