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2017.10.20更新

 2017年10月10日「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(第1陣)は、判決を迎えました。同訴訟は、福島第一原発事故の被害者約3800名が、国と東電を被告として、福島地方裁判所に対して、原状回復と損害賠償を求めて提訴したもので、当事務所からは、渡辺、川岸、中瀬が弁護団員として活動しています。

生業判決

 約4年半の審理を経て、福島地方裁判所が言い渡した判決は、国と東電の法的責任を明確に認め、福島県の県南地域や茨城県の一部地域の原告にも賠償を認めるなど中間指針等に基づく賠償対象地域よりも広い地域を賠償の対象とし、「自主的避難等対象区域」等の原告について賠償金の上積みを認める内容で、第1陣原告3824名のうち、2907名の請求が認められました。

  裁判長による主文の言い渡し後、法廷を飛び出した3人の弁護士が「勝訴」、「国と東電断罪」、「被害救済広げる」と書かれた3枚の旗を大きくかかげると、裁判所の門前で待ち構えていた約1000名の原告や全国各地から駆けつけてくださった支援者から大きな歓声が上がりました。東京・東電本社前と沖縄でも同時に旗だしを行い、また、福岡でも原発なくそう!九州玄海訴訟と福島原発事故被害救済九州訴訟のみなさんによる集会が持たれ、各地の原告や支援者と喜びを分かち合いました。判決日の様子は全国ニュースや全国紙でも大きく扱われました。

 判決期日までに裁判所に提出した「公正な判決を求める署名」の数は「234,567筆」であり、全国でこれほど多くの国民が注目していることに後押しされた勝訴判決であったことは言うまでもありません。同署名には、当事務所を訪問された方や原発問題に関心のある地域のみなさまにご協力をいただきました。感謝申し上げます。

 他方、判決は、賠償対象地域の拡大や賠償水準の上積みを認めた点で一歩前進と評価できるものの、原状回復請求を認めなかったこと、また、ふるさと喪失慰謝料を認めなかったこと、会津や県外(茨城県の一部を除く)など賠償対象とならなかった地域があること、賠償上積みの水準など、私たちが現地検証や原告本人尋問等で明らかにしてきた原告らの被害実態を正しく反映した判決とはなっていません。

 全体救済の実現を目指して、さらに高いレベルの判決を勝ち取るべく、たたかいのステージは仙台高裁へとうつります。被害者の選別と分断を乗り越え、金銭賠償の実現だけでなく、生活再建策や環境回復策、医療健康管理策などの具体的な制度化、そして脱原発社会を実現するという大きな目標に向け、原告団・弁護団一丸となってたたかいますので、引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

 

投稿者: 川崎合同法律事務所

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