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2016.08.17更新

平成10年の不況時に自殺者数が急増して以来、日本の年間自殺者数は3万人超えで高止まりしていましたが、近年の市民や行政の活発な活動もあり、昨年ようやく年間自殺者数が3万人を切りました。しかしながら、学生が就職に失敗して自殺に至る「就活自殺」は近年特に急激に増加しており、平成22年の「就活自殺」は平成21年の2倍、平成19年の3.5倍にもなりました。

 そこで、当職の所属する横浜弁護士会自殺問題対策プロジェクトチームでは、今年、「STOP就活自殺」をテーマに相談会およびシンポジウムを行いました。

 相談会は、平成24年9月29日と平成25年1月26日の2回開催し、就職活動に悩む若者の相談を数多く受けることができました。しかし、ここにつながることのできた若者は就職活動に悩む若者のほんの一部に過ぎないことは実感せざるを得ないところです。

 シンポジウムは「就活自殺の実情と防止策」とのテーマで、平成25年1月26日に関西大学経済学部教授の森岡孝二先生をお招きして開催しました。自殺というナイーブなテーマの中でも「就活自殺」に絞り込んだテーマであったことから、どれだけの方に来場いただけるか心配していましたが、当日は土曜の夜であるにもかかわらず、開講記念会館1号室をほぼ満席にするほどの方々にご来場いただきました。就活自殺の問題が待ったなしの問題として市民のみなさんに捉えられている証拠だと思われます。

 森岡孝二先生によれば、大学生の「就活自殺」急増の原因は厳しすぎる就職環境にありますが(平成24年3月の大学卒業者の22.9%(12万8224人)は無職か半失業状態とのことです!!)、現在はメンタルケアしか行われておらず、対策は甚だ遅れています。一方で、運良く就職できた大学卒業生もブラック企業と呼ばれる企業で直ぐに過労を強いられるため、新卒での過労死・過労自殺も急速に増加している状況です。

 「就活自殺」の最も有効な防止策は、現在働いている労働者の残業時間の規制を徹底し、新規雇用を創出することです。

 確かに、「就活自殺」の問題は直接的な被告が存在しないようにみえるため、弁護士が関わっても直接的な解決は難しい分野とも言えます。しかし、労働者とそれに寄り添う弁護士が、適切な労働時間・労働条件を勝ち取ることが、間接的にではありますが若者の自殺防止に役立っているのです。我々弁護士も、このことを心に留めて、これからも頑張りたいと思います。

投稿者: 川崎合同法律事務所

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