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2016.08.17更新

  去る2013年3月11日、福島原発事故の被害救済を求める訴訟が各地で提訴されました。新聞やテレビで大きく報道されましたので、ご存じの方も多いと思います。

〇提訴について
  篠原弁護士・渡辺弁護士・川岸弁護士・私が所属する「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発事故被害弁護団は、国と東京電力を被告とし、原状回復と慰謝料を求めて、福島地方裁判所本庁に、提訴しました。
  原告数は、800名ちょうど。原告は、原発事故時に福島・宮城・山形・栃木・茨城の各県に居住していた方々で、そのまま居住地にとどまっている方約600名と、事故時の居住地から、北は北海道、南は沖縄まで避難されている方約200名、年齢は事故時0歳児から88歳まで、属性も農業、事業者、会社員、主婦、年金生活者、教員、漁業関係者・・・と実に様々です。また、原発事故時の居住地が福島県にあった方が9割です。

  提訴当日、澄んだ青空の下に約200名の原告・弁護団員・支援者が全国各地から集まりました(沖縄から飛行機でいらっしゃった方も!)。冒頭、震災で亡くなられた方々に対し、黙とうを捧げた後、「生業を返せ、地域を返せ!」の横断幕を先頭に、強い風が吹き付ける中、福島地方裁判所に向けていっせいに行進しました。
  門前まで行進した後、私は、原告団長の中島孝さん、弁護団幹事長の南雲弁護士とともに、みなさんに見送られ、訴状を提出しました。800名分の委任状はずっしりと重く、原告のみなさんの想いが込められていると思うと、身の引き締まる思いがしました。
  裁判所の敷地内へ入る際、中島原告団長が、「今から提出してくるぞ~!」と訴状をかかげると、集まったみなさんから「おぉ~~~~!!」と大きな、そして力強い声がかえってきました。

  午後は、報告集会を行いました。原告のみなさんから、裁判にかける想いや、この取り組みをもっと大勢のひとに広げていくことの大切さや意気込みが語られました。沖縄に避難している方からも、「遠く離れているけれど、気持ちは福島と一つ。一緒に団結して取り組みたい」と発言がなされました。
  中島原告団長からは、「原発事故後、不安な日々を過ごしていたが、被害回復のために何か行動しなければという思いで声をあげた。放射能は、福島だけでなく多くの地域へ飛散した。この集団訴訟は、原告になった人だけが救済されるものではなく、被害者全体の救済を求めるものであり、世の中全体の利益のために行うものである。まだ原発事故にこだわっているのかと心無い言葉をかけられることもあるかもしれないが、我々の痛みを周囲が理解していないからといって諦めることはない。訴訟はこれから始まる。大きな原告団に育てていこう!」と力強い決意が語られました。

〇提訴まで……
  弁護団は、800名の原告と、福島・米沢・沖縄の各地で開催された説明会を通じて出会いました。説明会は、週末はもちろん、平日も開催され、ときには同日に3カ所開催ということもあり、第一次提訴までに実に40回以上開催されました。
  昨年末、いよいよ3.11に提訴する、ということが決まったあと、私も、毎週末のように福島に通いました。福島・郡山・二本松といった中通り地方から、相馬・南相馬の浜通り地方まで、ときには、米沢、そして沖縄へひとっとびすることも。休日返上で説明会へ参加する日々は、体力的に厳しいものではありましたが、各地にちらばった被害者のみなさんのご苦労や、元の生活をとりもどしたいという強い思いに触れることで、力がみなぎる思いがしました。
  また、説明会の開催にあたって、県北、南相馬、相馬・新地などの被害者の会や米沢、沖縄などの避難者の会、各地の民商や農民連の事務局の方々が、電話がけをしたり、地元紙にチラシを折り込んだりして参加を呼びかけるなど、大変な努力を続けてこられていることに、とても力強く感じました。
  毎回毎回の説明会で、たくさんの方たちと出会い、お話できたことは私にとって大きな財産です。

〇私たちのもとめるもの
  800名の原告で構成された原告団と弁護団は、今回の事故を「公害」と位置づけ、国と東京電力の責任を追及しつつ、被害者の根本的な要求である「原状回復」と「完全賠償」を実現させ、全体救済のための制度化を求めています。裁判は、このような取り組みを実現させるための一つの手段として位置づけられています。私たちは、裁判だけですべてが解決するとは考えておらず、裁判と並行して、国や東電と直接交渉したり、要請活動をしたりと、力強く運動を進めていきます。

〇これから……
  私たちは、「原告1万人目標」を合い言葉に、今回の提訴にとどまらず、どんどん追加提訴を行い、原告数を増やしていくとともに、この取り組みを全国的なムーブメントにしていきたいと考えています。
  そのために、全国各地での脱原発運動と連携していくことも重要だと考えています。川崎にもたくさんの避難者の方がいらっしゃいますし、エネルギー政策という身近な問題として、みなさんにも応援をしていただければ幸いです。
  3.11提訴が終わった週末も、ひとやすみ……とはいかず、第2次提訴に向けた説明会を開催しました。また、裁判の当面の主張立証に向けた準備も、もちろん進めています。長い取り組みになりますが、若手中心の弁護団ですので、元気いっぱい突き進んでいきたいと思っています。ご支援をよろしくお願い申し上げます!

投稿者: 川崎合同法律事務所

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