Q&A

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2018.07.01更新

A
 戸籍上明らかになっている共同相続人が、一部の相続人を除いて勝手に遺産分割協議をしてしまった場合には、そのような遺産分割協議は無効です。したがって、他の共同相続人に対して、いつでも再分割を求めることができます。
 ただし、戸籍上明らかな相続人でない場合(認知されていない子や、実子であるにもかかわらず、戸籍上他人の子として届けられている場合)でも再分割を求めることができます。しかし、前提として、自ら相続権があることを証明する必要があります(相続回復請求権)。このような相続人が、相続権を害されたことを知ったときから5年以上経過したときは、他の相続人は、再分割の請求が時効消滅したと主張できるので、5年以内に法的手続をとるように、注意しましょう。
 また、相続の時から、20年以上経過したときは、その間、自ら相続権があることを知らなくても、再分割の権利は時効で消滅することになります。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2018.06.29更新

合意書をつくったはいいけれど…

 「約束した養育費を元夫が支払ってくれない」というご相談を受けることがあります。口約束の場合もありますが,「念書」「覚書き」「合意書」といった書類をお持ちになっている方もいらっしゃいます。そのとき確かに約束しているわけですから,特段の事情がなければ,その書面は有効です。

なんと二度手間!
 ただし,当事者間で作成した書面しかない場合,支払いの請求をすることはできますが,相手が応じてくれないと,次のステップは裁判ないし調停の申立てということになってしまいます。つまり,裁判所でもう一度,強い効力のある書面を作り直さなければならないということです。

 

公正証書とは

 この手間を回避するのに活用されているのが各地にある公証役場で作成する公正証書です。公正証書は,元裁判官,元検察官など,法務大臣が任命する公証人が作成する公文書です。当事者間の合意を「契約書」という形で,公文書にしてもらうのです。
 公正証書で養育費や慰謝料,財産分与などの支払いを約束する場合,支払う側に「強制執行認諾文言」という条項が入れられます。つまり,決められた期限までに支払いがなければ,ただちに強制執行を受けても異議ありませんという言葉です。この「強制執行認諾文言」があると,あらためて裁判や調停をしなくても,不払いがあった場合にただちに強制執行に移ることが可能です。お金の支払いの約束がある場合は,あらかじめ公正証書にしておくことをお勧めします。
 
公正証書作成までの段取り

 ここで注意が必要なのは,公証人は,当事者の間に入って調整をしてくれる人ではないということです。あくまでも,公正証書にしてもらう内容は自分たちで話し合って決める必要があります。内容が固まったら,公証役場に連絡をして,公証人に合意内容をお伝えしてください。後日,公証人から公正証書の案文が届きますので,当事者双方が事前に確認し,修正がある場合は,修正を公証人に依頼します。公正証書の内容が確定したら,当日,当事者双方が公証役場に行き,同席の下で,内容の確認と,それぞれの署名押印が行われます。 

委任状について

 どうしても相手方当事者と同席したくない,同席できないという場合,代理人を立てることもできます。その場合,強い効力を持つ書面を作成することになりますので,通常の委任状では足りません。どのような内容の公正証書を作るかといった内容面まで踏み込んだ委任状が必要となりますので,公証役場との事前協議が必要となります。

 

不本意な公正証書を作らないために

 先ほど述べたとおり,公正証書にする内容は自分たちで決めなければなりません。離婚にあたって,何をどこまで請求できるのか,養育費や慰謝料の基準,財産分与の考え方などを事前に知っておくことが重要です。相手方と話し合う前,あるいは話合いの途中など,内容を固める前にご相談ください。


 また,弁護士が代理人となって,相手方と交渉を行う場合もあります。どの段階で弁護士が入るのか,どのような方法で事件を解決に導くのかについては,具体的なご事情をお聞きして,最善の方法をアドバイスします。弁護士が代理人となって,相手方と交渉を行い,公正証書を作成する場合には,公証人とのやり取りの窓口にもなりますので,安心しておまかせください。

 以上

投稿者: 川崎合同法律事務所

2018.06.21更新

A
 被相続人は、遺言で共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができます(指定相続分)。まず、遺言があれば、その遺言に従って、遺産分割がなされるのが原則です(遺言による分割)。
 遺言がない場合には、民法により相続人間の法定相続分が定められていますので、法定相続分を目安として、協議による遺産分割することになります(協議による分割)。遺産分割の協議のためには、相続人全員が集まって、話し合い、全員の合意を得る必要があります。1人でも、 遺産分割協議に反対する相続人がいれば、法的手段によって、相続分を決める必要があります。
 法的手段として、調停による分割と審判による分割の二種類があります。相続人間の合意によって成立するのが調停、審判官(裁判官)の審判によって成立するのが、審判です。当事者は、どちらの申立てをすることも可能ですが、先に審判を申し立てた場合でも、裁判所の判断で、調停に付されるのが一般的です。
 遺産分割調停においては、相続人全員の合意があれば、法定相続分にこだわらない分割方法でも有効です。たとえば、被相続人の事業を継ぐ相続人に、多くの遺産を与えたりすることや、相続開始前から、遺産である不動産に居住しているなどの利用関係がある場合には、それを尊重した分割方法がとられることはよくあることです。しかし、調停をスムーズに進めるためには、法定相続分を基準とした分割を念頭に話し合うべきでしょう。
 遺産分割審判においても、法定相続分を原則として、感情的にならずに、冷静に相続人の間で話し合って、合意解決に努めるべきですが、寄与分の申立てがなされたり、特別受益の有無・価額などをめぐって、長期の紛争に至ることもままありますので、注意が必要です。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2018.06.11更新

 A
 被相続人の生前に同居や介護などをし、相続財産の維持や増加に貢献した相続人に対し、その貢献を評価して、貢献に相当する額の財産を得ることを認める制度を寄与分といいます。寄与分が認められれば、その相続人の相続分の割合が増えます。
共同相続人中に、亡くなった被相続人から遺言で贈与を受けたり、婚姻、養子縁組のためあるいは生計の資本として生前に贈与を受けた相続人を、特別受益者といいます。その相続人は、相続分の前渡しを受けたものとして、相続人間の公平を図るため、遺産分割の際にその相続分を減らされます。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2018.06.01更新

A
相続人の範囲、相続分の割合は民法の規定によって、決まっています。


1 被相続人の配偶者(夫、妻)は、常に相続人になります。

 ただし、法律上の婚姻関係があることが必要(婚姻届を提出していること)なので、内縁の配偶者は含まれません。配偶者の相続する割合は、
【1】 子と相続する場合、2分の1
【2】直系尊属(父母、祖父母)と相続する場合、3分の2
【3】兄弟姉妹と相続する場合、4分の3
【4】他の相続人がいない場合、全部
となります。

2 被相続人の子も、常に相続人です。

 実子と養子、氏(名字)、戸籍の異同は問題になりません。子の相続する割合は、
【1】被相続人の配偶者と相続する場合、2分の1
【2】被相続人の配偶者がいない場合、全部
となります。被相続人の子が死亡している場合でも、直系卑属(孫、ひ孫)がいる場合には、死亡した子に代わって相続することになります(代襲相続といいます)。子が複数いる場合には、原則として、相続分を子の数で平等に分けることになります。

3 被相続人の直系尊属は、被相続人の子がおらず、代襲相続人もない場合に、相続人となります。

 直系尊属の相続する割合は、
【1】被相続人の配偶者がいる場合、3分の1
【2】被相続人の配偶者がいない場合、全部
となります。

4 被相続人に子及び代襲相続人がおらず、直系尊属もいない場合、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。

 兄弟姉妹の相続する割合は、
【1】被相続人の配偶者がいる場合、4分の1
【2】被相続人の配偶者がいない場合、全部
となります。兄弟姉妹が複数いる場合には、兄弟姉妹の数で、相続分を平等に分けることになります。すでに死亡している兄弟姉妹については、その子が代襲相続することになります。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2018.05.31更新

A
 相続とは、自然人の死亡後に、その人が有した遺産(借金などの債務も含む)を、特定の人に承継させることをいいます。 亡くなった人を「被相続人」、権利義務を承継する人を「相続人」といいます。相続は、自然人の死亡による財産の承継ですから、会社などの法人に相続は発生しません。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2017.12.28更新

1 無期転換ルールとは?

 

 2012年8月,同一の使用者との間で締結された2つ以上の期間の定めがある労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超える労働者が,使用者に対して,期間の定めのない労働契約に転換することを申込むと期間の定めのない契約に転換するという「無期転換ルール」が成立しました。

 この無期転換ルールが作られたのは,合理的な理由がないのに,有期労働契約社員が正社員よりも,不利な労働条件や不安定な雇用のもとで,雇用されている現状を改善する点にあります。

 この無期転換ルールは,2013年4月1日以後を契約期間の初日とする有期労働契約について適用されます。

 

2 要件(無期転換ルールが適用されるための条件)

 

(1)無期労働契約への転換申込権が発生する要件は,次の通りです。

 

 ① 同一の使用者との間の2以上の有期労働契約が締結されたこと

 

 ② 2以上の有期労働契約を通算した雇用期間が5年を超えたこと

 

 使用者との間で締結された1の有期労働契約の契約期間が満了した日と,使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まない期間が6か月以上であるときは,当該期間前に満了した有期労働契約の契約期間は,通算契約期間に算入しないクーリング期間があります。なお,無契約期間の直前に満了した1の有期労働契約の契約期間が1年に満たない場合,当該契約期間に2分の1を乗じて得た数に1月未満の端数がない場合には,その月数を,1月未満の端数がある場合には,その端数を切り上げた月数をクーリング期間の長さとすると定められています。

 

 もっとも,研究開発力強化法,大学教員等任期法では,大学等及び研究開発法人における有期労働契約の研究者・技術者・教員については,10年越えとする例外規定があります。
 また,専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する

特別措置法では,5年を超える一定の期間内に完了することが予定される業務に従事する高収入かつ高度な専門的知識,技術または経験を有する有期契約労働者は,業務完了までの期間あるいは期間が10年を超える場合には10年間は,無期転換申込権が発生しません。更に,60歳以上の定年に達した後に同一の事業主または高年齢者雇用安定法上の特殊関係事業主に引き続き雇用される者は,同一事業主または特殊関係事業主に継続雇用されている期間は無期転換申込権の発生するための通算契約期間に算入しないとされています。

 

 

(2)無期転換申込権が発生しただけでは,無期契約に転換しません。労働者が無期転換申込権を行使する必要があります。その要件は,次のとおりです。

 

 ③ 現に締結している有期労働契約の契約期間の満了までに無期転換申込権を行使すること

 

 もっとも,最初の有期労働契約の期間内にこの申し込みをしなくとも,その後,更新された場合には,更新された核契約の期間内に,そのつど,転換申込が可能です。

 

3 効果(無期労働契約の成立)

 

 無期転換申込権を行使した効果として,契約期間満了日の翌日を就労開始日とする無期労働契約が成立します。

 期間以外の労働条件は,有期労働契約中の労働条件のままですが,別段の定めがあれば,それによります。

 

4 今後の対応について

 

 今後,使用者が,5年到来の直前に,更新拒絶をしたり,更新限度を設定することが考えられます。ですが,このような場合,そもそも,雇用継続への合理的な期待が生じていると判断されたり,そもそも,無期転換ルールの適用を阻止するための脱法行為とされ,無効となる可能性があります。

  ですので,使用者から5年到来の直前に更新拒絶されたり,更新限度を設定された場合には,すぐにご相談ください。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2017.12.22更新

 平成10年以来14年連続で自殺者数が3万人を超えるなど、日本は大変自殺者数の多い国です。家族を自死で亡くされた自死遺族は、突然の悲しみと同時に、非常に多くの法律問題を抱えてしまうことになります。しかし、なかなか周囲に相談することもできず、おひとりで悩みを抱えざるを得なくなってしまうことも多いようです。

 一方で、自死遺族が抱える法律問題には、期間制限のある問題も多く、悩まれている内に、取り返しのつかない事態に追い込まれてしまうこともしばしばです。

 私は、弁護士登録直後からずっと、このような自死遺族の皆様の法律問題に、力を入れて取り組んでおります。ここでは、自死遺族の皆様が直面することの多い法律問題について、簡単にご紹介します。

 

1 家族が賃貸アパートの中で自死された場合

 

 賃貸アパートの中で自死された場合、相続人や保証人に対して、大家さんから原状回復費や損害賠償金の請求を受けることが大半です。これらの費用が適正な金額であれば、相続人や保証人も、お支払いになることもやむを得ないとお考えになるかもしれませんが、多くのケースで過大な原状回復費や損害賠償金の請求を受けている実態があります。

 例えば、亡くなった部屋だけではなく上下左右の部屋の賃料分も請求されたり、今後何十年先の賃料分の保証まで請求されたりなどです。

 亡くなった方に、財産や労災の可能性がない場合には、相続人であれば、相続放棄をとるという方法もありますが、相続放棄には3か月という非常に短い期間制限がありますし、保証人になっている場合には相続放棄をしても責任は免れません。

 したがって、相続放棄ができない場合や保証人の場合には、大家さんにお支払いする金額が適正金額となるよう交渉(場合によっては裁判)する必要があります。

 適正金額は、アパートの事情によって様々ですので、早めにご相談いただければ幸いです。

 

2 家族が鉄道に飛び込んで自死された場合

 

 家族が鉄道に飛び込んで自死された場合にも、賃貸アパートで自死された場合同様、鉄道会社から多額の損害賠償請求をされる可能性があります。

 この損害賠償請求についても、相続放棄ができる場合であれば別ですが、相続放棄ができない場合には、この損害賠償金が適正金額か否かが問題となります。

 鉄道会社から損害賠償請求をされた場合には、まずは金額の算定根拠を出してもらい、そこに過大な請求が含まれていないか否か確認します。適正金額はこの場合も、事情(乗客への払い戻しがあったか、車両の修繕費はいくらか等)によって様々ですので、ご相談いただければ幸いです。

 なお、鉄道会社から受ける可能性のある損害賠償請求の時効は3年間です。

 

3 家族が借金を抱えたまま自死された場合

 

 家族が突然自死された場合、遺族は、亡くなった家族に、借金があったのか否かすらわからない場合があります。そのため、まずは、亡くなった方の持っていたカードや請求書等を調べ、それでもわからなければ信用情報機関に問い合わせを行ったりします。その結果、財産よりも借金が多い場合には相続放棄を選択することになりますが、前述のとおり、相続放棄には3か月という短い期間制限があります。

 そのため、もし、調査が間に合わない場合には熟慮期間の延長手続きを取り、相続放棄が可能な期間を延長することになります。

 また、財産のある範囲で借金を負担する限定承認という手続きもありますが、相続人全員が共同して行う必要があるなど、相続放棄に比べると複雑な手続きになります。

 

4 生命保険が自死を理由に支払われない場合

 

 自死遺族が生命保険金の請求をすると、しばしば、生命保険会社の担当者が、自死の場合には生命保険金は出ませんとの説明をすることがあります。しかし、自殺の場合に一律に生命保険金が出ないわけではありません。

 まず、生命保険会社の自殺免責が認められるのは、生命保険会社の責任開始時から2年または3年に限定されています。したがって、2年または3年経過後の自殺の場合には、生命保険金は支払われます。

 また、免責期間内の自殺であっても、重い精神疾患にり患していた場合などには生命保険金が支払われる場合があります。ただし、この場合にも、別に告知義務違反が問題となることもありますので、生命保険金の支払いを拒否された場合にはご相談ください。

 

5 自死の理由が会社の働き方(過重労働やパワハラ等)にあると思われる場合

 

 自死された家族が、会社員や公務員として働いていた場合、会社や国に対する損害賠償請求や労災申請ができる場合があります。労災が認められると、年金や一時金で手厚い補償を受けることができ、損害賠償請求では数千万円が認められる場合も少なくありません。

 ただし、遺族が相続放棄をしてしまった場合には、会社や国に対する損害賠償請求が制限されてしまいますので注意が必要です。

 また以下の通り、期間制限もありますので、お早めにご相談いただければ幸いです。

 労災の葬祭料の請求 自死後2年間  

労災の遺族補償給付の請求 自死後5年間

損害賠償請求 自死後3年または10年間

投稿者: 川崎合同法律事務所

2017.12.14更新

 突然の交通事故に遭われた被害者の方は,事故後,どのように損害賠償請求をすればいいのかわからないまま,過ごされてしまうこともあるかと思います。

 

 ですが,交通事故の態様によっては,被害者の方にも,不注意があったとして,過失割合が問題となることがあります。この過失割合によっては,損害賠償額が減ってしまうこともあります。また,交通事故の態様が明らかではなく,この過失割合が争われ,訴訟になることもあります。

 

 この交通事故の態様を明らかにする方法としては,刑事記録,自動車や自転車等の損傷状況等が考えられます。

 

 交通事故に遭った際に,軽い怪我であったり,事故後しばらくして痛み出した場合,物損事故扱いされていることがあります。その場合,警察において,事故についての実況見分がなされず,実況見分調書が作成されません。そうすると,刑事記録では,事故態様がわからないということになりかねません。

 

 ですので,怪我をしているのに,物損事故扱いされている場合には,速やかに警察に連絡し,診断書等を取った上で,人身事故扱いにしてもらう必要があります。

 

 長期間,物損扱いのままにすると,交通事故と怪我との因果関係が不明であるとして,人身事故扱いにしてもらえない場合もありますので,お早めに対応されることをお勧めします。

 

 その他,人身事故扱いになった場合,治療費,逸失利益,慰謝料,休業損害等を請求できる場合があります。その場合,弁護士を代理人にして加害者あるいは加害者側保険会社と交渉すると,適切な過失割合を前提に,裁判基準に基づいて,増額交渉ができる場合もあります。

 

 ですので,交通事故に遭われた場合には,お早めにご相談下さい。

投稿者: 川崎合同法律事務所

2017.11.24更新

借家のトラブル-家を借りる前に知らないと困る基礎知識 

弁護士 星野文紀

  賃貸のマンション・アパートに住んでいる人は多いですが、不動産賃貸は、普通の人は頻繁にする契約でないためトラブルや不安になることもあります。しかし、基本的な知識があると不安は大きく軽減されます。そこで、知っておきたい基礎知識をご紹介します。

 

目次

第1 基礎的法律知識

1 賃貸借のはじめに

(1)準備するお金は家賃の6ヶ月分が目安

(2)保証人は必要?

2 契約更新

3 賃貸借の終わり

(1)賃貸物件を明け渡す場合の手続き

(2)大家さんから明け渡しを求める場合

(3)契約の解除

4 契約の終了後の精算

(1)敷金のもつ意味

(2)敷金から差し引けるお金(原状回復義務)

5 賃料が高すぎる、安すぎる。そんなときは

(1)傾向

(2)紛争の解決手段

第2 弁護士に相談するメリット

 

 

第1 基礎的法律知識

1 賃貸借のはじめに

 (1) 準備するお金は家賃の6ヶ月分が目安

 賃貸住宅の入居の際に必要なお金は様々ですが、首都圏では、礼金が2ヶ月、敷金が2ヶ月、仲介手数料が1ヶ月、前家賃1ヶ月が賃貸借契約の時に必要なことが多いです。しかし、その他にも火災保険料や損害保険料、家賃保証の費用がかかる場合もありますので、余裕をもった予算が必要です。

 

ア 礼金とは?

 賃貸住宅に入居するとき、大家に対して支払うお金です。礼金は、賃貸住宅から退去しても戻ってきません。礼金の額は物件によって異なりますが、およそ家賃の1~2ヶ月が相場です。近年は礼金ゼロの物件も増えています。礼金を支払うのは、賃貸借契約を締結するときです。

 

イ 敷金とは?

 将来、大家に損害を与えた時のために、入居時に大家に預けるお金が敷金です。敷金はあくまでも預けておく金銭ですから、原則的に退去するときに戻ってきます。ただし、家賃を滞納している場合や、入居者の負担で部屋を補修する必要がある場合には、その金額が敷金から差し引かれることになります。首都圏では、敷金の額はおよそ家賃の2~3ヶ月です。一部地域では家主に預け入れた敷金(保証金)の一部を退去時に償却する「敷引」と呼ばれる制度を採用している場合もあり、この場合は敷金の一部が礼金のような取扱いになります。

 

ウ 仲介手数料とは?

 仲介手数料は、家主と入居者との仲立ちをしている不動産会社に支払う報酬です。法律で最大でも家賃1ヶ月分に消費税を加えた1.08倍以内と決められています。実際には、1.08ヶ月分を支払うケースが多いようです。近年は仲介手数料の0.5ヶ月分という場合も出てきています。また、不動産会社から直接に賃貸物件を借りる場合は必要ありませんので仲介手数料ゼロとなります。

 

エ 前家賃とは?

 前家賃とは入居を開始する月の家賃を契約時に払うことです。建物賃貸借契約は、翌月分の家賃を先に払う契約になっている場合が多いので、契約の時点で入居開始月の家賃を前もって支払います。なお、月の途中から入居する場合は、前家賃として、その月の日割り家賃と翌月分の家賃を、一緒に支払うことが多いようです。

 

(2) 保証人は必要?

 賃貸借契約締結の場合、保証人が求められることが多いです。近年は保証会社による保証が求められることが多くなっています。破産等していると保証会社の審査が通らないこともあるので、心配な方は契約の条件等に注意してください。

 

2 契約更新

 賃貸借契約は2年ごとに更新することになっている場合が多いです。家主と借主が、合意によって、契約を更新する場合は、更新契約書を作成します。

 

ギモン 仲介手数料を払わなければいけない?

 更新の際に、仲介手数料を要求する業者がいますが、家主の立場で建物を管理している業者が、借主に対して、更新の際の仲介手数料を要求することは許されません。

 

ギモン 大家さんから更新を拒絶されたら出て行かなければ行けない?

 貸主が拒絶しても借主は原則的に更新することができます。これを法定更新といいます。法定更新とは、一定の要件を満たす場合に、従前の契約と同一条件で契約を更新したものとみなされる制度です。不安な場合は、弁護士に相談してください。

 なお、更新契約書を作成しなくとも、契約は更新できます。

 

注 意 定期借家契約に注意してください。

 賃貸借契約の内、「更新がなく、期間の満了により終了する」ことの約束を含むものを定期借家契約といいます。定期借家契約には、書面にしなければいけない、契約書とは別に、あらかじめ書面を交付して説明しなければならないなど、法律上の要件がありますが、有効な場合は更新が認められず、期限が来たら賃貸物件をいやでも明け渡さなくてはいけない場合が出てきます。したがって、契約更新時に定期借家契約にならないように注意してください。

 わからない場合は、弁護士に相談してください。

 

ギモン 更新料は払わなければ行けない?

 契約に、更新料の支払が規定されていなければ、借主に更新料の支払義務はありません。もっとも、最近の借家契約では、更新料支払約定の規定が存在することが多くなっています。

仮に更新料の支払約定があるのにもかかわらず借主が支払わない場合には、賃借人の債務不履行として、契約解除の理由になる場合があります。

 

 詳しくは弁護士にご相談下さい。

 

3 賃貸借の終わり

(1) 賃貸物件を明け渡す場合の手続き

① 退去の通知

 退去することを決めたらまず、退去の通知が必要です。入居時に取りかわした契約書に目を通し、退去通知の「時期」と「方法」について確認してください。法律上は6ヶ月前までに通知するようにされていますが、一般的に退去通知は退去の1ヶ月前までに通知すれば大丈夫な場合が多いのですが、1ヶ月以上前に通知しなければならないケースもありますので注意してください。通知が遅れると、明け渡し後も契約が終わってないとして家賃を請求される場合があります。

通知の方法も、電話のみでいいのか書面の提出が必要なのかを確認しましょう。

 

② 引越し日の連絡

 引越し日が決まったら、不動産会社への連絡を忘れずにしましょう。この時、退去の立会いの日時を決めることが多いようです。

 

③ 引越し

 引越しまでに水道・電気・ガス・電話・インターネットの終了手続き(もしくは転居手続き)は終えておきましょう。

 

④ 退去の立会い

 部屋を明け渡す前に、管理会社や貸し主と室内のキズや汚れ等のチェックを行うことが多いです。

 

⑤ 鍵の返却

 鍵の原本と、合い鍵をもらっている場合は不動産会社に忘れずに返却します。合い鍵を返却しないと、防犯上鍵交換費用を求められることがあります。

 

⑥ 敷金精算

 敷金から契約書で定められている各種費用が差し引かれ、残金が返還されます。

 

(2) 大家さんから明け渡しを求める場合

 家主側からの解約には「正当事由」の存在が必要です。

 期間満了に伴う契約の解除には、上記の①6ヶ月前の解約通知と、②「正当事由」の存在が必要です。なお、法定更新によって期間の定めのない契約になっている場合でも同様です。

「正当事由」の有無は、以下のことを考慮して判断されます。

①賃貸人、賃借人の双方が土地、建物を必要とする事情

②借地、借家に関する従前の経過(賃貸料滞納の有無、用法違反の有無など)

③建物の利用状況、現況(老朽化)

④財産上の給付の申出(立退き料など)

むずかしい判断になるので、弁護士に相談されることをお勧めます。

 

(3) 契約の解除

 借主が家賃を払わなかったり、部屋を故意に傷つけたりして債務不履行(賃料の未払等の重要な契約違反)があった場合、家主側から契約を解除する場合があります。

ただし、賃貸借契約は継続して存在する契約であって、当事者間の信頼関係により維持されていますので、1回程度の些細な賃料の不払いが直ちに契約解除が認められる訳ではありません。

不払い回数だけでなく、不払い額、不払いに対する当事者の態度等を勘案して、当事者間の信頼関係が崩れるに至ったかどうかにより、解除の可否が判断されます。

契約が解除出来るかどうかも難しい判断になりますのでこれも弁護士に相談されることをお勧めします。

 

4 契約の終了後の精算

(1) 敷金のもつ意味

  敷金は、賃借人が賃料を滞納したり、賃借人が不注意等によって賃借物に対して損傷・破損を与えた場合等の損害を担保するため に、賃借人から賃貸人に対して預け入れるものです。

 

(2) 敷金から差し引けるお金(原状回復義務)

 原状回復義務とその範囲(居住用建物を中心として)については、大まかにいうと、「経年劣化に伴う通常(自然)損耗」については原状回復の義務はありません。

 また、借主の退去後の「ハウス・クリーニング」「鍵の取り替え」など、新たに賃貸をするための必要経費は、原則、家主の負担となります。

 なお、退去時の原状回復の費用負担の振り分けについて、国土交通省が、下記のようなガイドラインを発表しています。

原則として賃貸人が負担:

賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても、発生すると考えられるもの(例:家具の設置による跡、電気焼け、日照や雨漏りなどで発生した床の変色等)

原則として賃借人が負担:

賃借人の住まい方、使い方次第で発生したり、しなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの)(例:引越し作業で生じた傷、不注意による床の変色、壁等の釘穴、ねじ穴等)

参考)国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)

 

注 意 原状回復に関する退去の際のトラブルを予防するために

入居時の状況を、写真撮影しておきましょう。特に、中古建物に入居する際は、原状を把握しておくために有用です。

 

5 賃料が高すぎる、安すぎる。そんなときは

 賃料増減額請求で不当に高かったり、安かったりする場合は、裁判所を利用して賃料を変えることが可能です。

(1) 傾向

 従前は賃料増額請求がほとんどでしたが、バブル崩壊後は、減額請求が増加しました。

 また、建物の築年数が重なっていくので、借主としては原則的には、「せめて、現状維持を」と主張しておくのが賢明でしょう。また、建物の維持管理、修繕要求とも関連して、増額請求に対処しましょう。

 

(2)紛争の解決手段

 また、法改正によって、賃料の増減額に関して、紛争が生じた場合には、いきなり裁判で争うのではなく、まず簡易裁判所で調停を申立てることが必要となりました。

(自主交渉→調停→裁判という流れとなります。)

 

注 意 貸主から、賃料(家賃)の値上げ請求をされたら?
 適正な増額請求かどうかを見定めて交渉をする必要があります。

 

 もし、これまでの賃料を提供して、家賃が受け取りを拒否した場合、賃料の未払という債務不履行にならないよう、法務局に供託をしておきましょう。

 

第2 弁護士に相談するメリット 

 賃貸借は、ある程度の知識がないと、不利な結果になることがあります。弁護士に相談する事で、どうしたらいいという不安な状況から抜け出せると思います。

 契約の内容によっては取り返しのつかないことになる場合もあり、契約時や問題が起きた時など、こまめに弁護士の助言をもらっておくことが、トラブルの防止のために大事です。

 住まいの問題は、精神的にも負担になることが多いので、早めに弁護士に相談することで気持ち的にも楽になることが多いです。

投稿者: 川崎合同法律事務所

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