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2020.02.01更新

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1 本件の概要
 公認会計士の資格を持ち、経理を任されていた原告が電気自動車開発を行うベンチャー企業株式会社FOMM(フォム)に不当解雇されたことから、同社に対し、地位確認等請求を行っている。


2 FOMMについて
 FOMMは2018年のジュネーブモーターショーやバンコク国際モーターショーにて新型EV「ONE」を公開した。新型EV「ONE」は小型で、100万円以下の低価格設定で、水害時にも稼働できるという特性をもち、モータリゼーションが進みつつある東南アジアの新興国をターゲットとして開発されている。FOMMの開発した新たな小型EVの生産は、2017年の11月にFOMMとの資本業務提携を発表したエレクトロニクス大手「船井電機」が担当し、同じくFOMMとの提携関係にあり株主でもある「ヤマダ電機」を通じて販売される予定となっている。また、FOMMの株主には四国電力も名を連ねており、同社に対する市場の関心も高い。


3 解雇に至る経緯
 原告は2018年6月1日からFOMMで働き始め、経理を含めた諸業務を行っており、具体的には上述のモーターショー出展の際の出金など、多額の金の動いた形跡をつぶさに検討し、適正な経理が行われるよう経理体制の改善を図っていた。
原告は他社と同年6月17日を終期とする労働契約を締結していた(同社において兼業は許されていた)ことから、種々の手続きを簡便にするために、同年6月1日から17日までの業務委託契約書、同月18日を始期とする内定契約書をFOMMと交わしていた。もっとも、原告の就業実態を踏まえると、原告は同月1日からFOMMとの間で労働契約を締結していたものと見るべきである
原告が業務を行いFOMMの経理環境の改善を図る中、同月14日、執行役員のK氏に急遽呼び出され、内定取消し(解雇)を告げられた。その理由として、原告が、FOMM従業員を泣かせた、FOMMには経理ができる人間がいない旨の発言をした、経営メンバーが裏金を使っている旨の発言をした、他の従業員に対するハラスメントを行った、執行役員として入社した旨第三者に役職を偽ったなどの14の事由が挙げられていた。しかし、これらはありもしないでっち上げの事実である。


4 訴訟
 2018年9月28日に同社に対し、地位確認等請求訴訟を提起した(横浜地方裁判所川崎支部・古閑裁判官)。
 なお、組合と共に法廷内外で活動を続けてきたところ、FOMMは証拠で組合の株主等への要請書等を提出し、組合活動を控えるように要請するなど組合敵視の姿勢を見せていた。
 争点は、①6/1~17の間の契約関係及び②解雇権濫用または不当な内定取消に当たるかであり、以下のように判断され、原告は敗訴した。
(1)6/1~17の間の契約関係(労働契約か業務委託か)
ア 原告の主張
 労働基準法研究会報告を踏まえ、CFOからの指揮命令、「経理担当部長」としての名刺、時間的場所的拘束等の就労実態を主張し、6/1から労働者であった旨主張。なお、ANAP社との契約は実質的に終了しており、同社からは副業が許可されていた旨も主張。

イ 被告の主張及び裁判所の認定
 業務委託契約書が存在することを重視し、実態には触れずに、6/1~17は業務委託、18~は労働契約(内定契約)と整理。
ウ 問題点
 就労実態を何ら考慮せずに契約書の専ら文言のみで判断している。そして、業務委託であるとの整理内容が次の争点とも大きく関わる。

(2)解雇権濫用または不当な内定取消に当たるか
ア 原告の主張
 被告の主張する14の解雇(内定取消)事由は全てでっちあげである。当該事由を証する従業員の報告書(報告者の氏名についてはマスキングされたものも散見された)は反対尋問を経ないものであるから、作成者の尋問を求める。解雇手続についても、被告の主張する原告の問題行動については何ら注意がなされておらず、告知聴聞の機会を与えないでされており不適正である。また、解雇理由は後付けがなされており、手続を軽視するのは当該問題行動が存在しないからに他ならない。
イ 被告の主張及び裁判所の認定
尋問は不要(裁判所は報告書を取りまとめた人事部の担当者のみ尋問を許可)。被告主張及び証拠を全て採用。数々の問題行動が存在するから内定取消は相当。
ウ 問題点
  事実認定の不当性(争いのない事実の誤解、反対尋問を却下した上での書証の採用・重視、「経験則」という名の偏見、偏見ありきの補充尋問、反対事実をほぼ考慮していない等)、及び評価の不当性(「経験則」という名の偏見でもって、問題行動を行った原告が部長職にふさわしくないとして緩やかに内定取消の相当性を認める。) 


5 控訴提起
 地裁判決のように反対尋問を経ない報告書の信用性を認め、それをもとに内定取消しを許してしまえば、会社側は気に食わない労働者について、「問題行動」を行ったとして、作成者不明の報告書を作ることによって自由に解雇(または内定取り消し)を行えてしまうことになってしまい、労働者軽視も甚だしい。
 控訴審においては、古閑裁判官の偏見及び労働法制に関する無知を指摘しており、逆転勝訴をつかみ取りたい。

投稿者: 川崎合同法律事務所

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