8月28日の神奈川2陣東京高裁判決、9月4日東京2陣東京地裁判決と、連続で大きな勝利をおさめた建設アスベスト訴訟。
これで国には14連勝、建材メーカーにも5高裁含む8勝、さらに懸案であった一人親方をめぐる国の責任でも7連勝と、大きな前進を勝ちとることができました。
しかし1陣訴訟の提訴から12年が経過する中で、原告、被災者の既に7割以上の方が命を奪われる状況となっており、一刻も早い解決が望まれるところとなっています。
こうした中、原告とこれを支援する組合では、国と建材メーカーの負担で、全ての被災者に、裁判を起こすことなく簡易迅速に損害の補償を実現する補償基金制度の創設を求めて運動してきました。これに対して国は、いたずらに控訴、上告をくり返し、仮に最高裁で敗訴したらその判決に従って、いちいち被災者にあらたに裁判を提訴してもらって、その上で和解して補償を行う司法解決方式を標榜してきました。
しかし、これまでに建設関係のアスベスト被災者は7000人を超えており、発病までの潜伏期間が30~40年と長いことから、今後もさらに被災者は増え続け、2万人以上にものぼると予想されています。こんな大変な数の被災者に、いちいち裁判を起こさないと救済しないなどというのはとんでもない話です。また一方の建材メーカーは和解などもってのほか、裁判で争い続けるとみられ、国民の血税で国が負担をしながら直接の加害者の建材メーカーは負担を免れる、そんないびつな解決が許されるはずもありません。
今すでに5つの事件が最高裁に上がっていますが、いよいよその先陣を切って、私たちが代理人をつとめる神奈川1陣訴訟について、来たる10月22日に最高裁で弁論が開かれることとなり、早ければ年内、遅くとも来年初めには、最高裁判決が下される見通しとなっています。
これを最大のチャンスとして、何としても補償基金制度を創設し、事件の全面解決を図っていくため、私たち弁護団としても全力を尽くす決意でのぞんでいるところです。
建設アスベスト訴訟、補償基金制度創設で全面解決めざす(弁護士 西村隆雄)
2020.09.16更新
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