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2022.11.15更新

 中瀬弁護士については、こちらをご覧下さい。


 離婚をするときには、必ず、どちらが親権者になるかを決めなけばなりません。親権者にならない親にとっては、離婚後も子どもと連絡をとりあえるか、会えるか、ということはとても気になる問題だと思います。
また、離婚までに至らず、夫婦が別居している段階においても、他方配偶者が子どもを連れて出ていった場合には同じ問題が生じます。

 「離れて暮らしている子どもとなかなか会えていない、どうすればよいか」、「離婚後も子どもと交流できるようにするために、どういう約束事をとりつければよいか」、あるいは、「元パートナーから子どもと会わせてほしいと言われているがどうすればいいか」というご相談を受けることがしばしばあります。

 

◇面会交流とは?
 子どもと離れて暮らしている親(非監護親)と子どもが、直接会ったり、それ以外の方法で交流をすることを「面会交流」と言います。
 面会交流は、親の権利という側面だけでなく、子どもの成長にとって大切な役割を果たすものであり、子の権利という側面も有すると言われています。
 そして、民法には、面会交流について、協議で決める場合、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」(見法766条1項)とされているため、子の利益(子の福祉)を第一に考えるべきことがはっきりしています。

 

◇面会交流の方法
 面会交流の方法は、直接会うことに限られません。
 電話でのやりとりや手紙のやりとり、非監護親からのプレゼントの送付、子の写真や動画の送付などいろんな方法があります(これらを間接交流といいます。)。
 最近では、ZOOMやLINEでのやりとりもさかんです。

 

◇家庭裁判所の運用
 仮に当事者間での話し合いで決められず、後述する調停や審判手続きで面会交流について決めることになった場合、裁判所は、面会交流が、子の健全な育成にとって有益であるという基本的な立場にたち、子の福祉を害するなどの特段の事情がある場合を除いて、原則として認めるべき、という運用になっています。

 ☛裁判所が公開している動画を見ると、家庭裁判所の運用がよくわかります。
  ・離婚をめぐる争いから子どもを守るために
  ・子どもにとって望ましい話し合いとなるために
  

 家庭裁判所では、以下のような判断要素によって、面会交流を認めるかどうか、どのような方法・頻度で交流するかといったことを考えることになります。

 

① 子どもに関する要素(子どもの意思、年齢、子どもの心身や生活環境におよぼす影響)
② 監護親に関する要素(監護親の意思、監護親の養育監護に対する影響、監護親の生活状況)
③ 非監護親に関する要素(非監護親の問題点)
④ 両親の関係に関する要素(別居・離婚に至った経緯、別居・離婚後の関係性)等

 

 子の福祉を最優先に考慮しなければならないことから、特に①の子どもに関する要素が最重要視されます。
 子どもの意思に関しては、子どもが非監護親に嫌悪、拒否、恐怖などの感情を示している場合には、面会交流が認められない方向になります。
 もっとも、両親間の対立が激しかったり、長期間交流していなかったりすることで、当初は不安感や抵抗感を示す子どもも少なくありません。特に幼年の子は、一番身近な監護親の前では、「会いたくない」と言っていても、実際に会ってみると楽しく過ごした・・・ということが多々あります。一緒に暮らす監護親の愛情を守りたいために、監護親の気持ちに沿う反応を見せることがあるのです。また、時間をかけてならしたり、面会交流の方法を工夫することで、子どもの不安や抵抗感が解消されることもあります。
 子どもの表面的な反応だけで、面会交流の可否を決めるべきでない場合もあることに留意しましょう。

 

◇面会交流が制限、禁止されうる場合とは?
 家庭裁判所の基本的な立場は会わせる、ですが、もちろん制限、禁止すべきケースもあります。そのような場合は、しっかりと事情を説明していく必要があります。
 では、子の福祉を害するとして、面会交流が制限、禁止されうるのは、どんな事情がある場合でしょうか。
 例えば、①子の連れ去りのおそれがある場合、②非監護親から虐待のおそれがある場合、③非監護親から監護親に対する暴力がある場合などが考えられます。
 子どもを監護親のもとから突然連れ去るのは、子どもから生活基盤を失わせる行為ですので、面会交流を制限、禁止すべき事由にあたります。また、子どもへの虐待行為は言うまでもありません。監護親に対する暴力も、子どもの面前で行われれば、心理的虐待にあたるため、面会交流を制限・禁止する方向になり得ます。
 また、面会交流について合意した約束事を守らないといったことも、その内容が重大だったり、何度も約束を破ったりした場合には、子どもの利益を害し、当事者間の信頼関係を損なうことでもあるため、面会交流を制限・禁止するべき事由にあたります。

 なお、養育費を支払わないから、会わせたくないというご相談をいただくこともありますが、面会交流の実施と養育費の支払いは対価関係にないため、支払わないことをもって面会交流を制限・禁止することはできません。
 もちろん、養育費の不払いはそれはそれで大問題です。強制執行などの手段をもって解決できる場合もあります。諦めず、是非ご相談ください。
 
◇子どもと会う、会わせるのはいいけれど、相手方には会いたくない・・・
 まだお子さんが小さく、一人で行動ができない場合には、どうしても監護親が面会場所までお子さんを連れて行く必要があります。別居や離婚に至った当事者どうしですから、顔をあわせるのに抵抗があるのも当然です。
 そのような場合には、例えば、面会交流に関する支援を行っている団体を利用することが考えられます。
面会交流支援団体は、例えば、次のようなことをしてくれます。


・連絡調整:具体的な日時や場所等を決めるための連絡を代わりに行ってくれます。 
・子どもの受渡し支援:子どもの受渡しを代わりに行ってくれます。
・見守り支援:面会交流の場に付き添い、面会交流を見守ってくれます。


◇今回のポイント

① 一番大切なのは「子の福祉」
② 面会交流には、直接会うだけでなく、様々なメニューがあります
③ 面会交流支援団体をうまく利用しましょう

 面会交流について、当事者間ではなかなか話し合いができない、どういうことを決めたらいいか分からないということがあろうかと思います。
 そのような場合は、是非、当事務所へご相談ください。ご不安な点、当事者間で争点になっている点を丁寧にお聞きし、お子さんの利益に適う面会交流の可否、条件、そして手続の進め方についてアドバイスいたします。


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(弁護士中瀬奈都子)

投稿者: 川崎合同法律事務所

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